行政サービスはどのように提供されるべきか

基本的には、ITサービスのデータが海外に存在していること自体は、社内管理体制がしっかり整えられている限りにおいては日本法上、問題になりません。したがって、LINE社の個人情報保護体制についても、当初の記載が曖昧な部分はあったにせよ、致命的な問題ではありません。

しかし、国や自治体が管轄している行政サービスを民間のITサービス上で扱う場合は話が変わります。

その行政サービスには、国民に関する情報(マイナンバー含む)や、国家機密が含まれている可能性も残ります。それらの情報を海外において良いかどうかについては、委託する国や自治体の方にこそ、慎重な判断が求められます。

先日のCOCOAの件にしても、今回のLINEの件にしても、発注側である国や自治体が、開発時の座組・データ管理体制について適切か「判断できていない」状況の方が大きな課題です。

発注側も受託側に任せきりにすることなく、

  • 機密情報/個人情報は国内のデータセンターで保存することを求める
  • 該当情報を扱える社員/スタッフの範囲を制限する方法の詳細提示を求める

など、必要な確認を能動的に行う必要があるでしょう。

参考資料

當瀬 ななみ