【モバイル戦略】任天堂の焦点はポスト・3DSの次期モバイルゲーム機へ

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2016年10月20日に「ニンテンドースイッチ」を発表した任天堂が、26日に2017年3月期の上期決算を発表しました。そこで、「ポケモンGO」を扱っている株式会社ポケモンの実績を含んだ任天堂の決算内容と、今後の注目ポイントをまとめました。

2017年3月期上期決算の内容は好悪材料入り乱れる

上期決算は、売上高が対前年同期比▲33%減、営業利益▲59億円(前年度は90億円の黒字)、親会社株主に帰属する四半期純利益は対前年同期比+234%増となりました。ニンテンドー3DSのハードの販売台数は271万台と、対前年同期比+19%増、ソフトの販売本数は1,923万本とほぼ横ばいです。また、Wii Uのハードの販売台数は56万台と、同▲53%減となりました。

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また、注目の「ポケモンGO」については、持分法による投資利益約120億円を営業外収益に計上しています。ポケモンGOの爆発的な人気の影響を数字で捉えることができたのは、今後の株価を予測する上で参考になった決算といえます。

2017年3月期は売上高、営業利益で業績下方修正

会社側による通期業績予想は、円高を主因に売上高、営業利益、経常利益が下方修正となっています。売上高が従来予想5,000億から4,700億円へ、営業利益が同450億円から300億円へ、経常利益が同450億円から100億円へそれぞれ下方修正されています。

通期のハードとソフトの販売見通しは、ニンテンドー3DSは前回の500万台から600万台に上方修正、Wii Uは年間80万台のまま変わっていません。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、同350億円から500億円に上方修正されています。これは、シアトルマリナーズの運営会社の株式を一部売却したことによります。決算についてさらに詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。

先読みポイントは次期モバイルゲーム機

任天堂は新しい据え置き型ゲーム専用機としてニンテンドースイッチを発表しましたが、やはり注目すべきは次期モバイル型ゲーム機です。その理由は、据え置き型ゲーム機よりもモバイル型ゲーム機の方が普及する台数のポテンシャルが大きいことです。

実際、任天堂の据え置き型ゲーム機として最も普及したのがWiiで、2016年9月末時点で1億163万台です。一方、モバイル型ゲーム機で言えば、ニンテンドーDSは同時点で1億5,402万台、ゲームボーイが1億1,869万台となっています。

ハードウェアとしての単価が異なるという指摘はあるでしょうが、モバイル機の方が一旦ブームとなれば普及するスピードは速いと思われます。今回、任天堂はおそらくそうした「モバイル」のポテンシャルを織り込んで、ニンテンドースイッチを屋外にも持ち出せるというコンセプトにしたものと推測できます。

しかし、ゲームボーイやニンテンドーDSを発売した時期と現在の任天堂を取り巻く環境で最も異なるのは、やはスマホの普及度合いでしょう。この環境下で、モバイル型ゲーム機としてどのような特色を打ち出せば「モバイル×ゲーム機」としての特徴を消費者に認めてもらえるか、また新しいゲーム体験を提供できるかということが焦点となります。

ニンテンドー3DSも2011年の発売から2016年9月末時点で累計販売台数が6,157万台に達しています。しかし、ニンテンドーDSが年間に2000万~3000万台規模で販売されてきたほどの勢いはなく、2017年3月期の販売計画は600万台です。対前年比でも▲4%減という状況です。

実は、任天堂の次の注目点はニンテンドースイッチの普及もさることながら、長期的にはモバイル型ゲーム機としてどのような端末にするのか、またその端末に移動通信機能が搭載されるのか、そもそも次期モバイル型ゲーム機の開発に取り組むかなど、重要な論点は引き続き残ります。

まとめ

任天堂の次期モバイル型ゲーム機は、やはりファンにとって尽きない興味の対象です。それ以前に、ニンテンドースイッチも、2017年3月にかけてどのような取り組みになるのかには注目です。

泉田 良輔

参考記事

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泉田 良輔

2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(ナビプラ)を共同創業。ナビプラでは個人投資家のための金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。大学卒業後、日本生命・国際投資部では外国株式運用のファンドマネジャー、その後フィデリティ投信・調査部や運用部にてテクノロジーセクターの証券アナリストや小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー。慶応義塾大学商学部及び同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了。著書に『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』、『銀行はこれからどうなるのか』、『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』、『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』。ネットメディアにおいては「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」「東洋経済オンライン」「プレジデント」などへの寄稿も行う。東京工業大学大学院非常勤講師。産業技術大学院大学講師。