2021年5月11日に行われた、株式会社ヒューマンクリエイションホールディングス2021年9月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ヒューマンクリエイションホールディングス株式会社 代表取締役社長 富永邦昭 氏

富永邦昭氏:ヒューマンクリエイションホールディングス代表取締役社長の富永でございます。本日は、当社決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、2021年9月期第2四半期の決算についてご説明いたします。よろしくお願いいたします。

本日は、最初に第2四半期、当期の連結業績のハイライト、続いて2021年9月期、今期の業績見通しについて、3点目は通期の業績ということで、これまでの過去の業績も含めてご説明します。4点目は成長戦略の進捗状況、5点目は主要KPIの進捗状況についてです。ここまでが本題で、本日のメニューとなっています。

第2四半期 連結業績ハイライト

第2四半期の連結業績ハイライトです。まだまだ当社は、市場の中ではIT技術者の派遣だけを展開していると誤解、あるいは認識されていると思います。当社グループは、システム開発における最上流の部分、いわゆるコンサルティング分野から手がけるグループ企業です。

今期の第2四半期において、コンサルティングや受託分野が計画どおり急拡大したことにより、特に収益面に関する貢献が顕著になっています。

売上高は25億300万円で、今期の通期進捗率は49.3パーセントです。営業利益は2億7,800万円で、通期進捗率は55.3パーセントです。四半期純利益は1億7,300万円で、通期進捗率は56パーセントという状況です。

2021年9月期業績見通し

今期の業績、年間の見通しです。上期の進捗率が50パーセントを超えている状況を踏まえ、通期見通しの達成ハードルは低くなったと認識しています。

売上高は、前年比111.4パーセントの50億8,300万円の計画に対して進捗率は49.3パーセントです。営業利益は、今期は大幅増益を予定しており、前年比165.7パーセントの計画に対して進捗率は55.3パーセントの5億300万円です。当期利益は、前年比147.4パーセントの計画に対して進捗率は56パーセントの3億900万円を見通しています。

通期業績推移

通期業績の推移です。売上高は、前期の45億6,500万円に対して、今期第2四半期の実績は25億300万円で、第2四半期時点で前年に対して54.8パーセントまで進捗している状況です。

スライド右側のグラフが営業利益・営業利益率ですが、第2四半期時点で2億7,800万円で、前期の3億300万円に対して91.7パーセントまで進捗しているということで、収益の実績が出ている状況が見て取れるかと思います。

成長戦略の進捗状況①

こうした実績が出ている背景として、成長戦略の進捗状況をお伝えしたいと思います。まず、コンサルティング・受託分野が急拡大し、かつ事業譲受契約によって、コンサルティング・受託分野の機能強化が図れている状況です。

コンサルティング・受託を事業とする子会社のアセットコンサルティングフォース(ACF)の売上についてです。前期においてはグループ内の売上シェアが4.3パーセントだったところ、第2四半期の実績値ではグループ内の売上シェアが11.9パーセントまで高まっていることもあり、収益性向上に大きく貢献している状況になっています。

主たる獲得案件の事例として、1点目が生命保険会社のデジタル接客システム一式です。会社名の固有名詞等々を出したいところなのですが、現段階で納品は終わっており、続いて導入支援プロジェクトを請け負って進行中の状況のため、このシステムがお客さまの全国の現場に導入完了した後に、別途プレスリリースを予定しています。

2点目が、大手通信会社のシステム一式で、フェーズ1の納品は完了し、現在フェーズ2の開発プロジェクトを請け負い進行中です。

3点目が、政府系金融機関における情報連携基盤開発一式を受託しており、現在開発プロジェクト進行中という状況です。

ACF以外に、子会社のブレーンナレッジシステムズにおいても、政府系のインフラ事業の業務システム刷新、つまりシステムの置き換えの受託に成功しています。これはおそらく、数年単位の大きなプロジェクトになっていく見通しです。

成長戦略の進捗状況②

すでに5月6日のプレスリリースでご案内のとおりですが、経営企画機能の強化として、主としてM&Aの強化のために、ヒューマンクリエイションホールディングスの執行役員として、外部から人員を招聘しています。

また、こちらも5月6日に発表していますが、ACFがグローステクノロジーズと事業譲受契約を締結しました。グローステクノロジーズは、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)分野において高度なソリューションを持っている会社であり、そのノウハウを譲り受け、既存子会社、ACFのコンサルティング機能・受託機能の強化に活用していく予定です。

成長戦略の進捗状況③

以上の状況から、掲げていた成長戦略の2本柱が具体的に進捗していると言えると思っています。

おさらいになりますが、成長戦略の1点目は、グループの特徴・強みを活かした「規模の拡大」「収益性の向上」の双方を実現するというものです。2点目は、事業譲受も含めて、M&Aにおけるインオーガニック成長を狙っており、上期で具体的に進捗している状況です。

主要KPIの進捗状況

足元での主要KPIの進捗状況です。まずKPIとして、契約単価・稼働率・保有人数の3点を掲げていました。

1点目の契約単価ですが、こちらは技術力の向上を計るための指標であるため、当社グループにおいて最重要KPIとして位置付けています。その最重要KPIである契約単価が、上期段階ですでに今期末の見通し値を超過している状況になっています。これは、技術力の向上、すなわち上流工程の契約比率が上昇したと言えるかと思います。

2点目の稼働率ですが、新型コロナウイルス感染症の影響がなかなかゼロにはなっていないものの、現段階でその影響を極小化できています。上期段階で今期末見通しを超過する稼働率に到達しており、99パーセント台に近い数字が出ている状況です。

3点目の保有人数ですが、上位2つのKPIの良化を踏まえ、コロナ禍の影響による非稼働リスク、いわゆる「採用しても待機に回ってしまうリスク」は上期において極小化したと判断しています。よって、上期は抑止していた技術者採用に関して、下期以降は計画どおりきちんと投資をして活性化させ、保有人数の積極拡大に舵を切るという判断を行っています。

言い替えますと、上期段階においては「採用しても、待機に回るリスクがなかなか払拭しきれない」という状況があったのですが、「すでにその影響はない」と判断できている状況です。

以降は参考資料ですが、すでにご質問をいただいているため、それにお答えするかたちで参考資料を使っていこうと思います。

グループの特徴

「御社は子会社が4社で、正規雇用した社員を各IT会社に派遣するという技術者派遣がメインビジネスですが、上流工程のコンサルティングから実際の運用まで、一気通貫で対応できるのが強みだと聞いています。具体的にどういう部分が強みなのでしょうか?」というご質問です。

グループの特徴として、スライドの一番左のACFがコンサルティングを行い、一番右側のセイリングが保守運用を行うということで、グループで一気通貫で仕事を受け取ることができる状況を作っています。

業界としては、いわゆる開発だけ、あるいは企画提案・コンサルティングだけを行うといった同業他社が多い中、我々のように企画提案・コンサルティングから保守運用まで一気通貫で行う会社は非常に特徴的だと思っています。

もっといえば、いわゆる開発だけ、あるいはコンサルティングだけ行う同業他社と比べて、エンドユーザー、つまり「施主」からすると、企画だけで終わる、あるいは開発だけということではなく、すべての工程において責任を持った開発を行う、責任を持った仕事を実行する当社を見ると、その安心感たるや絶大なものがあると思っています。

そうした状況がある中で、先ほど実績で申し上げた上流工程、コンサルティングの受託が成立しているという構図になっております。

当社グループの強み

「独立系の強みを活かして、特定の業界・取引先に依存せず、環境変化にも強い体制で連続増収を続けている状況ですが、独立系の強みは具体的にどういうところにあるのでしょうか?」というご質問です。

我々は常時300社以上と取引をさせていただいています。よって、グループの中で売上首位の先様であったとしても、その売上シェアは数パーセント程度に留まっています。

特にコロナ禍において、例えば我々が航空業界の仕事を請け負っていて、その売上シェアが20パーセントも30パーセントもあった場合、連続した増収は正直なところ難しかったと思います。

そうした状況にはなく、売上首位であってもシェアが数パーセントという状況にあるため、当社の場合にはこうした経済環境の変化に対するリスク耐性は非常に強いものがあると考えています。

一方で、リスク耐性だけでなく、常時300社以上と取引がある状況を活用して、いわゆる「旬の企業」との取引を積極的に実行できる環境下にあるため、大きな成長機会も持っています。成長機会とリスク耐性を両立できている企業体質であると考えています。

特徴・強みを活かし「規模拡大・収益性向上」双方を実現

「直近では受託比率が上がっているということですが、今後の見通しはいかがですか?」というご質問です。我々のグループの特徴として、既存ブランドを成長させていくための大きな戦略が、資料の一番左上の部分、いわゆるACFを活用して企画提案・コンサル部分で、上流工程および受託の拡大を図るところを、今期の主要戦略の1つとして行ってきました。

上期はここが奏功して、グループ内でのACFの売上シェアが計画どおり11パーセントを超える状態になってきたというところです。中長期的には20パーセントを超えるレベルまで高めようと思っています。これにより、売上規模に加えて収益性が向上するという構図を生むことができると考えています。

M&Aによるインオーガニック成長

「今後の成長を引っ張るものは何ですか?」というご質問です。既存ブランドの成長、上位工程の開拓、受託の拡大による成長に加えて、2本目の成長戦略としてM&Aによるインオーガニック成長を狙っています。

5月6日のプレスリリースで発表させていただいたのは、資料中の左下部分で、「ACFのように最上流工程に位置し、『特定技術』企業の買収」ということで、今回は事業譲り受けというかたちでACFの中に1つの機能として取り込むかたちを選択しています。

グローステクノロジーズという会社は、主にネットワークに強い技術・知見を持っている会社でした。これをACFの機能の1つに加えることで、今後ネットワークに関する受託の件数を上げていく大きな要素になっていくと考えており、このようなかたちのM&Aおよび事業譲受等々を今後も積極的に行っていくことを考えています。

いただいていたご質問は以上になりますが、少し補足します。我々は受託開発と派遣との両方を行うビジネスモデルなのですが、なぜ両方とも手掛けているのかについて補足説明します。

平常時においては、派遣というかたちでいろいろな企業に散らばってIT技術者の派遣を行っている状況にあります。受託を取った時に、今、派遣で入っている人材を一旦契約解除して、受託開発チームとして新しく生成するかたちをとっています。

当社グループがこうしたかたちをとっているのは、特に受託専業の場合、どうしてもエンジニアを遊ばせておくわけにはいかないため、取るべきではない受託案件も取らざるを得ない状況に陥る可能性が否定できません。ところが当社の場合、平常時は派遣というかたちで別の業務に従事してもらっている状況であるため、取りたくない案件は無理して取る必要はないということです。

あくまで我々の意志で、我々の会社にとって、あるいは技術者にとって、技術力向上につながるような案件を選んで受託開発を請け負っているかたちにしています。このあたりが、収益性向上と稼働率を上げるという両面を満足させることができる、理にかなった経営手法であると考え、両方を行っているということです。

受託専業の場合、「この案件、炎上しそうだな」といった、いわゆる「炎上案件」のようなものも取らざるを得ない状況をゼロにはできないと思っています。我々の場合、こうしたものはなく、あくまで「この案件、魅力的だよね」というものを取りにいくかたちができているため、その意味でも受託と派遣との両面を回していくのが非常に有効なのではないかと思っています。

それでは、本日は終了とさせていただきます。貴重なお時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

記事提供: