2021年2月9日に行われた、株式会社ディー・エヌ・エー2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安功 氏
株式会社ディー・エヌ・エー 取締役兼COO 岡村信悟 氏
2021年3月期第3四半期決算説明会
守安功氏:みなさん、よろしくお願いいたします。本日、決算の発表と同時に役員人事、経営体制の変更についてご説明します。すでにアナウンスさせていただきましたように、4月1日から新しい体制に移行することになります。
本日、後任の社長を務める岡村も今回、たぶんこの決算の発表のタイミング、場においては初めてになるかと思うんですけれども、今日来てもらっていますので、最後に、私のプレゼンが終わった後に一言、抱負的なものを話してもらおうと思います。
私が決算の説明をするのも今回これで最後ということになると思います。アナリストのみなさんとも、本来一緒の場でいろいろお話しをしたかったところはあるんですけれども、コロナのタイミングということで、Zoom越しということで若干寂しくはありますが、最後までお付き合いいただければと思います。
業績サマリー
それでは、始めたいと思います。まず、業績のサマリーになります。第3四半期、第2四半期が非常に業績的にも好調だったというところもあって、QonQで見ると売上、それから営業利益以下、若干下がっているというところはあります。
前年同期、YoYで見ると、1年前がちょうど一番業績的にも底だったこともあって、売上面、それから営業利益面もかなり改善しているということがおわかりいただけるかと思います。
2021年3月期の進捗
今期の進捗というところですけれども、ちょうど1年前に大きな減損もして、ゲーム事業の収益力が低下して、そして新規事業の投資等々もかさんで、業績的には非常に厳しい状況になったことから、ここに書いてあるように「向こう1~2年の重点施策」ということで3つ掲げて取り組んできました。
この3つともすべて順調に推移しておりまして、売上面、それからNon-GAAPの営業利益面含めて、今期はかなり順調に回復してきたのかなと思っております。
セグメント別業績(IFRS)
続いて、セグメントの業績推移になります。ご覧いただければというところではありますけれども、スポーツのところですね。
季節性が非常に強いところなんですけれども、今期、開幕が遅れた影響もあって、その試合が第3四半期もけっこうズレこんだというか、そこもありましたので、第3四半期は前年と比べたら非常に好調だというところになります。
一方で第4四半期は、今の四半期ですけれども、完全にオフシーズンということもありますので、だいたい昨年度並みの、通常のオフシーズンと同じぐらいになるのではないかということになります。
費用構成(IFRS)
費用構成。こちらも特段、何か特筆すべきことはございませんので、見ていただければと思います。
ゲーム事業:四半期業績
続いて事業の進捗というところですけれども、ゲーム事業になります。第3四半期はもともと季節性の谷間というところで、例年あまり芳しい業績にはならないところではあります。
今期に関していくと、第2四半期のところですね。第2四半期のところでもご説明させていただきましたが、第2四半期はかなり主力タイトルの各イベント等が好調で売上も順調だったんですけれども、それと比較して第3四半期は主力タイトルが軒並み振るわなかったというようなところで、非常に物足りない水準感の業績となっております。
第4四半期は例年、季節性の影響であるとか、あるいはこれからですけれども、2月、それから3月に主力タイトルがけっこう周年のイベントを迎えるであったり、あるいは今期は中国の春節がこれから始まるというようなこともありますので、2月、3月、これからどこまで巻き返していけるのか。
例年のような、きっちり第4四半期巻き返していきたいなと思っております。
ゲーム事業
そして、新規のタイトルになります。今期は『スラムダンク』が中国大陸以外に配信国を広げていったというところで、非常に大きな業績的にも貢献をしております。
このゲーム事業の特性として、これも何回かお話しさせていただいていると思いますけれども、やはり既存のタイトルの運営の強化と、あるいは固定費の削減というところだけになってくると、なかなかやはり業績を継続的に維持していくことは難しいところがあります。
これは事業の特性であると思いますので、やはり、きっちり新規タイトルを継続的にヒットさせていくということが業績の安定、それから改善には必要不可欠であると思っております。
ですので、ここにご紹介しているタイトル、それからまだご紹介できないタイトルもあるんですけれども、しっかりヒットを生み出していきたいなと、生み出していく必要があると考えております。
スポーツ事業
続いて、スポーツ事業になります。来期、まもなくプロ野球のシーズンが始まるというところになりますけれども、なかなか、やはりコロナの影響がどうなってくるのかというところを見通すことは難しい状況です。
制限がないかたちで興行を実施したいという思いはありますけれども、そこはどうなるか、なかなか見通しが難しいということが続いていきますので、今期に引き続いてオンラインでの楽しみ方というものをご提案しながら、ファンの方には楽しんでもらう。
そして、収益にもつなげていくというようなことで、来シーズンもやはりオンラインでの取り組みというところを非常に重視していきたいなと思っております。
新規事業領域
続いて、新規事業領域になります。これはフェーズ等々いろんなプロジェクトがありますので、その3つに分けて、しっかり規律のある、そういう投資を実施していきます。
特に、我々が力を入れている「Pococha」が属するソーシャル、ライブストリーミング事業、このところを注力して取り組んでいるというところになります。
ライブストリーミング事業:四半期実績
ライブストリーミング事業の売上、それからセグメント利益というところです。ご覧いただいたように、今期の第1四半期、それから第2四半期にかけてというのはコロナの影響、コロナの巣ごもりの影響もあって、とんでもない成長を果たしました。
第2四半期から第3四半期にかけては微増というようなところで、安定的な成長軌道にこれから戻っていくと考えています。
この第2四半期から第3四半期の売上の伸びに関して、おそらく物足りないと思われている方もいらっしゃるかと思いますけれども、これは我々も若干物足りないところはございまして、今後に関していくと、もうちょっとそこの売上の成長ペースに関しては戻していけるんじゃないかなという、そういう見込みを持っております。
ライブストリーミング事業
具体的にサービスをどのように見ているかと言いますと、左側がこれまでお話ししてきた、いわゆるMAUの推移になります。
MAUを当月に新しく入ってくる新規のユーザーと、あとはリピートユーザーというようなものに分けて見てみると、ご覧いただいてわかるように、しっかりリピートユーザーのところは積み上がって成長してきているという。そういうトレンドをきっちり維持できています。
一方で課題なのが、新規のユーザーの流入が若干減ってきているというようなところです。課題は明白ですので、その新規ユーザーの獲得というところを、ここしっかり12月末からすでに強化しておりますけれども、重点的に取り組んでいきたいと思います。
右側、ご覧いただければおわかりのように、しっかり課金していただいているユーザー数に関していくと、4月、5月というところは巣ごもりでグンと伸びています。
それ以降を見ても、その以前と比べて同じような成長ペースを保っておりますので、非常に順調に今後も伸ばしていけるのではないかという、そういう手応えを持っています。
ライブストリーミング事業:今後の注力施策
「Pococha」のさらなる成長強化というところで非常に重点的に取り組んでいるわけでございますけれども、短期的には先ほどお話しさせていただいたように、今デジマを中心としてユーザー獲得を強化していくというところが非常に重要なポイントになってまいります。
一方で中長期を見ると、このセグメントというか、この領域はまだまだ国内においても成長がはじまったばかりという、そういうジャンルでございます。
ですので、我々としてはしっかり取り組んで、リスナー、それからライバーの双方に一番信頼してもらえるというか、一番楽しんでもらえて長く使ってもらえる、そういうサービスにしていきたいと思います。
しっかりサービスの改善とか、あるいはリスナー、ライバーにコミュニケーションをしていくというようなことで、国内ナンバーワンというポジションを絶対にとっていきたいと思います。
また「Pococha」に関していくと、ライバーが自分の顔を出して雑談をしたり歌を歌ったりという、そういうサービスになるんですけれども、これがいわゆる総合型とすると、それ以外の新しいジャンルのところでも今後どんどん出てくるはずだと考えておりますので、我々もそこをしっかり取り組んでいきます。
あとは日本だけでなく、このライブストリーミング事業の潮流というのは世界的に伸びていく分野と思っておりますので、「Pococha」のグローバル版、ここをしっかり作っていって、来期ですね、これは非常に重要になってくるところだと思いますので、ここもしっかり取り組んでいきたいと思っています。
自己株式取得について
続きまして、自己株の取得というようなことも、これも先ほどアナウンスさせていただいたとおりになります。
もともと、一昨年の5月に500億円というかなり大きな上限の規模の自己株買いの取得というものを行いまして、それを1年かけて行ってきたわけですけれども、500億円上限のところが360億円強に、実際の買い付けとしては留まっています。
去年の5月のタイミングではコロナの状況が非常に不透明であったというようなことも踏まえて、業績面であるとか、あるいは金融マーケット、市況がどうなるかというところは非常に見通せない状況でしたので、そのタイミングでいったん終わりということにしました。
その後、順調に業績も回復してきておりますので、再度、お約束をしていた500億円の上限というところに、残りの約140億円ですよね、こちらをまた再度半年ぐらいかけて実施をさせていただくというようなことでの自己株の取得を行ってまいります。
役員人事について
最後になります。役員人事というところで、私が社長になったのが2011年でございますので、約10年間経過したというような、そういうタイミングです。
あとはしっかり業績面のところも、この1年から2年の重点施策というところが1年かからずに実質的に見通していたことが実行できたきたというような、こういうタイミングでございます。
このタイミングで経営体制を新しいものに変えていこうというようなことで、具体的には今社長を私がやっているわけですけれども、それをCOOの岡村にバトンタッチをしていくというようなことが1点。
そして、会長の南場に関しても代取会長は継続はするんですけれども、より取締役会での議長というか、そこに重点を置いて、執行業務からは距離を置きながら見ていくというようなかたちで経営体制、執行体制のところを新しくしていくというようなことで、来年度からこのようなかたちで取り組んでいきたいと思います。
それでは最後に、新社長の岡村から抱負をお話しさせていただきます。
岡村信悟氏:はい。みなさん、こんにちは。コロナ禍がもう1年近く続いて、依然として収束する見通しがつかない、なかなか先が見通せません。社会にとっても、大きな変革期だと思います。こういう時期に、新年度から重責を担うことになりました。どうかみなさま、よろしくお願いいたします。
私は5年前にDeNAに入社して以来、球団、球場の一体経営、そして2年前からはCOOとしてDeNA全体の経営に、守安、南場とともに関わってまいりました。それらの経験を踏まえて、この会社は20年過ぎたばかりで、まだまだ若い会社ですけれども、非常にポテンシャルがあると思っています。
特にここに集まっている人材の豊かさというのは、私にとって大きな希望を抱かせるものです。DeNAは、エンタメ、ゲームエンタメの世界から、そして社会課題解決の領域まで、インターネットやAIというものを自在に操りながら、活用しながらユニークな事業領域を展開しています。
守安が南場とともに築いてきた、そうした会社のこれまでの資産、経験をしっかりと生かして、さらに、この困難な時代ではありますけれども、デライトというものをみなさまに届けられるように懸命に努めてまいりますので、どうかみなさまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。