2つの「盲点」~高等学校等就学支援金の利用にあたり、注意しておきたいこと~
新制度の概要をお伝えしたところで、利用にあたり注意しておきたい点にも触れておきましょう。
その① 所得制限:「年収目安910万円」
年収目安910万円未満の世帯が対象となります。上の表のように、年収によって支援額に差が出ます。
令和2年(2020年)7月支給分以降は
「課税標準額(課税所得額) × 6% - 市町村民税の調整控除額で計算される算定基準額が30万4,200円 (算出基準額)未満」で判定されます。(※)
ただし、これはモデル世帯(両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生1人の子供がいる世帯)の目安です。実際の家族の状況により異なる点にご注意ください。
(※)参考「高等学校等就学支援金制度」文部科学省
その② 振り込まれる時期
本制度を利用する場合、入学後に各学校を経由して都道府県に申請が行われます。審査・認定の結果、就学支援金が都道府県から学校に振り込まれたのち、学校が保護者に返金する、という流れとなります。入学前、もしくは入学後すぐに返金が行われるわけではない、つまり、入学が決まった時点では、まとまったお金を学校に納める必要がある、という点を忘れないようにしましょう。
「授業料以外の費用」の用意も忘れずに!
また、高校生活に必要となるお金は、学校の授業料以外にもたくさんあります。
- 「楽器」「画材」「ユニフォーム」「遠征費」といった、部活動に必要となるお金
- 放課後に任意で受講できる、提携予備校の授業料
- 塾や通信講座といった、補助学習のための費用
- 通学定期代
などは分かりやすい例ですね。自治体によっては、義務教育終了をもって医療費の補助がなくなり、ちょっとした通院で、診察料の負担が多くなる、というケースも。
子どもたちの行動範囲がぐっと広がる高校入学は、保護者の「金銭的な負担」も大きく増えるタイミング。授業料の部分では国の支援制度を活用して乗り切っていきたいものです。
今回ご紹介した国の「高等学校等就学支援金制度」のほかに、各都道府県独自の支援制度を活用できる場合もあります。関係機関のホームページや学校などに確認してみることをオススメします。
【参考】
「令和元年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について」 文部科学省
「都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料」東京都教育委員会
「2020年4月からの『私立高等学校の授業料の実質無償化』リーフレット」文部科学省
「高等学校等就学支援金制度」文部科学省
LIMO編集部