「統率力」よりも求められるものは…

今シーズンの大ヒットドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(TBSテレビ)では、菜々緒さん演じるファッション誌「MIYAVI」編集長の宝来麗子は、言葉数が少なく部下を強く引っ張るリーダーで、とてもかっこよく見えます。部下からの反発はありますが、雑用係の鈴木奈未(上白石萌音さん)が編集長の意図や気持ちを伝えるクッションのような役割を担っています。

このような時代にカリスマ的なリーダーは必要なのではないか、とも考えますが、やはり「人望ありき」でしょう。麗子には奈未という「共感力」があり、また「MIYAVI」への変わらぬ情熱を感じます。

コロナ禍で苦境に立たされている観光業界ですが、その代表企業ともいえる星野リゾートの星野佳路代表は、社員にメッセージを発信し続けることで社内全体の士気を鼓舞しています。時間があれば社内限定ブログを更新し、社員がもっとも気になっているであろうことにも、積極的に自身の考えを発信。例えば「倒産確率」なども公表しているというから、驚きです。これこそまさに「共感力のあるリーダー」といえるかもしれません。

ここで挙げた人物は、上司というよりもリーダーといったイメージが強いですが、人の上に立つという点ではあなたの上司も同じです。また自分が上司になる/なっている人にもいえることでしょう。

自分が会社に対してできること、そして目指したいもの。それらにおいて自分なりの考えがあり、そして部下を思う気持ちがある人。そういう人が支持されるのは、いつの時代も変わりません。ただ、「共感力」がより重要になってきていることは指摘できるでしょう。

星野代表は#SHIFTの取材において、「星野リゾートのスタッフは、例えるなら、大事に育てて代替のきかない野球選手。だからスタッフの離職は、星野リゾートにとっては最大のロスになる」と話しています。転職活動がしやすい時代になっています。コロナ禍で動きにくくなっている人も、アフターコロナは転職活動を再開するでしょう。部下を想うことは会社の利益にもつながること、そう考えると、部下に共感できる上司は今の時代に必要とされているといえます。

参考資料

【調査概要】
• 調査対象:全国の働く男女
• 調査期間:2020年12月3日~12月4日
• 調査方法:インターネットによる任意回答
• 調査人数:500人(女性332人/男性163人/未回答5人)

尾藤 ちよ子