年金ってマジメに払ったら損?
では、「もらえる年金額」のイメージができたところで、今回のメインテーマである「年金保険料をマジメに払うのは損なのか」について考えていきましょう。
現役時代に年金保険料をきちんと納めていても、老後に受給する頃には「納めた分の元が取れないこともあり得るのでは?」と疑心暗鬼になる人もいるでしょう。
少子高齢化で年金制度を支える現役世代の減少はかねてから問題となっていましたが。さらに、コロナ禍の長期化による先行き不安から、これまで以上に公的年金に不安を覚える人が増え感じる人が増えるのはある意味自然なことです。
サラリーマンの年金保険料は給料天引きで、「強制的に」支払うしくみです。一方、自営業やフリーランスのみなさんはご自身で納めていますので、より負担感を覚えやすいかもしれません。
よって「国民年金(1階部分のみ)」を受給予定の人が、特に年金不安を強く感じることは、ある意味自然ではないかと考えられます。
とはいえ、現役世代のみなさんにとって、「年金保険料を払わない」という道は、かしこい選択とはいえないでしょう。それには理由があります。
年金保険料をマジメに払ったほうが賢明なワケ
自営業者が負担する国民年金保険料は、2020年4月~2021年3月分で月額1万6540円。
この金額は毎年度見直しが行われるのですが、仮に、この金額で20歳から60歳まで納付した場合、40年間の合計納付金額は約794万円になります。
先述のとおり、国民年金の受給金額は毎月平均約5.6万円(2019年)。この金額20年間受給した場合、受給金額総額は約1340万円です。
国民年金の支給額の二分の一は国庫負担ですので、「納付額に対する受給額」が大きくなっていることも、ぜひ知っておきたい部分です。
将来的に年金受給額が減少することは、当然考えられます。しかし「きちんと納付・しっかり受給」という方法が賢明であるといえるでしょう。
受給開始時期を繰り下げるとどうなるの?
現行の公的年金受給開始年齢は65歳ですが、この受給開始年齢を繰り下げることで、毎月の受給額を増やすことができます。さらに2020年6月の年金金制度改正法により、この繰り下げ可能年齢が70歳から75歳まで引き上げられています。
具体的には、受給開始年齢を70歳にすると、毎月の受給額は42%増、75歳(上限)まで繰り下げると、毎月の受給額は84%増、という、かなりお得な計算に。
さいごに
2021年4月から、70歳までの雇用が各企業に努力義務化されます。もはや、60代は老合ではない、といったところでしょうか。
健康状態に自信があれば、70歳まではマイペースで就業し、つみたてNISAや個人年金などを活用した資産形成を続行。70歳以降、受給開始を繰り下げで増額された公的年金を生活の柱として過ごす、といったことも視野に入れてよいかもしれませんね。
年金は「きちんと納付・しっかり受給」、資産形成は「早めのスタート」がたいせつです。この2つを意識することが、ゆとりある老後生活への第一歩となるかもしれません。
参考資料
- 厚生労働省「令和元年簡易生命表」
- 厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
LIMO編集部