2020年11月10日に行われた、株式会社日本触媒2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社日本触媒 代表取締役社長 五嶋祐治朗 氏

三洋化成との経営統合中止について

五嶋祐治朗氏:みなさんこんにちは、社長の五嶋です。本日はよろしくお願いいたします。まず、先日リリースしました三洋化成との経営統合中止について一言触れさせていただきます。

今後は当社単独でここに示すような持続可能な社会の創造への貢献を叶えたいと考えています。本経営統合に関し、これまで多くのご理解ご支援をいただきましたことに深く御礼申し上げますとともに、今後の事業運営に関しまして引き続きのご理解とご支援をお願い申し上げます。

続きを読む

1.中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」①

中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」の概要を示しております。

1.中期経営計画「新生日本触媒2020NEXT」②

中期経営計画の方針です。後ほど左下にある重要課題に対する施策2項目について、その進捗を説明いたします。

2.2020年度 上期業績

2020年度上期業績について説明します。前期比の減収減益要因および8月発表値からの減益要因については、ここに記載のとおりです。特に8月発表値からの減益要因では、コロナ禍による想定以上の数量減、海外プロピレン市況の上昇、そしてベルギーSAP設備の減損損失の計上が上げられます。

3.2020年度 通期見通し

次に通期業績見通しについて説明します。前期および8月発表値と比べ減益を見込んでいます。一方、上期から下期にかけては在庫評価差損がなくなることや、数量増などを見込み増収増益としています。

4.利益還元策

次にスライド9で利益還元策を示します。今年度はここに示す基本方針を堅持しつつ業績を鑑み、2020年度配当は1株あたり90円とさせていただきます。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策①−1

ではこのあと中期経営計画の重要課題に対する施策の進捗について説明します。まずスライド10ではSAP事業の競争力強化について市場動向とあわせ説明します。アクリル酸については世界需要約690万トン、2020年度はコロナ禍の影響によりアクリル酸・アクリル酸エステル需要は低下しました。

足元需要は回復傾向であり、海外市況も上昇基調にあります。中長期的にはコロナ禍からの経済回復とともに、図に示すように需給バランスは改善する方向と見ています。SAPについては世界需要約300万トン、2020年度はコロナ禍の影響により3月から4月にかけても仮需のあとは一般消費者の需要も減退したようで、SAPの需要は横ばいとなりました。

足元の需給状況の悪化は、まずは2018年から2019年にかけての複数の競合他社の同時増設、そして想定外のコロナ禍の影響によるものであります。そのため今が最悪の需給状況と見ています。

今後の回復はコロナ禍の状況次第ではありますが、生活必需品である衛生材市場は比較的早い回復が見込まれ、SAPの中長期的な成長見通しに変わりはありません。各社の設備増強計画がないなか、図に示すように需給バランスは改善していくと見ています。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策①−2

次にスライド11でアクリル酸・SAP事業における当社の取り組みについて説明します。当社グループの変わらぬ強みは垂直統合の強み、そして有力なお客さまとの強い関係にあります。この強みを活かした収益改善策として、生産面と製品面での具体策をここに示します。

まず生産面では抜本的なコスト削減策であるSAPサバイバルプロジェクトを足元強力に進めています。主な施策としては古くなった生産性の悪い設備を停止すること、そして比較的新しい設備へは生産効率を高める技術を導入していきます。

その結果、全体としては生産能力を落とすことなく生産効率を上げることになり、大幅な生産コストダウンを図ることができます。この高効率な生産技術はプロジェクト開始後に取り組み始めましたが、すでに確立済みであり順次グローバルに展開していっております。

製品面では子ども用おむつ向けのいわゆる汎用用途としてのSAP品番は機能・性能の改善を行うなかで、徹底的なコストダウンを組み込んだ製品設計をすることでベース収益を継続的に改善するとともに、より高機能化により市場で差別化を図るターゲット用途として大人用おむつ、ナプキン、軽失禁パッド等あるいは特殊産業向けの品番にも注力して、データサイエンスも駆使した開発を進めております。

先日リリースした超速乾性SAPもその代表例の1つです。さらにはサステナブルな視点においても、これもまた先日リリースしましたリサイクルSAPやバイオ原料由来SAP、そして生分解性SAPなど他社との協業も含め、さまざまな取り組みを開始しています。

以上のように生産面・製品面でのこれら改善策が今後のSAP収益性改善につながるものと考えています。また一方、アクリル酸・SAPグローバル供給体制の強化を目指し、インドネシアにおいてはコロナ禍の影響で少し工期が延びておりますが、来年度中には完工予定でアクリル酸10万トン設備の建設を進めております。

足元需要回復の兆しもしっかり見えてきており、完工時期には前のスライドのように需給状況は改善していると見ております。このような施策を打ちながら、当社としては今後もアクリル酸・SAPトータルでSAP事業の競争力強化を推進し、収益性の改善を進めていきます。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②−1

次にスライド12から新規事業・新規製品の創出加速の進捗を説明します。当社では現在ここに示す3分野8領域をターゲットとし、新規事業・新規製品の創出加速に取り組んでいます。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②−2

まず、エネルギー・資源事業分野における取り組みを示します。モビリティ領域でのイオネル、リチウムFSIは現在でもさまざまな課題があるリチウムイオン電池において、電解質への添加剤あるいは電解質そのものとして幅広い温度範囲で電池性能の向上とその耐久性に貢献します。

今後の需要の伸びに対応するため、先日のリリースどおり2023年春稼働の予定で年産2,000トンの設備増強を決定いたしました。2024年には売上100億円超を目指します。リリース後のお客さまの反応も大変良く、現在当社が最も期待している大型新規製品であります。

またメチレンマロネート類は、次世代の塗料原料として北米にてセミコマーシャルプラントの建設に向けた検討を進めています。次にエネルギー変換領域では、すでにリリース済みのこれら3テーマに取り組んでおり、次世代エネルギーの実現に向けてさまざまな新しい部材開発を進めています。

さらに水領域でもこのような検討を進めています。このエネルギー・資源事業分野では市場成長スピードの早いものが多く、ニーズの機を捉えながら集中的にリソースを投入し、果敢に挑戦していきたいと考えています。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②−3

ライフサイエンス事業分野です。この事業分野の製品は長期視点に立ってリソースをしっかりかけて準備しながら、じっくり進めていきたいと考えています。化粧品領域では現在化粧品素材事業の確立を目指し、昨年度から製品販売を開始しており、ここに示すカテゴリー別に展開を進めています。

医薬品領域では創薬支援事業の確立を目指し、ペプチド医薬・核酸医薬への参入を進めています。まずは設備に関し、国内有数の規模を誇る中分子原薬合成施設を吹田に完工させ、来年度本格運用を予定しています。またさらなる増設も含め、ライン増設も含め着実に準備を進めております。

5.中期経営計画:重要課題に対する施策②−4

スライド15は情報ネットワーク事業分野の取り組みです。この事業領域はあえて言えばシーズ型・ニッチ型というものであり、特徴ある製品を生み出したいと考えています。以上、新規事業・新規製品の創出加速について具体的にお話しました。種まき仕込みはこの4年間で着実に進んでおり、来年度以降順次刈り取り次期に入る予定であります。

6.中期経営計画:その他事業の状況

その他の事業領域について簡単に説明します。EO、酸化エチレン事業ではグループシナジーを強化するなかで一層の高付加価値を推進し、非EG化をさらに進め収益改善を目指します。

またデータサイエンスの活用においては組織体制も整え、すでに実用の領域に入っております。研究の現場ではデータサイエンス&インフォマティクス推進室を設置し、アクリル酸触媒の開発などにすでに成果が出てきています。

また生産の現場においては、プラント制御の領域など新しいセンシング技術やビッグデータのさらなる活用をSAP設備を中心に本格的に開始しており、省エネ・省力化・安定化を目指し進めていきます。さらにデジタルマーケティングも強力に推進しており、まもなく一部製品においてスタートする状況であります。

注目製品群としてのVEEA・エポクロス・エポミンについては計画していた設備増強が予定どおり完了しました。販売においてもお客さまの幅が広がってきており、他製品との組み合わせで提案用途が拡大するなど、よりマーケティングを強化する進め方が走行しつつあります。

7.今後の方針について

では最後に持続的成長を目指した当社の取り組みについて説明します。まずスライド17は今後の方針について2つお示しします。1つ目は足元状況への対応です。既存事業および新規事業・新規製品それぞれにおいて対応を進めますが、特に既存事業については基礎化学品・機能性化学品とも収益性の早期立て直しが火急の課題です。

コロナ禍によるさまざまなマイナス影響が出る中、一部製品ではすでに数量やマージン等が回復基調に入ってきています。そのなかで即効性ある施策を急ぎ実行し、SAPサバイバルプランに代表される生産面での収益改善策や製品面でのさまざまな収益改善策の実行はもちろん、SAPサバイバルプランをSAP以外の事業・製品にも拡大展開する、あるいは不要資産の売却・整理を進めるなど、コロナ渦の状況を見ながら2年以内に確実に業績を立て直す予定です。それと同時に新規事業・新規製品の創出加速をさらに進め、今後の成長戦略のための投資は果敢に実行していきます。

2つ目はこれからの成長戦略です。経営統合の中止により戦略の見直しが必要ですが、強固な財務基盤のもと新会社が目指した大きな戦略からの変更はありません。すなわち既存のマテリアル事業の柱であるアクリル・SAP事業と酸化エチレン事業は、技術革新により生産効率性を徹底的に上げてより競争力をつけること。

そしてそれらマテリアルズのバリューチェーンを活かした川下の機能性製品群は、目指すところの3分野8領域の中から絞り込んだ新たな市場分野を切り開き、顧客課題に応えるソリューションビジネスとして新たな価値・新たな収益を生み出していく戦略です。取り組みに優先順位を付け、限られた経営資源を集中投資し、あわせてアフターコロナの戦略も打ち出し、当社グループ単独でこの成長戦略を遂行していきたいと考えています。

8.サステナビリティへの取り組み

最後のスライド18で持続的成長を目指す中でのサステナビリティへの取り組みを示します。当社サステナビリティ活動の推進はグループ企業理念「TechnoAmenity」の実践そのものと考えており、さまざまな活動を通じ社会への貢献度をより一層高め、当社グループの企業価値を高めたいと考えています。

具体的な活動として、事業や製品による取り組みでは先日リリースしましたとおり、循環型社会の確立に寄与するリサイクルSAPの取り組み、またCO2削減を目指してバイオ由来原料の使用や再生可能エネルギーの活用拡大を検討しています。

さらに環境貢献製品の創出にも力を入れていきます。また国連グローバル・コンパクトの署名やダイバーシティ&インクルージョン推進方針を策定するなど、今後も社内外でのサステナビリティへの取り組みを継続的かつ強力に進めていきたいと考えています。以上で私からの説明は終わります。ご清聴ありがとうございました。

記事提供: