いまだ終息の兆しが見えないコロナ禍。たいせつな人との「突然の別れ」は、もはやすべての私たちにとって、無関係ではないことといえるでしょう。
一家を支えている人が亡くなった場合、その人によって生計が維持されていた遺族には遺族年金が支給されます。遺族年金には国民年金の「遺族基礎年金」と厚生年金保険の「遺族厚生年金」がありますが、支給の要件に違いがあります。
どんなときに誰に支給されるのか、遺族年金のしくみとルールについて解説します。
どうちがう?「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」
死亡した人が国民年金の被保険者であれば遺族基礎年金が、厚生年金保険の被保険者であれば「遺族厚生年金」または「遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方」が遺族に支給されます。
遺族年金の「支給要件」は?
【表1】遺族年金の支給要件をごらんください。
国民年金、厚生年金ともに被保険者であるうちに死亡した場合、または、それぞれの年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間を合算して25年以上)であれば、支給を受けることができます。ただし、被保険者であっても、加入期間のうち3分の2以上保険料を納めていないと支給を受けられません。(※保険料納付要件)
しかしこれについては、65歳未満であれば、直近の1年間に保険料の滞納がなければ受けられる特例があります。
遺族厚生年金はさらに、被保険者期間中の傷病がもとで5年以内に亡くなった場合(※保険料納付要件あり)、1級・2級の障害厚生年金の受給権者が亡くなった場合も支給を受けることができます。
遺族年金の「支給対象者」は?
誰が遺族年金が受け取れるかは、遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なります。遺族年金の支給対象者についてまとめた【表2】をごらんください。
遺族基礎年金も遺族厚生年金も、死亡した者によって生計が維持されていたことが第一条件です。遺族基礎年金は子のある配偶者または子となっており、子のない妻や夫は受給できません。
遺族厚生年金の場合は、子のない妻や夫も受給できますが、夫の場合は55歳以上という条件があります。また、30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。
遺族厚生年金は受給資格順位というものがあり、もっとも順位が高い人だけが受給できます。
◆遺族厚生年金の受給資格順位◆
- 配偶者および子
- 父母
- 孫
- 祖父母