有機EL用燐光発光材料メーカーのユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC、米ニュージャージー州)は、2021年(21年12月期)の売上高として前年比24~31%増となる5.3億~5.6億ドルを計画する。有機ELの生産能力が面積ベースで年末には19年末比で約50%増加すると想定し、旺盛な需要を見込んでいる。
10~12月期は39%増収
先ごろ発表した20年10~12月期の業績は、売上高が前年同期比39%増の1.42億ドル、営業利益は同91%増の6578万ドルとなった。
売上高1.42億ドルのうち、発光材料の売上高は同3%増の6254万ドルだった。発光材料のうち、黄緑色を含めた緑色発光材料の売上高は同1%増の約4820万ドル、赤色発光材料は同10%増の約1430万ドルだった。ロイヤルティー&ライセンス収入が同約2倍の7505万ドルと大きく伸びた。
20年通年では6%増収
これに伴い、通年の業績は売上高が前年比6%増の4.28億ドル、営業利益は同0.5%減の1.58億ドル、純利益は同4%減となる1.33億ドルだった。コロナ禍に伴う顧客の先行調達によって4~6月期は営業赤字になったが、下期に巻き返した。材料の売上高は同6%減の2.3億ドルと減収だったが、ロイヤルティー&ライセンス収入が同23%増の1.85億ドルと伸びた。
地域別の売上高は、韓国向けが同5%増の2.6億ドル、中国向けが同5%増の1.4億ドルとなり、この両国向けで売上高の94%以上を占めた。LGディスプレー(LGD)が中国広州8.5G工場でテレビ用有機ELの生産を増やしたことなどが寄与した。
21年も韓国・中国の能力増が寄与
21年は、LGDのテレビ用有機ELやサムスンディスプレーのノートPC用有機ELの生産量が増えること、BOEの重慶工場が年末までに稼働を開始すること、天馬微電子の厦門工場や武漢工場の増強、CSOT武漢工場の能力増などが、有機EL材料需要の増加につながると見込む。
19年に韓国のLG化学、中国のEMT(エターナルマテリアルテクノロジー)と提携し、ホスト材料の開発や製造販売で協業しているが、これについては「開発や協業を継続しているものの、まだデザインウィンは獲得できておらず、ホスト材料が21年のビジネスで大きなパートを占めることはない」と語った、
また、開発中のマスクレス有機蒸気ジェット印刷技術「OVJP(Organic Vapor Jet Printing)」について、事業化に向けて20年に100%出資の子会社を設立した。商品化は3~5年先を見据えているが、22年にはα機をリリースする予定だ。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏