老後格差を解消する方法とは

では、収入を上げること以外に老後格差を解消する方法はないのでしょうか?

日本は現在でも経済規模は世界第3位の経済大国ですが、金融知識における分野に関してはかなり他国に劣っている状況となっています。

金融広報中央委員会の「金融リテラシー調査」(2019年)によると、日本と米国、共通の正誤問題の正答率で比較すると、日本は47%に対し、米国は53%と米国が日本を上回っています。

またOECDの調査(英国、ドイツ、フランスが参加)とも比べても、日本の正答率が一番低い結果となっています。

では、金融リテラシーが高い他の先進国は一体どのような金融資産を保有しているのでしょうか?日本と比較しながら見ていきましょう。

日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」(2020年8月21日)によると、家計の金融資産の構成は以下のとおりです。

家計の金融資産の構成(日本)

  • 現金・預金:54.2%
  • 債務証券:1.4%
  • 投資信託:3.4%
  • 株式等:9.6%
  • 保険・年金・定型保証:28.4%
  • その他計:2.9%

家計の金融資産の構成(米国)

  • 現金・預金:13.7%
  • 債務証券:6.0%
  • 投資信託:12.3%
  • 株式等:32.5%
  • 保険・年金・定型保証:32.6%
  • その他計:3.0%

家計の金融資産の構成(ユーロエリア)

  • 現金・預金:34.9%
  • 債務証券:2.0%
  • 投資信託:8.7%
  • 株式等:17.2%
  • 保険・年金・定型保証:35.1%
  • その他計:2.2%

比べてみると、日本が欧米に比べると圧倒的に現金・預金が多く、一方で株式や投資信託の割合が少ないことが分かります。

また、金融庁の「平成28事務年度金融レポート」の内容を一部要約すると下記のようになります。

日本と米国の家計金融資産残高の推移を比較すると、過去20年間で米国は3倍以上に大きく増加しているが、日本は1.5倍の増加に留まっている。その原因は日米家計金融資産の構成の違いによる要因が大きいと考えられる。

つまり、日本の家計金融資産が増えなかった大きな要因は、日本人が多くの金融資産を現金・預金で保有してしまい、欧米の様に株や投資信託にお金を配分しなかったことだとのことです。

収入を上げる以外に老後格差を解消する方法のひとつとして、欧米のように「投資」をすることも検討してもよいかもしれませんね。