長期化するコロナ禍。仕事を選ぶ際の基準として「安定性」を挙げる人は、今後いっそう増えることが考えられます。

さて、おつとめのみなさんの多くにとって、定年退職後の生活の柱となるのは公的年金、そして「退職金」といってよいでしょう。

今回は、公務員の退職金事情についてのお話です。

その安定感抜群のイメージから「公務員は勝ち組」などと称されることもしばしば。公務員であれば、安心して定年まで勤めあげ、老後の生活に十分な退職金を受け取ることができるのかも」と感じる人もいらっしゃるでしょう。

そこで、国家公務員・地方公務員の定年退職金事情を、民間企業の実態と比較しながら考察していきます。

国家公務員の定年退職金事情

まずは、「国家公務員」の退職金に関するデータを追っていきます。

2020年11月に人事院が公表した「国家公務員給与の実態」によると、現在の国家公務員の数は約58万6000人。

このうち人事院の給与勧告の対象となるのは、「給与法の適用を受ける一般職の国家公務員」約27万8000人です。
※特別職の公務員(内閣総理大臣、国務大臣、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員など)は人事院の給与勧告の対象外です

ここでは、国家公務員の中でも一般行政事務職員等である「行政職俸給表(一)適用者」で、35年以上勤務した場合の退職事由ごとの退職手当の金額を、人事院の「退職手当の支給状況(令和元年(2019年)度退職者)」からみていきましょう。

国家公務員の退職手当はどのくらいか

■行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が35~39年の場合

平均支給額…2206万2000円

〈内訳〉

  • 定年退職…2188万1000円(平均支給額)
  • 応募認定(※)…2346万6000円(平均支給額)
  • 自己都合…1782万7000円(平均支給額)
  • その他…2074万円(平均支給額)

 

■行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が40年以上の場合

平均支給額…2166万7000円

〈内訳〉

  • 定年退職…2154万円(平均支給額)
  • 応募認定…2300万6000円(平均支給額)
  • 自己都合…1988万1000円(平均支給額)
  • その他…2239万6000円(平均支給額)

行政職俸給表(一)適用者であれば、だいたい2000万円以上退職金を受け取ることができそうです。

※【ちょっと説明】「応募認定」とは

「早期退職募集制度」に基づく退職を指します。
早期退職募集制度は、45歳以上(定年が60歳の場合)の職員が対象。職員の年齢別構成の適正化を通じて組織の活力を維持することなどが目的。2013年11月1日から本制度に基づく退職(応募認定退職)が可能となりました。

参考:「早期退職募集制度について」内閣人事局