半導体露光装置大手のオランダASMLは、2021年通年のEUVリソグラフィー装置の売上高が前年比で2割増加するとの見方を示した。台数ベースでのガイダンスはなかったものの、40台程度の出荷台数となる見通し。新システムも投入し、先端プロセスでのニーズ拡大に備える。
20年出荷は若干下ぶれ
同社は第3四半期決算発表にあわせて、21年の業績見通しについて全社ベースでは2桁台前半の成長、EUV向けについては2割増と言及。20年の出荷台数は当初、35台を計画していたが、顧客の装置受け入れ体制や微細化スケジュールの遅れなどから、数台下ぶれる見込みだという。そのため、21年は40台前後になる可能性が高そうだ。
生産能力については、21年まで年間40~50台に拡大する計画に変更はないとしている。また、「NXE:3400C」に次ぐ新システムとして、「NXE:3600D」の最終仕様を今回発表した。生産性が18%向上しており、30mJ/cm2で時間あたり160枚のウエハー処理を実現。他号機との重ね合わせ精度は1.1μmに向上させている。3600Dは21年半ばからの出荷を予定している。
第3四半期売上は19%増
直近の第3四半期実績は、売上高が39.6億ユーロ(前四半期比19%増/前年同期比33%増)となり、従来ガイダンス(36億~38億ユーロ)を上回った。うち、装置売上高は約31億ユーロ(同27%増/同33%増)。装置売上高に占める地域別(仕向地基準)は、台湾が47%と最も多く、次いで韓国が26%となり、アプリケーション別でもロジック向けが全体の79%を占めた。受注高は28.7億ユーロとなり、前四半期比に比べて大きく回復した。
第3四半期のEUVの出荷台数は10台、売上高計上は14台となった。工場での最終テスト工程を行わずに4~6月期に出荷した4台分の装置が7~9月期に売上計上された。なお、受注台数は4台となった。
米国政府の中国企業に対する制裁について、同社では液浸などのDUV装置は輸出許可を得ずともオランダから中国顧客に出荷ができるとコメント。一方で、パーツやシステムを米国から中国顧客に直接販売する場合においては輸出許可を得る必要があるとしており、EUV以外でも現行ビジネスに影響が出ている状況を示唆した。
電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳