2016年は台風の当たり年? 上陸数は既に12年ぶりの多さ

今年2016年は8月に入ると、発生した台風が続々と日本へ上陸するシーンを見るようになりました。まだ台風シーズンは中盤に差しかかったばかりですが、日本に上陸した台風の数は既に5個となりました(9月5日現在)。これは2004年(10個)以来の多さです。

また、直近40年間に上陸した台風の数を見ても、1990年と1993年(ともに6個)に次いで、1989年(5個)に並ぶ水準となっています。2004年が異常に多かったのは確かなようですが、もしかすると、最終的に2016年はそれに迫る可能性がありそうです。

台風が襲来すると、必ずと言っていいほど起きるのが水害です。今年も北海道や東北地方など、北日本で起きた水害は甚大な被害をもたらしました。また、台風の直接的な影響を受けなくとも、他の低気圧が刺激されて起きる間接的な水害も、非常に大きな被害をもたらすケースも多く見られます。

ちょうど1年前に起きた印象的な豪雨水害

ちょうど1年前の今頃、正確に言えば2015年9月9日に起きた深刻な豪雨水害を覚えているでしょうか? 鬼怒川の堤防が決壊して死者8人を含む甚大な被害をもたらした「平成27年9月関東・東北豪雨」です。鬼怒川の濁流が街並みを飲み込むように襲ったあの光景は、テレビで見ていても信じられないようなシーンでしたので、ご記憶にある方も多いのではないでしょうか。

あの堤防決壊シーンを見ていて感じたのは、溜まったエネルギーが発散する時の凄さです。当時の堤防がやや脆弱だったことを考慮しても、それが決壊するということは、濁流に相当なエネルギーがあったと考えられます。こうして溜まったエネルギーが発散して起きる災害を、事前に予測するのは難しいのかもしれません。

昨年の豪雨水害が発生した日、株式市場は記録的な大幅上昇

ところで、その豪雨水害と同じ日に、株式市場でも大きな動きがありました。2015年9月9日、この日の日経平均株価は記録的な大幅上昇となりました。前日比の上昇幅+1,343円は歴代第6位、上昇率+7.7%は歴代第9位となっています。いずれもリーマンショック後で見れば第1位の数字です。株式市場は大騒ぎとなりました。

あの大幅上昇はなぜ起きたのか?

しかし、1年経った今、冷静に振り返ってみると、ここまで大幅高になるようなニュースはありませんでした。確かに、為替相場が少し円安に振れ、海外株式市場が上昇した等の好材料はありましたが、とても株価指数に+8%近い上昇率をもたらすものではなかったと考えらえます。なぜ、このような大幅上昇が起きたのでしょうか。

日経平均株価の過去2年間の推移

当時、6月末から約2か月間にわたり、ギリシャ危機や中国ショックなどの影響を受け、株式市場は低迷していました。しかし、中国依存度が非常に高い一部の企業を除くと、日本企業の業績は好調に推移することが見込まれており、明らかな“売られ過ぎ”という水準だった銘柄が数多くありました。

こうした多くの銘柄は、株価が上昇する“きっかけ”を待っていたと考えられます。それが、通常は些細なニュースにもかかわらず、過剰に反応して一気に上昇したのではないでしょうか。まさしく、溜まったエネルギーが発散する時のような動きと考えられます。

今後の株式市場はどちらの方向に発散するか

金融市場では時として、こうした理論的に説明することが難しい大きな価格変動が起きます。特に、株式市場ではこの傾向が強いと言えます。昨年は大幅上昇でしたが、当然、逆の現象も起こり得るでしょう。

足元の日経平均株価は、英国EU離脱ショックでの暴落から回復して以降、約2か月弱にわたって16,500円前後で推移しています。こうした場合、株価は次のステージへ移る可能性があります。最近、ようやく17,000円を抜けてきた状態ですが、ここからどちらの方向へエネルギーを発散させるのか注目したいと思います。

 

LIMO編集部