遺族年金の「年金額」は?
次は、【表3】より、遺族年金の年金額がどのくらいかを見ていきます。
遺族基礎年金の場合、例えば、妻と子(2人)がいる場合は、
78万900円+22万4700円+22万4700円=123万300円
123万300円全額が妻に支給されます。
遺族厚生年金の場合は報酬比例の額の4分の3が支給されますが、老齢厚生年金の受給資格期間の25年(300ヵ月)に満たない場合は、300ヵ月とみなして計算するので、被保険者期間が短い場合でも一定の金額は保障されます。
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算
遺族厚生年金には中高齢寡婦加算という加算給付があります。【表4】の条件に当てはまる場合に、遺族の妻が40歳から65歳になるまでの期間、中高齢寡婦加算が遺族厚生年金に加算されます。
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算は、遺族基礎年金が支給されている間は加算されません。
そのため、もともと遺族基礎年金を受給できない子がいない妻か、子がいて遺族基礎年金を受給していたけれど、子が18歳に達したために遺族基礎年金の受給がなくなった場合に、要件を満たしていれば、中高齢寡婦加算が遺族厚生年金に加算されます。
両方の遺族年金を受給できるケース
最後に「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」両方の遺族年金を受給できるケースを見てみましょう。
日本の年金制度は「2階建て」と言われますが、遺族年金についても、遺族基礎年金が1階部分、遺族厚生年金が2階部分に例えられます。
厚生年金保険の保険料は国民年金の保険料も含まれているため、基本、遺族厚生年金の支給要件を満たしていれば、遺族基礎年金の支給要件も満たすことになります。
しかし、支給を受けられる対象者が、遺族基礎年金の方が限られているため、遺族厚生年金だけ受給するケースも多くなります。両方の遺族年金を受給できるケースは遺族厚生年金の支給要件を満たし、遺族基礎年金の対象者に当てはまるケースといえるでしょう。
また、両方の遺族年金の受給権を持つ子のある妻が、子が18歳到達年度の末日を達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ことで遺族基礎年金の受給権を失った場合に、40歳以上65歳未満であれば遺族厚生年金の中高齢寡婦加算を受けることができます。
さいごに
このように、遺族年金は亡くなった人の年金の納付状況、受給者の続柄や年齢、子の有無などによって、受け取ることができる年金が異なってきますので、支給要件や対象者などをしっかりと把握しておきましょう。
参考資料
石倉 博子