また、6月30日、第44回国連人権理事会で香港国家安全維持法が審議され、中国を含んだ53カ国がそれを支持する立場に回ったが、その中にはバーレーン、エジプト、イラン、イラク、クウェート、レバノン、モロッコ、オマーン、パレスチナ、サウジアラビア、シリア、UAE、イエメンなど多くのアラブ国家が含まれている。
こういった国々の体制がもともと権威主義的で、中国と同じく反政府的なイスラム過激派の問題を抱えているといった事情も中国支持に回った背景にあるだろうが、経済的な結び付きがそこにあることも想像に難くない。
中東諸国の外交姿勢に変化
今回の国交正常化で、アラブの大義は失われ、中東諸国は“ディール第一主義”を前面に出すようになったとの声も聞かれる。理念やイデオロギーは置いておいて、まずは利益利潤であるという現実主義的な姿勢は、中国にとってはより望ましい環境だろう。
アジアやアフリカなどで、中国はディール第一主義的な実利外交を展開しており、そういった姿勢がアラブ諸国からもっと見えてくることは、中国の中東関与をより加速化させるかも知れない。
和田 大樹