日本学生支援機構(JASSO)の『平成30年度(2018年度) 学生生活調査』によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で47.5%、短期大学(昼間部)で55.2%、大学院修士課程で48.0%、大学院博士課程であることが明らかになりました。
一方で、奨学金も見方を変えれば立派な借金です。今回は結婚後に結婚相手に数百万円の奨学金があることが発覚した夫婦のトラブル事例について解説させていただきます。
質問①:数百万円の借金発覚、離婚できる?
結婚後、結婚相手に借金が数百万円あることが発覚しました、奨学金返済の借金のためギャンブルのような悪い借金ではないと、頭で分かっているのですが、今後2人で返さなくてはいけないことを考えるとどこかモヤモヤします。実際にこのようなケースで離婚をすることは可能なのでしょうか?
回答①:正当な事由で生じた借金だけだと、離婚成立は難しい
正当な事由で生じた借金であると、これだけを理由として離婚を成立させるのは難しいと思われます。これが婚姻期間中ギャンブルやそのほか遊びで作った借金であれば離婚理由として十分だと言えましょうが、借金の理由が学生時代の奨学金ともなると、正当な理由だと言わざるを得ません。
ただし婚姻の経緯から見て、例えば何度も「借金などはないよね?」などと確認していたにもかかわらず、告知しなかったなどの場合には重大な告知義務違反等があり得るのではないでしょうか。
質問②:夫婦での円満解決どうすれば?
弁護士の先生から見て、このようなケースでは私がどのような対応を行うことが、最も円満に解決できるとお考えでしょうか?離婚以外で、いい解決方法があれば教えていただきたいです。
回答②:奨学金の額と返済プランの確認を
借金の額の確認と返済プランの確認から入るべきでしょう。返済分は夫婦の共有財産からの目減り分が生じていることを意味するものですから、まず家計からどの程度のお金が出ていってしまっていて、どの程度家計を圧迫しているのか、確認しておくべきです。
また、今後夫婦関係において財産上のトラブルが生じないように予防をしておくことが最も重要なことかと思います。予防をするにはたとえば家計簿をつける、家計簿をつける際にどこの銀行に何がある、どこの銀行にどれだけ借金がある、などの家計の出し入れをしっかり計算し把握しておくことが重要なのです。
参考資料
齋藤 健博