シングルマザーは孤独、というイメージは強いかもしれません。それまでとは違い、ひとりで毎日仕事に育児、家事をするわけですから、孤独になるのが怖いと感じる方もいるでしょう。

筆者もそうした不安を抱いていた一人。ところが、シングルマザーになった後は、かえって人とのつながりが増えたと実感しています。人見知りで、世間話をする関係だけのママ友が2~3人いるだけでしたが、子どものことや自分のことを相談する相手が以前よりも増えたのです。

子どものことを一番に考えてくれる「先生」

シングルマザーになったのは、子どもが保育園のときのこと。離婚で揉めたこともあり、保育園の先生に事情は話していました。小さい頃からわが子を見てくれている先生には、子どものことはもちろん、親である私の心配もしてくださり心が温まりました。

離婚前後は環境も変わるので、子どもの小さな変化も先生に伝えたり、相談するように。その後もさまざまな相談をしてきましたが、園や学校の先生、学童の指導員、習い事の先生……といった子どもに関わる方たちは、常に子どものことを一番に考えたアドバイスをしてくれます。

たとえば、「園ではこのように元気にしていますよ」「子どもにはこんな特徴もあります」「こうするといいかも」と具体的なアドバイスだったり、離婚にまつわる子どもの心境の変化について教えていただいたり。

離婚当時は普段の家事育児に加えて、住む場所や仕事探し、離婚後の手続きなどやるべきこと・考えるべきことが盛りだくさん。目まぐるしい日々の中でも、子どものことを一番に考えてくれる先生に相談できたり、アドバイスしてもらえるのはとても心強く思いました。

また、「こんなサービスを利用してみたら?」「ここは遅くまで預かりをやってるよ」「こういう相談窓口もあるよ」といった情報を教えてもらうことも。まずは子どものことを相談できる人がいると安心するので、園や学校、学童や習い事などの先生と関係作りをするといいのではないでしょうか。

踏み込んだ話をするようになったママ友も

離婚について、ママ友に詳細までは話しませんでした。ただ、中には「子ども小さいでしょう? うちの子は大きくなってきたから、困ったときはいつでも連絡して。遠慮はしないで」と言っていただいた方も。その方とは、その後も仲良くしています。

おそらくこれまでだったら、そこまで関係も深くはならなかったと思います。元々人見知りなうえに踏み込んだ話もしなかったので、卒園・卒業したらそこで関係は終わりだったでしょう。

旧友の中にも、離婚を機に「実はうちもこんなことが……」なんて深い話までするようになった友人もいます。不思議なことですが、大変なことがあると深まる仲もあるのです。

また、「子どもたちが触れ合う大人を増やしたい」と思い、とある地域のサークルに参加。すると、そこで自分の趣味や仕事の相談までできる人とも出会えました。子どもにとっても、安心して話せる大人が増えたのは良い機会になっていると思います。

血がつながらなくても深まる人間関係はある

このように、シングルマザーになって感じたのは、ただ孤独というわけではないということ。むしろ、以前より深い付き合いができたり、新たに相談相手ができることもあります。

もちろん良い出会いだけではありませんし、注意も必要です。同じシングルマザー同士でも、環境が違うこともあります。ただ、自分から周囲に働きかけていくことで、血がつながっていなくても人とのつながりが増えていくということは、離婚で得た中でも大きな学びでした。

今振り返ると、離婚当初は「自分は孤独だ」と思い過ぎていたと感じます。それが、特に離婚前後さまざまな人に相談することで、その後の関係も深まり、「みんな色々あるし、孤独じゃない」と考えるようになりました。

特に安心したのは、子どものことが相談できる相手と、自分の仕事など将来について相談ができる相手が見つかったこと。もし孤独への不安を抱いているのなら、まずは今生活している範囲内から相談できる相手を見つけていきましょう。

西谷 都