田舎暮らしに老後の不安を感じて
思いきって地方から首都圏に出てきたのがシングルマザーのTさん。「地元に戻るべきか悩みました。地元は過疎地域で医療体制も不十分。子どもの望む進学先に出してやれる可能性は低く、選択肢がかなり狭まります。
加えて不安になったのが、自分の老後。老後は2000万円必要といわれていますが、田舎だと車がかかせないんです。ガソリン代や保険料だけでなく、車検、修理代、車の買い替え…と大金がかかり、車を保有し続ける自信がありませんでした。子どもが小さい時期さえ乗り切れば、都市部で暮らした方がいいだろうと引っ越しを決めました」。
誰にも頼らない生活は大変でしたが、「会社の先輩が勧めてくれたベビーシッターを利用しています。都市部はシングルマザーでなくても、実家に頼れない人が少なくないんですよね」。頼れるサービスを総動員し、ママ友の力も借り、子どもが小学校にあがると生活が落ち着いてきたと言います。
筆者も同じような不安を抱え、地元に戻りませんでした。その代わりに決めたのが「住む地域に溶け込むこと」。地域の集まりや習い事に顔を出し、役員も経験。少しずつ知り合いを増やしていくことで、「遠くの親戚より近くの他人」の良さを感じています。
実家に戻らないシングルマザーは7割
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、親と同居するシングルマザーは27.7%(平成23年は28.5%)。約7割の母子家庭は、親と同居せずに暮らしています。一方で、親と同居する父子家庭は44.2%(平成23年度は50.3%)。実際は父子家庭の方が親との同居が多いのです。
シングルマザーの場合、もともと主に母親が子育てをしていたため、子育てと仕事や家事などの両立に慣れていることが考えられるでしょう。また、現在は一時保育やファミリーサポートセンター、ベビーシッターなど頼れるサービスも増えてきているという利点もあります。