2020年12月1日に行われた、アズワン株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アズワン株式会社 代表取締役社長 井内卓嗣 氏
アズワン株式会社 取締役コーポレート本部長 西川圭介 氏

業績推移

西川圭介氏:アズワン株式会社コーポレート本部長の西川です。これよりアズワン株式会社2021年3月期、第2四半期決算説明を行います。コロナ禍での対応ということで、本来であれば決算説明会を開催するところが動画配信となりましたこと、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

冒頭では、当社の業績の推移と特徴について簡単にご説明します。スライドの棒グラフは、2008年3月期から13年間の業績推移を示しています。当社の特徴は、着実に収益を上げ、安定的に成長する企業ということです。リーマンショックの時にも大幅な下落はなく、安定的に成長を続けています。

収益率推移

3ページのグラフも端的に当社の特徴を表しているグラフとしてご紹介します。赤の折れ線グラフの売上高総利益率は3割、緑の折れ線グラフの販管費率が2割、青の折れ線グラフの営業利益率が1割です。非常にブレが少ない状態で推移しており、安定した高収益性が当社の特徴です。

今回の決算説明では、2021年3月期第2四半期の決算概要と通期の業績予想を私からご説明します。上期総括、中期経営計画「PROJECT ONE」の進捗状況については、当社代表取締役社長の井内がご説明します。

21/3期第2四半期 業績概要

第2四半期決算の概要です。売上高は352億8,000万円で、前年同期比で8.3パーセントの増収、営業利益は35億2,000万円で、前年同期比で8パーセントの減益です。四半期純利益は25億5,000万円で、前年同期比で6パーセントの減益となりました。

売上高は10年連続過去最高です。営業利益、四半期純利益は今年5月から稼働した大型の自動化物流センター「スマートDC」の償却費、賃料などの販管費の増加により減益となりましたが、計画比では期初想定を上回りました。

ラボ・インダストリー部門 ラボラトリー売上

事業別部門の売上高です。ラボラトリー分野の売上高は197億3,000万円で、前年同期比で6.1パーセントの増収です。インターネット通販会社向けの売上が伸び、感染対策用品の販売が伸長しました。

ラボ・インダストリー部門 インダストリー売上

インダストリー分野です。売上高は69億1,000万円で、前年同期比で4.6パーセントの減収です。製造業を中心にコロナ禍における景気低迷の影響を受けました。

メディカル部門売上

メディカル分野です。売上高は84億4,000万円で、前年同期比で29.4パーセントの増収です。感染対策用品や非接触体温計等、コロナ禍で必要とされる商品の需要が継続し、大幅な増収となりました。

営業利益増減理由(粗利)

営業利益の増減に関わる要因についてご説明します。売上総利益は109億9,000万円で、前年同期比で7.6パーセントの増益となりました。こちらは増収の効果によるものですが、コロナ禍で一時的に海外輸入商品が調達困難になったこともあり、粗利率は0.2ポイント低下しました。

営業利益増減理由(販管費)

販管費は74億6,000万円で、前年同期比で16.9パーセントの増となりました。「スマートDC」の稼働による8億円の増加、運賃・倉庫作用料単価の値上げ継続による影響を受けました。計画比においてはコロナ禍における抑制的な経費運用もあり、3億6,000万円の減です。

21/3期 第2四半期損益計算書

結果として、営業利益は計画比で約4割の増益になったものの、「スマートDC」の費用負担により前期比では想定どおりの減益となりました。

21/3期通期業績見通し

2021年3月期通期業績の見通しです。売上高は750億7,000万円で、前年同期比で6.6パーセントの増収、営業利益は68億2,000万円で、前年同期比で20.2パーセントの減益です。当期純利益は49億円で、前年同期比で17.9パーセントの減益と計画しています。

売上高見通しの前提条件としては、経済活動の停滞からの回復を見込んでいること、また前年10月の消費税増税による売上高の反動減があったこと、同じく前年度の第4四半期にはコロナ発生による急激な需要の高まりがあったことも考慮しています。

分野別通期売上見通し

事業分野別の見通しについてはスライドに記載のとおりです。ラボラトリー分野は、当社のメインカタログ「研究用総合機器カタログ」のリニューアル、加えてウェブでの品揃えの拡大を引き続き図り、前年同期比で5.4パーセントの増収を計画しています。

インダストリー部門は、手探りながらも下期は業績回復を見込みますが、通期では前年同期比で0.4パーセントの減収です。メディカル部門は、継続して感染対策用品の需要に対応し、前年同期比で18.6パーセントの増収です。

物販を除くその他部門については、コロナ禍の影響でトライアンフ21の新規サービス投入に遅れが生じたこともあり、減収の見通しとしています。

粗利見通し

売上総利益については231億円で、前年同期比で5.3パーセント増益の計画です。海外輸入商品の調達状況は回復しつつありますが、感染対策用品の原価上昇を見込んでいます。また、プロダクトミックスによる粗利率の向上を図っていきます。

販管費見通し

販管費は162億8,000万円で、前年同期比で21.6パーセント増の計画です。販管費の見込みは期初想定どおりですが、「スマートDC」の不動産賃借料、減価償却費など、約17億円のコスト増となります。また、運賃に関しても値上げの影響で上昇継続を見込んでいます。

21/3期予想損益計算書

2021年3月期においては上期上振れ分もあり、売上高は過去最高を見込むものの、営業利益、経常利益、当期純利益は減益の見込みです。この減益は「スマートDC」稼働による一時的なものと考えています。

配当予想

配当予想は一株あたり131円で、前年比で29円の減と予想しています。配当性向50パーセントの方針に基づき、上期の計画比増益を踏まえて期初配当予想から10円の増とします。

投資推移

投資計画についてですが、「スマートDC」の立ち上げにまつわる大型の投資は一旦ほぼ完了している状況です。

償却費推移

償却費は「スマートDC」関連を含め、約16億円を見込んでいます。一部投資が遅れている部分があり、期初見込みからは1億6,000万円の減としています。以上が2021年3月期第2四半期決算説明、及び通期業績見通しのご説明でした。

上期総括

続いて、当社代表取締役社長の井内より上半期の総括、および2021年3月期よりスタートした中期経営計画「PROJECT ONE」の進捗状況についてご説明します。

井内卓嗣氏:社長の井内です。私からは上期の総括、中期経営計画の進捗、トピックスについてお話しします。まず期初の想定ですが、年始早々中国において都市封鎖が実施されました。

アズワン上海の売上が激減したことを受け、日本でも今期は大変厳しい環境となることが見込まれました。しかし、日本には中国事業にはない医療分野を有していることから、それほどの落ち込みには至らないと想定し、前年並みの売上を目標として据えました。

実績として、国内メディカル分野が計画より26パーセントのアップと大幅に伸長し、また研究や産業部門も感染対策の特需により想定を上回ったことから、全体では8.6パーセント増の352億8,000万円となりました。

利益に関しては、5月より新たに「スマートDC」が稼働し、賃料やマテハンの償却が始まるため、前年対比で30パーセントの減益を想定していました。しかし計画を上回る営業売上により、利益も計画対比で4割ほど上振れとなりました。

コロナ禍下で活躍する商品群

感染対策品として売上を牽引した商品群をご紹介します。マスク、手袋、フェイスシールドといった当社が得意とする消耗品をはじめ、新規領域として開発を進めてきた医療機器類である放射温度計やパルスオキシメーター、またPCR装置や検査に必須となる安全キャビネットも上期で17億円を上積みできたと試算しています。

中期経営計画の5年後の目標

中期経営計画の進捗です。今年度よりスタートした新たな中期経営計画「PROJECT ONE」で掲げる5年後の目標です。

まず成長のシフトアップとして、昨年度売上の703億円を5年後には1,000億円に、収益性の向上として営業利益率12.1パーセントを12.5パーセントへ、企業価値の向上としてROE10.9パーセントを12パーセントに引き上げる目標を掲げ、持続的かつ着実な成長が可能となるプラットフォームの強化を目指していきます。

売上高1,000億円へのロードマップ

1,000億円に向け、年平均成長率は7.3パーセントとしています。増加の内訳としては、サービス等の新規ビジネスで39億円、海外で25億円、eコマースで127億円、既存分野のシェア拡大で105億円の上積みによる達成を計画しています。

eコマース通期見通し

特に力を入れているECビジネスの全体像や取り組みについてご説明します。今年度のeコマース目標は157億7,000万円で、前年比で14.7パーセントのアップを目指しています。

当社のeコマースはスライドのピラミッドの図のとおり、3つのメニューで構成されています。大企業向けの「ocean」、中企業向けの「Wave」、小企業向けの「AXEL」と、ユーザー規模に応じた使い勝手のよい仕組みを提供しています。

DXの推進にも繋がるeコマース

DX推進が叫ばれる中、eコマース分野は今後も高い伸びが期待されます。スライドのグラフのとおり、昨年時点で当社のeコマース売上138億円のうち、約5割が大手企業向けの集中購買、約4割が通販企業向けの売上、約1割が自社通販サイト「AXEL」での売上となっています。今後5年間でおよそ2倍の260億円を目指していきます。

Wave利用の推進

当社が持つeコマースの中でも、今後は地域の販売店と連携し「Wave」の利用推進に注力していきます。今年はコロナによって地域の販売店にユーザーが出入りしづらい環境が継続しています。対面営業に依存しない販促スタイルの提供、また販売店の業務効率化にもつながることから、積極的に「Wave」を導入いただいています。

この「Wave」というのは、わかりやすくお伝えしますと販売店のeコマースサイトを当社が裏方となって提供しているものです。トップページは販売店側で自由にデザインできるため、自社のECサイトとして積極的に地域のユーザーにPRいただいています。これまでも当社の販売店名を記載したカタログを作成してきましたが、そのeコマース版となっています。

Waveのサイトデザインの一例

サイトデザインの一例です。このようなかたちで販売店各社が自由に「Wave」と画面をデザインし、キャンペーン等のPRもできるようになっています。

eコマース(内集中購買)実績

大手企業を対象とする集中購買の上期実績は34億9,000万円で、前年比では3.2パーセントアップとプラスを維持するものの、大手の多くがテレワークにより出勤率を減らしたため、新規導入が15社と前期比では伸びが鈍化しています。

しかし、第1四半期の伸びが1.8パーセントで、第2四半期は4.4パーセントと、研究所や現場の稼働率向上に伴い、徐々に伸び率は高まっています。

eコマース(内ネット通販)実績

ネット通販企業向けの売上ですが、上期は28億7,000万円で24.3パーセントの増です。テレワークや巣ごもり需要の高まりにより好調に推移しました。

eコマース(内AXELShop)実績

小規模事業者をターゲットとした「AXEL」です。上期の売上は8億2,000万円で、69.9パーセントのアップと大幅に増加しています。こちらは感染対策品の品揃えや在庫の豊富さが評価され、新規やリピート客が増えたことによるものです。

海外通期見通し(中国・その他)

海外の状況です。今期、海外の通期目標は39億5,000万円で、6.5パーセントのアップを目標に掲げています。

海外実績(中国)

連結子会社アズワン上海による中国の上期実績は、1.7パーセント増の12億円となりました。冒頭でもお伝えしましたが、中国では世界に先駆けて都市封鎖を行って以降一旦売上が激減したものの、封鎖解除後はV字回復しています。日本とは違いメディカル部門がない中、前年比でもプラスと健闘しています。

海外(その他海外)実績

中国以外の海外ですが、欧米、アジア各国のロックダウン、貿易摩擦等の影響を受け、前年比で5.9パーセントのダウンと低迷しました。厳しい環境ではありますが、来たるべき回復期に向け、海外PCサイトである「AXEL_GLOBAL」の普及に目下注力しています。

スマートDC稼働状況

今期のトピックスのご紹介です。当社にとって今年最大のイベントである「スマートDC」は、おかげさまで概ね順調な滑り出しができています。5万平方メートルもの広大な倉庫に50億円もの自動化投資を行ったマテハンやロボット類が大きなトラブルなくテイクオフできたこと、たいへん感慨深く思っています。

従来倉庫からの在庫移管も9割完了しており、今後はさらなるロングテールと豊富な在庫に磨きをかけることで、売上の加速に貢献するものと確信しています。

業界のデータベースを目指すSHARE‐DB

業界のデータベースを目指す「SHARE‐DB」のコンセプトをご説明します。今後もeコマース事業の魅力を高めていくため品揃えを強化中です。今期末には460万点、2025年には700万点にまで拡大する予定となっています。

この商品データベースに「SHARE‐DB」と名付け、PRを始めています。「SHARE‐DB」の名前には、科学と医療の豊富で信頼できるデータベースという意味を込めており、業界のサプライヤー、販売店、ユーザーに至るまで共有してもらうことを目指していきたいと思っています。

当社の経験上、商品の情報数も常に最新にアップデートし続けることは大変な手間と根気を要します。業界の各社がそのような時間とコストをかけずに済むよう、各社で必要なデータを選択し、クリックひとつでインストールできる世界を目指していきたいと思っています。

目下では、コロナによりサプライヤー各社も販売店やユーザーに新商品や販促情報を対面でお届けできなくなっています。当社の「SHARE‐DB」への商品情報や在庫、また動画などの登録を通じて、新たな販促手段としてご活用いただいています。

サービス拡充

サービス事業をどのような観点で拡充するかのイメージです。当社はこれまで物販で事業を成長させてきましたが、研究者にとって当社からモノを買っていただくことは手段にすぎませんでした。

そこで、手段の提供で終わるのではなく、研究成果という目的のためにわれわれが貢献できることは何かという視点で、従来の枠にとらわれず事業の種を探し続けています。

ユーザーの悩みである「雑務に追われ研究する時間がない」「予算がない」「高額な分析計測器は必要だが稼働率が高くなくてもったいない」など、このような困りごとを埋めるサービスとして、レンタルや校正、研究受託などを拡張させています。

上期は9億円の実績でしたが、今後はITやデータを活用し、情報サービスもさらに展開させていきたいと思っています。

RPA導入支援サービス

一例ですが、当社ではこの2年間で200体以上のRPAロボットを作成し、業務推進を効率化させてきました。このような社内ノウハウを活用し、「興味はあるが自社だけでは開発や運営が難しい」という業界内の販売店やサプライヤー、ユーザーにRPA導入支援サービスを提供しています。

今後は開発した業界のニーズの高いRPAロボットを共有し、レンタルやサブスク方式での利用もできるようにしていきたいと思っています。

HPCシステムズ様との資本業務提携

今年の春には、HPCシステムズという上場企業と業務資本提携を行いました。当社のテーマである研究者の3つの悩みの解消に貢献し、研究の成果加速に資するものであることから、現場へ日々商品を届ける当社のハブ機能を生かし、計算科学のソフトウェアやハイパフォーマンスコンピューターの普及に一役買うため、営業所で協業を行うこととなりました。

10月より当社「AXEL」でもPRを開始し手応えを感じています。すでに当社では専任の担当を設置しており、今後育成していく計画です。

AI活用

AIの活用事例です。DELLコンピューターによるデジタルビジネスコンテストにおいて、当社IT部門が提唱する「適正在庫AIモデル」が優勝しました。優勝の副賞としてAIのスペシャリストによるサポートを受け、今後も共同研究を行うこととなっており、実用化を見据えて特許も申請中です。

OISTセルフレジ→新棟Lab4にて無人ストア開始(2021年より)

沖縄にある沖縄科学技術大学院大学おいて、以前より集中購買システムを導入いただいていますが、来年から無人ストアをオープンすべく準備を進めています。

すでに共同で検証を行っており、利便性のアップと合理化に貢献するとともに、培ったノウハウを生かし、さまざまな大学や研究所へも無人ストアの設置を提唱していきたいと思っています。

連続的進化への挑戦

最後になります。連続的進化への挑戦によって研究成果を加速させる新たなプラットフォームを創出すること、それこそが事業の成長にもつながるとの思いで中期経営計画「PROJECT ONE」を推進し、1,000億円企業に向かって走っていきます。

今後ともご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。本日はお時間を頂戴し誠にありがとうございました。

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