LCOS(Liquid Crystal On Silicon)や有機ELのマイクロディスプレーを手がけるKopin(米マサチューセッツ州)は、マイクロLEDディスプレーを開発しているジェイドバードディスプレー(Jade Bird Display=JBD、香港)と複数年の開発契約を締結したと発表した。両社でシースルーのAR(拡張現実)/MR(複合現実)用途を開拓していく考えだ。

2K×2K単色の量産化目指す

 契約に基づき、Kopinが設計・提供するシリコンバックプレーンウエハーに、JBDがマイクロLEDウエハーをボンディングし、モノリシック型の2K×2K(解像度2048×2048)単色マイクロLEDディスプレーを開発・製造する。

 KopinのCEO兼創設者であるDr.John CC Fan氏は「最大400万ニットの高解像度な単色マイクロLEDディスプレーは様々なアプリケーションで顧客のニーズを満たせる。成長するマイクロディスプレーのポートフォリオを補完し、新たな市場機会を開くことができる」と述べた。

 また、JBDのCEO兼創設者であるQiming Li博士は「当社は超高輝度単色マイクロLEDディスプレーを市場投入した最初のメーカーの1社。Kopinとは補完的な機能があり、強力なパートナーシップになる」と語った。

JBDは3色モジュールもラインアップ

 JBDは中国・上海に工場を持つマイクロLEDディスプレーの開発会社で、2015年に設立された。第1世代の製品として、画素ピッチ20μmの0.63インチ単色マイクロLEDディスプレーを商品化。19年4月には、5μmピッチで解像度1280×720(5000ppi)の0.31インチ単色マイクロLEDディスプレーを市場投入した。

 さらに、20年10月にAmμLEDファミリーの新製品として、対角0.13インチ(3.3㎜mm)で単色のマイクロLEDディスプレー「JBD4UM480P」を発表し、同年11月から量産を開始。RGB各色をラインアップし、3色を組み合わせたポリクロームモジュールなども取り揃え、スマートグラスなどに提供していく考えを表明していた。

Kopinはラインアップをさらに拡充

 Kopinはこれまで、戦闘機のパイロット用ヘルメット向けなど、主に軍事用にLCOSを開発・製造してきたが、近年は中国FPD(Flat Panel Display)大手のBOEや、ファンドリーパートナーである中国のLakeside Optoelectronic Technologyとの共同開発で有機ELマイクロディスプレーもラインアップに追加。発光層を2層化して輝度を高めたデュオスタック型マイクロ有機ELディスプレーを開発するなど、製品の多様化と高性能化を進めている。本件でマイクロLEDディスプレーもラインアップに加え、軍事用だけでなく、AR/MRスマートグラスなど民生用途への展開も視野に入れていく。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏