「あれ…もしかしたら?」我が子が発達障害かも…と思った時

大人しいけれど…「どうして言葉を間違うの?」

Nさん(40代、出版社勤務)の高校生である長女は、LDと診断を受けているようです。診断を受けるまで時間がかかったといいます。

「最初に違和感を覚えたのは、2歳になっても意思疎通を図る言葉が少なかったことです。そして人見知りではなく、場所見知りがあったこと。さらに、おもちゃの使い方が独特だったことも気になる点でした。例えば、娘に絵本を渡しても『車のハンドルのようにぐるぐる回し始める』など、使い方が周りの子と違ったのです」

「場所見知りとは、例えばお友達の家にお呼ばれしても、玄関から先に進めないのです。靴を脱げず、その場に立ち尽くしていました。ものすごく警戒心が強い子だと思いました。お友達に手をあげる等の問題行動がなかったので、気づくのが遅くなったとも言えますね…」

またNさんは、娘さんの言葉が特徴的だったとも話します。

「凄く特徴的だったのは『エコラリア』があったこと。お気に入りのビデオ(DVD)を何度も繰り返し観て、今自分が置かれている状況と全然関係のないセリフ(言葉)を言ったりするのです。また、意味をもたない数字の羅列を突然、口にすることがありました。同じ保育園のお友達に『気持ち悪い』『どうして○○ちゃんは言葉を間違えるの?』と言われたことがあり、辛かったですね…」

「エコラリア」・・・「相手が何か言うと、その言った内容をすぐにそのまま繰り返したり(=即時性エコラリア)、以前聞いたコマーシャルの一部を時間をおいて繰り返したり(=遅延性エコラリア)します。」 田中 真理「特集 ひととひととのコミュニケーションとは―自閉症児との関わりから―」『まなびの杜』(東北大学季刊、2009秋号))

その他には強いこだわり(半袖半ズボンは苦手で、真夏も長袖長ズボン。決まったトイレでないと用を足せない)などがあり、3歳児健診で指摘され、その後に発達障害と診断されたそうです。ただ、その傾向も年齢が上がるごとに消えていき、現在は「学習面で困ること」が残っているということです。

意思疎通ができない…「なぜうちの子は」

Hさん(30代、専業主婦)は2児の母で、8歳の長男がASD・ADHDと診断されています。

「言葉が出てこないな…とは思っていました。ですが何か問題行動があるわけではなく、近所の児童館でもお友達と楽しく過ごせていたので、問題ないと思っていました。ただ3歳児健診のとき、先生が息子の後ろから「○○くん」と名前を呼んでも振り向きませんでした。確かに私が呼んだときも、振り返ってくれたことはなかったな…、と気づいたのです。いつも息子を追いかける日々。車道に飛び出さないように、迷子にならないように、いつもいつも神経をすり減らしてきました。必死すぎて、気づかなかったのです」

Hさんの息子さんは耳の検査をしましたが、異常なく、その後別の病院でASD/ADHDと診断されたといいます。

Hさんは言います。「言葉が出ても『あか』とか色を始めに覚えて、『ママ』と呼んでくれたのは5歳になってからでした。オウム返しは6歳頃まで続き、抽象的な質問(幼稚園では何したの?など)をすると『何した』と返事する期間が長くありました。

また多動性が強く、毎日何時間でも滑り台を滑っていて、それは真夏も続きました。私は熱中症で倒れてしまったこともあります」

こだわりの強さも特徴だったといいます。「お布団のシーツを整えるのに何時間もかかっていましたね。結局上手くできなくて泣き叫ぶのですが、親がやってあげると余計泣くので、こちらもどうすることもできず…。簡単にセットできるシーツを買ってきても、やはり彼なりのこだわりがあるのでしょうね。寝る前にシーツの件で泣き叫ぶ日々が続きました。道順のこだわりも強く、例えば道路工事をしていて通行止めなんかがあったりすると、もう大変。何度も何度も説得しますが、言葉が通じないとむなしくて…。こちらも泣きそうになりました」

言葉の遅れやそれに伴うコミュニケーションの困難さ、こだわりの強さ、多動性が目立っていたといいます。