2021年2月2日に行われた、宇部興産株式会社2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:宇部興産株式会社 常務執行役員 CFO 藤井正幸 氏

連結対象会社

藤井正幸氏:みなさん、こんばんは。宇部興産の藤井でございます。お忙しいところをご参加いただきまして、ありがとうございます。では、さっそくですが、本日発表いたしました2020年度第3四半期連結決算につきまして、資料に沿ってご説明をいたします。よろしくお願いいたします。

資料の右下にページ番号が振ってございます。まず3ページのスライド、連結対象会社の異動のところでございます。連結子会社数は3社減で66社、実際には1社増、4社減です。

右の適用欄に社名が記載してあります。増えた1社は、Premium Composite Technology North Americaです。これは北米のコンパウンド会社を買収したものでございまして、第1四半期に連結に入ったものです。

その次の減ですが、U-MHIプラテック、U-MHI PLATECH AMERICAの2件につきましては、射出成形機の事業は三菱重工との合弁体制でしたが、これを宇部興産機械に吸収合併いたしましたので、第2四半期に連結から外れました。

その下の安逸達電解液技術(張家港)有限公司は中国の電解液の会社でございまして、当初、当社が100パーセントでやっていた時の会社でございますが、清算が結了しましたので連結から外れました。これも第2四半期です。

宇部アンモニア工業は第3四半期に連結から外れました。当社にこの会社の事業を全部吸収いたしましたので、連結から外れたということでございます。

続いて、持分法の適用会社数です。数の上では26社で変わらずですが、1社増、1社減という内訳です。増加したのは、MUアイオニックソリューションズ株式会社です。こちらは電解液の事業を、この下期から三菱ケミカルとの合弁体制に移行しまして、当社20パーセントの出資で持分法の適用会社に入ってくることになります。

その下の常熟宇菱電池材料有限公司は中国の電解液をもともと三菱ケミカルさんと50、50で行っていた会社ですが、今般のその上にありますMUアイオニックソリューションズの100パーセント子会社になるため、当社の持分法からは外れます。いずれの異動も連結業績への影響は軽微でございます。

環境要因

続いて、4ページのスライドの環境要因です。為替レートは、第3四半期はやや円高で推移しております。累積期間で見てもやや円高に推移してございます。

それから、資材価格でございます。ナフサ、ベンゼン、石炭、それぞれ昨年度同期間と比べますと、かなり価格が下がった状態で推移してございます。ただ、第3四半期3ヶ月で見ますと、第2四半期からは上昇している水準でございます。

主要項⽬

続いて、5ページのスライドです。主要項目の概要でございますが、全体像としましては減収減益という決算になっています。売上高は、終わった第3四半期実績値で4,389億円、前年同期に比べますと589億円の減収、率にして11.8パーセントの減収になります。

それから、営業利益は138億円ということで、前年同期比で115億円の減益、率にしますと45.6パーセントの減益です。経常利益ですけれども、実績値が105億円、前年対比で143億円の減益、率にして57.6パーセント。親会社株主に帰属する四半期純利益は、実績値89億円、前年同期比で62億円の減益、率にして40.9パーセントの減益という結果でございました。

今年度上期におきまして、コロナの影響、とくに化学、機械等で大きく受けたことと、化学はアンモニアの定修年でもありましたので、対前年度では上期の悪化の影響が大きく出ているような状況になっております。ちなみに、10月から12月の第3四半期3ヶ月だけを見ますと、売上高は若干減収ではありますが、利益は増益に転じて回復基調で推移しているところでございます。

セグメント別 売上⾼/営業利益

続いて6ページのスライドです。売上高、営業利益のセグメント別の内訳をお示ししております。まず、売上高です。全体として、前年同期に比べると589億円の減収と申し上げました。化学、建設資材、機械、それぞれ減収でございますが、化学が352億円の減収、建設資材が153億円の減収、機械が101億円の減収です。

右のほうに増減率が書いてございますが、建設資材は比較的減収の率としては小さめになっています。建設資材部門は、コロナの影響が比較的限定的であったというのが見てとれると思っております。

その下の営業利益でございますけれども、トータルとしては前年同期比で115億円の減益でございました。大きいのはやはり、化学の95億円の減益というところ。建設資材に関しては、2億円の減益ですから、まあほぼ前年同期に近い水準になっているところです。それから、機械が18億円の減益。化学、機械でとくに上半期、コロナウイルスの影響を大きく受けたところでございます。

差異分析 全社

続きまして、7ページのスライドです。全社の差異分析です。セグメントごとの内訳は、前のページでお示ししたとおりでございます。右のほうの営業利益の差異の内訳で、価格差として45億円のマイナス、数量差で86億円のマイナス、固定費ほかでプラスの15億円の改善要因があり、トータルとしては115億円の減益となっております。

差異分析 化学

8ページのスライドからセグメント別のご説明になります。まずは、化学のセグメントです。売上高352億円の減収でございましたが、サブセグメントの内訳にお示ししているとおりでございます。それぞれのサブセグメントともに減収です。

大きかったのはナイロン・ファイン、それから合成ゴムといったところ。ナイロン、ラクタムはコロナの影響を大きく受けまして、価格が下がっている影響が大きなところ。それから、工業薬品は定修がありましたので数量減の影響がありますし、ファインケミカルもやはり価格、数量ともにコロナの影響を受けて減収になっております。

それから、合成ゴムで102億円の減収です。こちらもやはり価格要因が大きいところでして、原料のブタジエンが大きく値下がりして、それに追随して製品価格のほうも下がっているといったところです。

それから、機能品では39億円の減収です。こちらもポリイミドは増収でしたが、それ以外の機能品の製品、それぞれやはり需要の減退で減収になっています。それから、医薬が18億円の減収。こちらも出荷量が減少しているところでございます。

その下の営業利益ですけれども、化学全体としては95億円の減益ですが、内訳はその右でご覧いただいていますとおりです。もっぱら大きいのはやはりナイロン・ファインのところです。ナイロン、ラクタムが価格も下がっていますが、スプレッドのほうが非常に圧縮をされているところの影響です。

合成ゴムにつきましても、こちらもやはりスプレッドの影響が大きいところです。原料価格以上に製品価格が値下がりをしているといった状況が、とくに上期に発生しています。

それから、機能品で2億円の減益になっています。ポリイミドは増益になりましたが、売上のところでも申しましたが、ポリイミド以外の機能品も需要減退により、数量減の影響が出ているところです。

医薬につきましては4億円の減益です。こちらも売上で申しましたように出荷の減少といったところです。医薬につきましては、出荷のタイミングによってぶれることがございますが、対前年でも出荷は減少していました。

営業利益の差異は、価格差、数量差で見ますと、価格差として82億円の減益です。こちらはもっぱらナイロン、ラクタム、合成ゴムといったところのスプレッドの悪化部分がきいているところです。

それから、数量差43億円のマイナス要因ということですけれども、こちらの数量差はポリイミド以外の機能品の製品がやはり数量的にはマイナスの影響がそれぞれ少しずつ出ているといったところです。その他は固定費ほかで、プラスの30億円の増益を担っております。注釈で、在庫の評価差、低価法の影響を含むというところですが、これらで大体20億円ぐらいのプラス要因になっております。それ以外のところで10億円ぐらいのプラス要因ということです。合わせて95億円の減益です。

差異分析 建設資材

続いて9ページのスライド、建設資材部門です。売上高153億円の減収ですが、内訳からご覧いただけますように、一番大きいのは石炭のマイナス114億円です。石炭につきましては、価格が大きく下がっております。それから、数量も販売炭・預り炭とも若干減っておりますので、そういった数量要因も含まれております。

それから、もう一つは建材・石灰石関連の子会社の宇部マテリアルズが行っております石灰石製品、カルシア、マグネシア等です。こちらの売上が需要減退にともないまして、売上減というところです。

電力につきましては、石炭価格が下がっておりますので、ベース価格が下がったことでの売上減です。一方、セメント・生コンのところで35億円ほど増加になっております。実際にはそのセメントと生コンの製造販売では、それほど大きな売上増になっているわけではございません。今回、建設資材の関係の商社機能のところで、グループ会社の再編が行われました。その影響で商社機能のところでのプラスが発生したということで、損益的にはこの部分はあまり大きく響いておりません。

営業利益ですが、対前年で2億円の減益です。内訳はご覧のとおり、セメント・生コンではプラス10億円です。これは石炭価格下がっておりますので、そのコストダウンの効果があったところです。

建材・石灰石関連につきましては、売上で申し上げたように、宇部マテリアルズのカルシア、マグネシア等の需要減によるマイナスの20億円です。石炭は価格、数量が下がっておりますけれども、損益影響はそれほど大きなものではありません。電力につきましては、原料の石炭が下がっているところと、IPPが今年は定修がない年でございました。そういったコスト面のプラス要因が入っております。

価格差、数量差等で見ますと、価格差はプラスの37億円です。こちら、石炭の価格が下がったことによるところが大きいです。一方の数量差でマイナスの38億円ですが、こちらは宇部マテリアルズの石灰石製品の需要減に伴う数量減が大きなところです。あとは固定費ほかではマイナスの2億円で、トータルすると2億円の減益という結果になっております。

差異分析 機械

続いて10ページ、機械部門です。売上高101億円減収でございます。こちらにつきましては、やはりコロナの影響を受けました成形機がもっぱらマイナス要因としては大きいところです。その他、製鋼品の鋳造品の需要減の影響がマイナス要因として効いています。

それから、営業利益として18億円の減益です。こちらも売上同様ですが、影響として大きいのは成形機の出荷減によるマイナス、それから製鋼品の需要減のところです。産機についてはプラス要因ということで増収増益になっておりますが、成形機、製鋼品のマイナスが大きくまさったといったところです。

それから、価格差、数量差は製鋼品だけになります。価格差ほとんどありません。数量差のところでマイナス6億円、それから固定費ほかのところに機械の限界利益の影響が出ております。下のほうに注釈がございますが、機械部門の限界利益として20億円ほど対前年で悪化している影響が大きく出ているところでございます。

営業利益〜四半期純利益

続いて、11ページのスライドです。営業外損益、特別損益等です。営業外損益としては、この第3四半期の実績値はマイナス32億円でした。前の期と比べますと、27億円ほど悪化しております。

内訳をお示ししておりますが、持分法投資損益は持分法の会社につきましても、やはり業績が悪化してきておりますので、そちらでの取り込みが減少しているところ。それから為替差損益で少し悪くなっております。こちらは第3四半期はやや円高で振れた影響が出ているところです。

それから、その下に特別損益の欄がございます。終わった第3四半期までの実績値がプラスの15億円です。これに対して前年同期がマイナスの55億円で、差としてはプラス71億円よくなったかたちになっております。昨年度につきましては、ゴルフ場の事業譲渡を決めましたので、これにともないまして、減損損失46億円を計上しているといった影響がございます。

一方で、今年度ですけれども、この下期から電解液の事業を再編しました。これにともないまして、一過性の持分変動利益が出ており、この計上等がございました。そういったプラスマイナスの差し引きで見ると、71億円ほど改善したかたちになってございます。

こうしたところで下から二番目にありますように、親会社株主に帰属する四半期純利益は89億円で着地しているところです。

貸借対照表

続いて、12ページのスライドです。バランスシートに関してでございます。総資産7,420億円で、前年度末、3月末に比べると若干増加はしております。負債でございますが、有利子負債が331億円ほど増加して、残高として2,239億円になっております。

社債の発行もしておりますが、やはり新型コロナの影響も懸念されて、手元の現預金を厚めにキープしております。そういったところで資産のほう、流動資産も少し増えておりますし、有利子負債も増加しているところでございます。

それから、純資産の自己資本ですけれども、第3四半期末3,370億円で、前期末から比べると46億円ほど増加したかたちになっております。中間配当も実施しておりますが、それを差し引いた上で46億円の上積みをしている状況でございます。

キャッシュ・フロー計算書

続いて、13ページのスライドはキャッシュ・フローに関してです。営業活動によるキャッシュ・フローはこの第3四半期までで386億円のキャッシュ創出。一方で投資活動によるキャッシュ・フローは325億円のキャッシュ・アウト。差し引きしますと、フリー・キャッシュ・フローが60億円でございます。

財務活動によるキャッシュ・フローは有利子負債を厚めにキープをしておりますので、202億円。配当を支払った後で202億円のキャッシュ・インというかたちになっております。

一番下、現金及び現金同等物の四半期末残高は678億円で、申し上げましたように、厚めに確保して推移をしている状況でございます。

第3四半期の連結決算の概要は以上でございます。通期の業績予想ですが、こちらは昨年10月23日に発表しております、業績予想から変更はございません。配当予想につきましても、年間1株当たり90円という従来予想を据え置きとさせていただいております。私からのご説明は以上です。

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