さらに、60代の貯蓄額の分布(金融資産保有世帯)も見ていきます。

  • 100万円未満:4.5%
  • 100万円以上500万円未満:18.2%
  • 500万円以上1000万円未満:14.5%
  • 1000万円以上1500万円未満:12.8%
  • 1500万円以上2000万円未満:7.5%
  • 2000万円以上:32.1%
  • 無回答:10.4%

「金融資産を保有していない世帯を含んだ」60代の貯蓄額の分布もみてみましょう。

  • 100万円未満:3.5%
  • 100万円以上500万円未満:13.8%
  • 500万円以上1000万円未満:11.1%
  • 1000万円以上1500万円未満:9.8%
  • 1500万円以上2000万円未満:5.8%
  • 2000万円以上:24.5%
  • 無回答:7.9%

貯蓄額2000万円以上と回答した世帯が、金融資産保有世帯で全体の32.1%、金融資産を保有していない世帯を含めると全体の24.5%という結果でした。

この結果からみると、ほとんどの方が2000万円以上の貯金が準備できているという状況ではないようです。

「2000万円以上の貯金がある」という方は、老後に向けてこつこつと計画的に準備したという方もいるかと思いますが、やはり60代定年後に受け取る企業退職金が貯金額に大きく影響しているといえるでしょう。

「老後2000万円問題」とは

冒頭で老後2000万円問題について触れましたが、今一度確認しておきたいのは、老後必要な貯金額は2000万円で本当によいのかということです。

2019年6月の金融庁のレポートから話題となった「老後2000万円問題」を振りかえってみましょう。

まず、2000万円という金額の根拠となったものが何だったかを確認してみます。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」から、モデルケースとなっている世帯は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯であることがわかります。

同資料内の「第 21 回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料」によれば、この世帯の毎月の収支は次の通りです。

  • 収入(おもに年金):約20万9198円
  • 支出(おもに食費):約26万3718万円

このモデルケースの赤字分となる金額は月約5.5万円になることから、この赤字分を計算し、老後が約30年間続いたと仮定した計算式が下記になります。

  • 5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円

こうして、2000万円という金額が算出されました。この計算式は、あくまでモデルケースによる概算です。

そのため、2000万円あれば足りるのかということについては、それぞれの世帯の状況により変わってくるかと思いますので、一度専門家と一緒に計算してみるとよいでしょう。