J-POWER、再生可能エネルギーのトップランナーとして、グローバルに更なる事業拡大に取り組む

2021年2月10日に行われた、J-POWER 電源開発株式会社の個人投資家向けIRセミナー・講演会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:J-POWER 電源開発株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 渡部肇史 氏

会社概要

渡部肇史氏(以下、渡部):みなさま、こんばんは。J-POWER 電源開発株式会社の社長の渡部です。本日は私どもの会社の説明会に、大変お忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。これから当社への理解を深めていただきまして、会社を支えていただければ幸いです。本日は、会社概要、気候変動問題への対応、業績と配当という3つの項目に従って、ご説明いたします。

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会社の概要ですが、当社は太平洋戦争後の経済復興を支えるために、大規模な電源開発を行うこととして、1952年に政府出資の特殊法人として設立されました。以来約70年、発電事業を中心に事業の拡大を図ってきました。

この間、2004年に政府保有株式をすべて売却して、東京証券取引所の一部に上場しています。いわゆる完全民営化です。

事業領域と特徴

現在の状況ですが、連結売上高で9,138億円、グローバルの発電設備出力は約2,500万キロワットです。事業としては、国内の電気事業、海外事業、その他事業の3分野があります。

近年は、新しい事業分野ということで、パートナー企業と組んで電力の小売事業、あるいはスタートアップ企業との連携なども進めています。当社の特徴は、国内外で卸売中心にやってきたこと、また海外売上高の比率が約2割と、同業他社に比べて高いことです。

グローバルでの電源構成ですが、下の円グラフのとおり、再生可能エネルギーと石炭火力がそれぞれ約4割、残りがガス等火力です。当社のイメージとして「石炭火力のスペシャリスト」ということがよく言われますが、非常にバランスのとれた資産構成になっています。

水力発電①

続きまして、まず再生可能エネルギー、水力発電についてご説明します。水力発電は当社の創業以来の原点と言えるものです。左側の写真ですが、佐久間ダム・発電所をはじめとして、全国で水力発電を手がけてきました。佐久間をはじめとして、奥只見、田子倉、御母衣といった大型の発電所が多いのが特徴です。

写真の右は揚水発電所です。上下に貯水池を作り、需要が少ない時は余剰電力によって下から上に水を汲み上げて、需要が増えた時にはその水を使って発電します。

電気は、大規模に蓄えるのが大変困難です。それをこのような水のかたちで大規模に貯める、いわば蓄電池の機能を持っているのですが、これを当社では「ウォーター・バッテリー」と称して現在、海外に売り込みを図っています。

水力発電は大変すばやく発電することができます。したがって、柔軟に出力の調整が可能だという特徴があります。そのようなことから、最近導入が進んでいる風力や太陽光など自然条件で出力が変動しやすい再生可能エネルギーに対して、調整能力が大いに期待されています。

水力発電②

このような水力発電所を、当社は北海道から九州まで全国に60ヶ所保有しており、設備出力はトータルで856万キロワットで、シェアは日本で第2位となっています。

風力発電①

続きまして、再生可能エネルギーの次の分野、風力発電についてご説明します。当社は日本の大型風力開発の草創期から取り組んできました。左の写真は北海道の苫前にある発電所ですが、これは当社の第1号、西暦2000年に運転開始したものです。以来20年経過しており、順調に運転してきましたが、古くなったため廃止し、まったく同じ場所に最新型に置き換える事業を今計画しています。

現在は、このような風力発電所を全国に25ヶ所、本数としては300本以上保有しています。このような風力の開発には、水力発電所や送電線の建設、運転、保守で培ったノウハウがそのまま活きています。風況調査、計画立案、地元との調整、建設、運転、保守まで一貫した実施体制とノウハウを持っていることが強みです。

風力発電②

全国に風力発電設備は57.5万キロワットあり、日本国内におけるシェアは第2位です。このように、再生可能エネルギー分野でトップランナーであると自負をしています。

地熱発電

続きまして、同じく再生可能エネルギーの地熱発電についてご紹介します。日本は、もともとアメリカ、インドネシアに続いて世界第3位の規模の地熱資源を保有しています。これを全部開発すると2,300万キロワットほどになると言われています。

当社は1975年、宮城県で鳴子温泉のそばにある左側の写真の鬼首地熱発電所で運転開始し、そこで運用ノウハウを蓄積しました。設備が古くなったため現在は廃止して、今は最新プラントに置き換える工事中です。

写真の右側ですが、これは2019年に秋田県の山葵沢で新しく運転を開始した最新鋭の地熱発電所です。国内で23年ぶりの大規模の地熱発電所と言われています。このような地熱発電は、天候に左右されず、安定的な発電が可能な再生可能エネルギーで、今後も非常に有望なエネルギーですので、当社としてもさらに拡大したいと思っています。現在、複数の地点で開発に向けて調査を進めています。

火力発電

続きまして、火力発電についてご説明します。エネルギー資源のほとんどを海外に頼っている日本にとって、石炭は重要な資源の1つです。当社の発電所は、1970年代の石油危機の反省から国が現在まで進めてきている「脱石油、電源多様化政策」に対応したものです。

以来40年、当社は、資源は貴重なため、少ない燃料で多く発電できるという効率向上と、環境負荷の低減を追求してきました。

写真の右側が、昨年6月に運転開始した広島県の竹原新1号機です。こちらは、このタイプの発電所としては世界最高水準の発電効率を誇っています。

原子力発電(計画中)

当社には原子力発電の計画もあります。原子力発電は電力安定供給に加え、発電の時にCO2を排出せず、気候変動問題の対応にも優れていることから必要とされています。青森県の下北半島の突端、大間町で原子力発電所の計画を進めていますが、現在は安全強化対策について原子力規制委員会による審査が進んでいます。

この審査の対応に全力を尽くし、安全強化対策をしっかり整えた上で、早期の運転開始を目指していきたいと思っています。

海外での事業展開

続いて、海外での事業展開をご説明します。海外では、アジアとアメリカを中心に発電事業を拡大しています。当社は、もともと海外にエンジニアを派遣するコンサルティングの仕事を60年以上続けてきています。

このようなコンサルティングの仕事で培った経験、あるいは相手国からの信用、海外の電気事業者との人的ネットワークなどを活かし、発電事業にも取り組んできました。世界各国で事業を行っていますが、近年では海外での再生可能エネルギーの開発にも力を注いでいます。

日本のエネルギー政策①

続きまして、当社の気候変動問題への対応をご紹介します。日本は、もともとエネルギー資源の約9割を海外から輸入しています。2019年度の実績として、エネルギーの自給率が12パーセントというデータがあります。

そのような脆弱なエネルギー事情から、エネルギー政策では「3E+S」という考え方が基本になっています。すなわち、安全性を大前提とし、安定供給を第一として、経済性効率性と環境適合の同時実現を目指すというものです。

日本のエネルギー政策②

国は、2030年度の電源構成として、スライドの真ん中の棒グラフにあるとおり、再生可能エネルギー、原子力、石炭、LNG(液化天然ガス)を概ね4分の1ずつバランス良く保有しようという目標を持っています。

一方、左の棒グラフ、これは現状ですが、現状の構成では石炭やLNGが依然電力を作るうえでは重要なエネルギー資源となっています。したがいまして、今後は再生可能エネルギーの拡大が必要です。

ニュースでご存じかと思いますが、12月下旬から1月上旬にかけて、強い寒さと電力需給の逼迫により、卸電力取引所での電力価格が高騰しました。おそらくご家庭では1キロワットアワーあたり二十数円という料金の契約になっていると思います。一方、それを仕入れる卸電力取引所では、これが1キロワットアワーあたり200円を超える時間帯もありました。

理由は予想以上の寒さで電力需要が増大した一方、降雪などの悪天候で、太陽光発電が出力を低下し十分な発電ができなかったこと、LNGの受給逼迫による発電の制約など、いくつかの要因が重なったと言われています。

このように、それぞれの電源には利点もあれば課題もありますので、すべてに秀でたパーフェクトな電源はありません。したがって、電力需給の変動に柔軟に対応するためには、電源の特性を踏まえたバランスの良い電源構成が必要です。これは将来においても必要なことです。

そのようなことから、国は今年、エネルギー基本計画、これの見直しを予定しています。その1つの大きな流れは、カーボンニュートラルの実現ですが、当社は政策動向も見ながら2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、事業を展開していきたいと思っています。

再生可能エネルギーの更なる拡大①

その取り組み例として、本日は再生可能エネルギーの更なる拡大と水素製造・活用についてご紹介します。

2025年度までに100万キロワット規模の再生可能エネルギーの新規開発を目標としています。日本地図でご覧いただけるとおり、そのために国内では陸上風力、水力、地熱といった開発を現在進めています。

また、洋上風力にも力を注いでいます。地図の左側のグリーンの少し大きめの丸印が、日本海側に北海道から九州まで並んでいますが、当社が今目指している洋上風力の場所です。

再生可能エネルギーの更なる拡大②

一方また、海外でも再生可能エネルギーを拡大しています。例えば、アメリカではテキサス州で太陽光発電、豪州では陸上風力、イギリス北海では洋上風力にそれぞれ力を注いで開発を進めています。それぞれの地域の自然条件に適した再生可能エネルギーを開発したいと思っています。

再生可能エネルギーの更なる拡大③

その1つの具体例をご紹介します。イギリスでの「トライトン・ノール」と称しているプロジェクトですが、これは風車1つが9,500キロワット、現在1基あたり最大規模の風車ですが、高さにすると200メートル近い風車になります。これを北海に90基設置する予定です。全体で80万キロワット、火力発電所1つ分の出力になります。

このように、イギリスでも最大規模の案件なのですが、現地法人に当社からエンジニアを派遣しており、今ノウハウを学ばせています。このような風力の先進地で得られた知見を国内での洋上風力に生かそうと思っています。

水素の活用

続きまして、水素についてご説明します。当社のカーボンフリー水素の取り組みです。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、水素は最も注目されるエネルギーの1つになっています。水素の発電に加え、産業分野での幅広い利用も見据え、当社が得意とする石炭の技術を使い、この石炭からの水素製造技術の実用化を目指しています。

大崎クールジェンプロジェクト

そのうちの1つの国内におけるプロジェクトをご紹介します。水素と石炭を利用して水素を製造し、それによる発電を行おうという取り組みです。中国電力と共同で、広島県で石炭をガス化する技術による発電効率の向上とCO2を分離回収する試験を今まで実施してきています。

今はこの発生する水素を含むガスで、コンバインドサイクルという技術で発電を行っています。ガスタービンを回すと同時に蒸気タービンを回すことによって高効率で発電ができる、そのような発電です。これに燃料電池をつけて、燃料電池を組み合わせた発電の実証試験を、来年度と再来年度で予定しています。

このように、石炭を利用しながら水素を製造する、その途中でCO2を回収する、このような技術の実用化を目指しています。

豪州褐炭水素実証プロジェクト

一方また、海外でも水素製造に取り組んでおり、オーストラリアで水素を製造し、日本に輸送するプロジェクトに参画しています。オーストラリアには褐炭と言われる低品質の石炭が大量にあります。そこから石炭ガス化技術を用いて水素を取り出し、それを液化して日本に輸送するプロジェクトです。

当社の役割は、オーストラリアで褐炭から水素を取り出すところで、ちょうどこの1月から水素製造が順調に開始しています。この水素を今年中に日本に輸送する計画です。

現在、水素は1立方メートルあたり100円ほどで取引されています。国が掲げる2030年におけるコストとして30円という目標があり、私どももそれを目掛けてコスト低減を図っていきたいと思っています。水素に関するこれらの取り組みは、水素社会の実現に向けた大きな一歩になると信じています。

カーボンリサイクル

また、CO2の有効利用にも取り組んでおり、先ほどご覧いただいた広島県の大崎でのプロジェクトで回収したCO2をどのように有効利用するかについて、現在研究開発を進めています。

1例をご紹介しますと、下の写真は、農作物のビニールハウスです。CO2の濃度を高めて作物の育成を促進する、またCO2を含んだコンクリートにより、海の中で藻場形成が促進されます。このような有効利用を研究しています。

業績の推移

続きまして、業績と配当についてご紹介します。業績は着実に拡大してきました。今年度の業績予想は電力市場価格の変動、また電力事業の状況などを見て、現時点では未定ということにしていますが、事業全体の状況を見極め、できるだけ速やかにお知らせしたいと思っています。

株式関連情報

直近の株価を含め、株価関係指標はご覧のとおりです。

株主還元の考え方

当社は、上場以来安定配当を継続してきました。株主還元についての考え方をご説明します。

株主還元は、短期的な利益変動要因を除き、連結配当性向の30パーセント程度を目安にして、利益水準、業績見通し、財務状況などを踏まえ、安定的かつ継続的な還元充実に努めたいと思っています。今年度の配当は通期で75円を予定しています。

株主様とのコミュニケーション

株主様とのコミュニケーションの例をご紹介します。北海道から九州、沖縄まで発電所があるのですが、当社は年4回、発電所で見学会を開催してきました。現在は新型コロナウイルスの対応のために実施を見合わせていますが、状況を見ながら再開したいと考えています。

また、昨年11月に株主様限定の会員組織「J-POWER Shares」を設立しました。会員限定のWebサイトで情報共有しています。

6月の配当金関係書類に同封の株主様アンケートにご回答いただくと当社オリジナルのカレンダーを贈呈しています。こちらは、毎年大変ご好評をいただいています。

SDGs(2015年国連にて採択)

最後に、SDGsと当社の企業理念についてご紹介します。国連の持続可能な開発目標SDGsですが、これは世界の持続可能な発展のため、あらゆる企業や国が取り組むべき17の目標を示したものです。

当社が事業活動を通して貢献できる分野として、ご覧の6つの分野がありますが、このうち、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」というのは事業そのものでもあります。

企業理念(1998年制定)

このような事業を進めていますので、当社の企業理念は、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」としています。電気の供給、エネルギーの供給は、社会や経済活動を支える基盤で不可欠なものです。これからもこの理念の実現に全力で努力していきたいと思っています。

私からのご説明は以上です。今回の説明会を機会に、当社にご関心を持っていただきまして、幅広く当社事業を支えていただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:同業他社との違いおよび強みについて

司会者:御社と同じように他の電力会社は発電所を持っている会社もあるかと思うのですが、その違いは何かと、J-POWERの強みは何か教えてくださいというご質問です。

渡部:当社は非常に特徴のある会社だと思っています。私どもは、日本国内で70年近く電気の仕事を行っていますので、電力会社のみなさまと同じような歴史を持っているのですが、当社の場合は国内で電力の卸売を中心に事業を行ってきたということが1つあります。それと、先ほどご覧いただいたとおり、発電設備でほとんどすべての種類の発電設備を持っており、バランスの良い資産構成になっています。

そしてまた、海外での売上高、利益の比率が高いことも特徴だと思っています。これらの点が70年の歴史なのですが、国内の他の電力会社と比べても特徴と言えると思います。また、強みですが、1つは石炭火力それから国内の水力発電所において競争力があるということです。

同時に海外で仕事をしていますので、そのような意味でも会社の文化の中に比較的多様なものが導入されてきており、多様性に富んでいるということも特徴の1つではないかと思っています。

司会者:海外事業もかなり大きく展開されているのだということが、先ほどのご説明でもよくわかりました。

質疑応答:業績予想について

司会者:続いては業績についてです。2021年3月期の業績予想が未定となっており、株価にも影響があるのではないかということで、せめてプラスかマイナスか方向だけでも早めに公表していただきたいというご質問と言いますか、ご意見が届いています。

渡部:今年は電気の供給を行っている事業者にとっても異常な年でした。例えば今年の上半期は新型コロナ禍の影響があり、経済活動の低迷で電力需要は減少しました。その影響で上半期の業績は少し低下したのですが、一方でこの1月の電力逼迫時には卸取引所の価格が高騰するなど、例年にない電気事業の姿になりましたので、業績見通しは未定としています。

これが「上にいくのか」あるいは「下にいくのか」についてはなかなかお伝えできないのですが、できるだけ早く見通しを得たところでご公表したいと思っています。今しばらく、お待ちいただければと思います。

司会者:今年はイレギュラーで価格もそのような動き方をしているため、方向性が見えてきたらなるべく早めに公表していただけるということですね。

質疑応答:石炭火力も含めた会社の展望について

司会者:「脱炭素が叫ばれていますが、まだまだ御社のような火力発電などのインフラはなくてはならないものだと思っています。これからの御社での石炭火力も含めた展望を聞かせてください。応援しています」というメッセージをいただいています。

渡部:石炭火力を含めた化石燃料、いわゆる燃料を使う発電はこれからも日本に必要です。国も、また経済産業省も石炭を含む火力発電の一切を全廃するとは申していません。

ただ、CO2は何らかの処分あるいは発生するCO2に見合うだけの埋め合わせを行わないとならないため、カーボンニュートラルという言い方をしているのです。したがって、私どもは石炭火力を中心に行ってきていますので、その技術をこれからも会社の中に温存していきたいと思っています。

ただ、今までどおりの石炭の使い方ではこれからの時代にマッチしません。したがって石炭ガス化という新しい技術をできるだけ早く実用規模で導入し、それを会社の中に温存していきます。

これは石炭を生で使うのではなく、水素を作ることができますので、出処は化石燃料なのですが、使う時は水素という技術をできるだけ早く実用化したいと思っています。これが2030年、40年、50年に向けた会社のビジョンです。

司会者:ありがとうございました。水素はこれから非常に注目の分野ですね。

質疑応答:石炭火力および水力発電における現状の課題について

司会者:将来的な脱炭素は理解できるのですが、現在の主力は石炭火力と水力発電だと思います。これらの現状の課題は何でしょうか? というご質問です。

渡部:石炭火力と水力発電とでそれぞれ課題があります。石炭火力には、実は課題があるのですが、単純に一言で言うとCO2がどうしても多くなるということです。したがって、石炭火力についても、これまで効率を上げることにより、できるだけ少ない石炭を使うことでCO2を抑制する、あるいはそれ以外の環境対策にも貢献してきました。

現状の石炭火力を使い続けながら、石炭利用に関しては先ほどお伝えしたように徐々にガス化技術に置き換えていくのがこれからの課題だと思っています。一方、また水力については、実は水力発電は当社においても、60年以上使ってきているのですが、ダムそのものは100年もつといわれています。

したがって、まだこれから40年、50年は使い続けることができますので、水力発電所は流域のみなさまのご理解を得ながらできるだけ長くこれを使っていきます。途中では発電機などの機械類の取替えなども出てくるかもしれないのですが、そのような適切な修繕などを繰り返しながら長く使っていくのが水力発電の一番良い使い方でもありますし、課題であろうと思っています。

質疑応答:大間原子力について

司会者:先ほどの会社説明の中で、大間の発電所について状況をご報告いただいたと思うのですが、大間原子力はいつ完成するのでしょうか? また、投資した部分は回収できるのでしょうか? というご質問ですが、いかがでしょうか?

渡部:大間の発電所は青森県の先端の下北半島の先端にあり、現在、本体工事は止めていますが、途中まではできあがっています。これを作るに際しては、一番最初に電力会社と基本の契約を結んでいます。

私どもはこれを基本協定という名前で呼んでいるのですが、この基本契約を結んでいて、できあがった電気は電力会社に買っていただくという約束になっています。

現在、規制委員会が安全対策について慎重な審査をしていますので、そちらの許可が出たら工事を再開します。工事を再開しても数年はかかります。今の見通しをここでは未定としているのは、いつ許可が下りるかということが未定なためです。

結果的に、完成時期は私どもでは決められないということで未定にしていますが、今の流れでいくと、おそらく2025年より先、2020年代の後半になるかと思っています。まだまだ時間がかかりますが、これは日本の中で新しい原子力としては非常に貴重なプロジェクトになってきていますので、しっかり作りあげていきたいと思っています。

司会者:見通しについてご説明いただけましたので、みなさまも「あっ、そうなんだ」と安心したという思いもあるかと思います。2020年代後半ということで、とにかく許可が下りるまでは一時的に中断というところです。

質疑応答:洋上風力について

司会者:続いて、洋上風力はコストパフォーマンスが悪いのではないかと聞いたことがあるのですが、実際のところどうなのでしょうか? というご質問です。

渡部:私どもが実際に手掛けているイギリスの洋上風力は、場所も非常に良いことと、それから大型の機械、大型の風車を入れていること、それから同じような大型の風車が量産効果で安くなっているということで非常に安くできています。

そのノウハウをエンジニアを派遣して今学んでいる最中でして、それを日本に持ってくると、日本の自然条件のもとではあまり遠浅の海がないことと、すぐに深くなるといったようなことで少し技術的に難しくなりますので、イギリスなどでやることに比べて多少コストが高くなるかもしれないのですが、日本の中ではまだ再生可能エネルギーの固定価格の買取制度があります。

これにより、その値段の範囲内でできる事業であれば、十分にペイする事業として、コストダウンの努力を行いながら、その範囲内で収益事業を行いたいと思っています。

司会者:かなり大規模なプロジェクトなのですね。

質疑応答:社長の考え、リーダーシップ、経歴について

司会者:続いてガラッと系統が変わるのですが、個人投資家の方から、「投資するにあたってトップのお考えやリーダーシップを非常に重視しているため、可能な範囲で渡部社長のご経歴について少しお話しをいただけませんでしょうか?」というご質問が来ています。

渡部:私自身のことをお話しするのは大変気が引けるのですが、ご紹介させていただきたいと思います。私は1977年にこの会社に入りました。以来40年です。ちょうど学生時代に第一次石油危機(オイルショック)があり、電車が間引き運転する、あるいは銀座がちょうど東日本大震災の時のように夜真っ暗になる、テレビも時短で放送するといったようなことを経験しました。

当時、いろいろな物資がなくなり、トイレットペーパーが足りなくなるトイレットペーパー騒動などもありました。そのため、やはりエネルギーは非常に大事なことだと思い、この会社に就職したのです。

以来、日本のエネルギーは、オイルショックの経験からいかに脱して、安定的なエネルギー供給を日本国内で実現するかに注力してきました。当社もその一翼を担ってきたと自負しています。したがいまして、私自身としては、この道をこれからも進んでいきたいと思っています。

一方、また、会社の成長を考えると、日本国内では徐々に人口の減少、それから産業の海外流出といったことで、電力需要が伸びない要素が言われています。その一方で、AIや快適な生活の追求、それから非常によくコントロールされたエネルギーが必要な精密な産業といったようなものが日本国内に残っていますので、逆に言えば、かえって電力需要は増すという両方の面があります。

私自身は電力需要は底堅いと思っているのですが、そのような中で、日本の中でも電気事業を行いながら、やはり海外、例えばアジアなどの国ではまだ経済発展に合わせて電気の需要が伸びていますので、そのようなところも手掛けながら、会社全体としての成長を目指したいと思います。

質疑応答:株価について

司会者:続いて、株価について少しお話しいただきたいと思います。ここ数年で、株価がずいぶん下がりましたが、その理由について渡部社長はどのようにお考えでしょうか? また、対策として自社株買いや株主還元については何かお考えはあるのでしょうか? というご質問です。

渡部:株価については私どもも思いがけないことなのですが、今下がってきています。昨年から急にこのような動きになっており、おそらく石炭火力に対するいろいろな逆風が出てきているように見えるということと、国の政策としても非効率の石炭火力をフェードアウトする、廃止すべきということが出てきました。

私どもも、火力発電所の中には40年、50年稼働したものがありまして、そのような政策が出なくても、会社の中では「これをどうするか」検討していましたが、そのような政策が表明されたということで、たぶんいろいろな意味で心配されたのかと思います。

しかしながら、一方で、私どもの事業の実態をご覧いただいたとおり、グローバルでは非常にバランスのいい資産構成を持っていると思っています。同時に、日本国内の状況と、また海外の状況はそれぞれ違いますので、日本国内と海外とそれぞれ、もちろんいい時もあれば悪い時もあるのですが、日本国内が悪い時には海外が支えるといったポートフォリオが徐々に徐々に効きつつあります。

そのようなことから、長い目で見ると、業績そのものは多少上下することはあると思いますが、国内でも自由化が進んでいますので、電気の値段が非常に変動しやすくなっており、業績そのものが上下することはあると思いますが、中長期で見ますと、業績的には安定的に伸ばしていけると思っています。

株価については大変残念なところで、もう少しよい株価になってほしいと思っていますが、こればかりは何ともしがたいと思っています。私自身は、会社の実力はそれなりにあると信じています。

それから、株主還元で自社株買いということなのですが、私どもは、これからもまだ、海外も含めて設備投資を行いたいと思います。したがって、むしろ資本はこのまま預からせていただいて、新しい投資を行った果実のリターンでもって、還元したいと思っています。

株主還元の基本的な考え方として、安定配当を継続していきます。そして、業績が伸びた場合には増配することを基本にしたいと思っています。

司会者:国内と海外とのバランスで、中長期的に見ても明るい見通しを持たれているということと、それから、自社株買いよりも、投資をどんどん回してリターンを得ていくのだという、社長のお考えを伺うことができてとてもよかったと思います。

質疑旺盛:為替変動が業績に与える影響について

司会者:続いてのご質問として、為替の変動は業績にどの程度影響するとお考えなのでしょうか? というご質問をいただきました。

渡部:為替の変動は、国内の仕事に関して直接は響いてきません。海外から石炭を輸入していますが、これはドル建てと言われる契約ですので、円とドルの関係で為替は影響しますが、みなさまご存知のとおり、電気料金の中での為替は燃料費の変動の中で調整することができることになっていますので、国内の売上利益に為替の影響は出てきません。

一方で、当社の特徴なのですが、売上でも利益でも海外での発電事業の利益が一定規模混じっていますので、為替レートの変動を受けます。これまでも、円安の時には海外の利益が為替の影響で増えることもありましたし、円高の時には減るという傾向が出てきました。

ただ、先ほど世界地図でご覧いただいたとおり、1ヶ所で行っているわけではありません。アジアや、ドルの国であるアメリカ、あるいはイギリスで、事業を行っていますので、すべての為替が同じ方向に動くことはあまりなく、そのあたりも中長期的に見ると中和されてくるのではないかと思っています。

一言で言うと、海外事業を行っている分だけ、為替の変動の影響は必ず出てきます。ただ、海外での発電事業においては電気が売れていますので、根っこの売上と利益は着実に確保できています。それは為替変動で消えるものではありません。

質疑応答:直流送電について

司会者:日本だと明治以来、50ヘルツと60ヘルツに周波数帯が分かれていますが、直流送電は検討されていないのでしょうか? というご質問をいただきましたが、いかがでしょうか?

渡部:直流送電というのは、少し専門的な送電の形態になるのですが、実は私どもの直流送電の技術は、会社ができて以来、かなり早い段階から保有しています。

その第1号は、ちょうど静岡県の佐久間ダム、こちらは天竜川の上流にあるのですが、佐久間ダムのすぐそば、東西50ヘルツと60ヘルツの境目のところに、この50ヘルツと60ヘルツの周波数を変換する施設を当社が日本で1番最初につくりました。

これも古くなってきているのですが、さらにこちらを増設します。いわば電気のボトルネックがここにあり、そのおかげで50ヘルツと60ヘルツの電気が流通できるのですが、そのパイプが細いものですので、その増設をする仕事を今やっています。

それを含めて、直流を使った技術は、当社ではこの佐久間周波数変換所以外にも、四国と紀伊半島の送電線などに使っています。これについては当社の中で直流を扱える技術者は今でもずっと残っていますので、新しい直流のプロジェクトが必要になった時には、そのような技術者が仕事に携わることができると思っています。これからもそのような機会があれば、ぜひ行っていきたいと思います。

質疑応答:将来の事業展望および成長戦略について

司会者:将来的に電力事業、事情はどのようになっていくと思いますか?また、J-POWERの成長戦略について教えてくださいというご質問です。

渡部:先ほども少しお伝えしましたが、国内の電力需要は、現在、日本の経済の中では伸びる要素と減る要素との両方を抱えていると思っています。

しかしながら、快適な生活や安全な生活を考えると、電気の需要は底堅くあります。AIのような新しい需要も出てきますので、国内では、一定規模の需要の伸びを示してくるのだと思います。

それに対して、日本国内では自由化が進んできましたので、いろいろな企業が小売も含めた電気の供給に参入してきています。その中で、私どもは競争力を持ち、今のような安全基準を含めて続けていきたいと思っています。

その中でも1つ達成しなければならないのは、やはりカーボンニュートラル、脱CO2、そして再生可能エネルギーの拡大だと思っています。したがって、私どもは石炭を使った電気事業を続けながら、ただ、その石炭の利用技術は新しいものに置き換えながら、国内では再生可能エネルギーを広げていきたいと思っています。

それと同時に、また、これから伸びてくるであろう新興国を中心に、あるいは、比較的経済の成長が手堅いアメリカなどにおいても、海外での発電事業を展開し、会社全体としてグローバルに伸びていきたいと思っています。夢を持って進んでいきたいと思います。

渡部氏より挨拶

渡部:みなさま、本日はこのような説明会の機会にご参加いただきまして、どうも、ありがとうございました。心から御礼申し上げます。短い時間でしたが、ご説明したとおり、私どもの会社は日本の電気事業の中では、大変特徴のある会社です。

私も40年この会社に勤めており、海外にも赴任したことがありますが、世界中で見ても、発電事業、卸事業を中心にしており、かつ送電線を持っていて、かつグローバルにアセットを持ち、しかもそれをまた拡大していこうという会社は、非常にユニークです。

このようなユニークなところに、ぜひ興味を持っていただき、これからも長く、私どもの事業の発展を支えていただければ幸いです。どうぞ、よろしくお願いします。本日はどうも、ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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