世界の株式市場が小動きに終わった1週間
先週(2016年8月22日‐26日)の世界の株式市場は、日米欧の主要株価指数は小動きに終わりました。週間騰落率は、S&P500が▲0.7%、TOPIXが▲0.6%、DAXは+0.4%でした。
最大の材料は金曜日に行われたジャクソンホールでのイエレン米連邦準備制度理事会議長の講演でした。既にご存知の方も多いかもしれませんが、雇用改善が進み利上げの条件が整うという趣旨が語られたうえ、さまざまな連銀総裁から利上げに前向きな発言が出ました。あたかも米金融当局が利上げに向けた地ならしを始めたかのようです。
この結果、2016年内の早期利上げ観測が強まり米ドルは対円、対ユーロで上昇しました。米国の債券市場では期間の短い債券の利回りが上昇しています。一方、ゴールドをはじめとする貴金属は教科書通りに下落しました。
こうした環境のなかで、米株は大きく値が動くことにはなりませんでした。週間騰落率で見るとS&P500が下げたことはお伝えしましたが、ナスダック指数も小幅ですが下落しています。同じく週間騰落率でいうと利上げが株価を牽引するはずの米銀の株価は反応していません。
それとは引き換えにいわゆる恐怖指数(VIX)指数が反発し、週間で+20%上昇し、利上げが株価の変動を高めるのではないかという警戒感が投影されています。また、前々週に上昇していた上海総合指数やブラジルボベスパ指数などの新興国株が反落したことも市場の慎重なセンチメントを反映していると思われます。
先週の主要市場の動き
アウトルック:週末の米雇用統計を待ちながら値固めの展開か
今週(8月29日‐9月2日)は、米国の早期利上げを織り込みながら、9月2日発表の米国の雇用統計を待つことになりそうです。
米国の利上げ時期は雇用の進展いかんですので、毎月の雇用統計が従来にもまして重要になるでしょう。そのため、利上げの直接の影響を受ける米国株は金曜日の雇用統計発表まで値幅が出にくいと予想されます。
一方、ドルの下落が止まったことでドル安の影響を被ってきた日本株などは反発していきそうです。NY市場の日本株のADRは輸出企業を中心にドル高を受けて上昇しています。値固めが進むのか注目しておきたいと思います。
なお、米国の利上げを株式市場が順調にこなすためには業績期待の高まりが必要です。欧州・中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)などにも注目が集まるでしょう。週末のG20でグローバルな成長路線が確認されれば良い流れが作れそうです。
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