2020年9月10日に動画にて公開された、株式会社鎌倉新書2021年1月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社鎌倉新書 代表取締役会長CEO 清水祐孝 氏
2021年1月期 上期ハイライト
清水祐孝氏:鎌倉新書の代表取締役会長CEOの清水でございます。ただいまより、先ほど発表しました2021年1月期第2四半期の決算について、決算の説明資料を用いて補足の説明をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、決算の概要について、4ページをご覧ください。2021年1月期の上期は、売上高が前年同期比マイナス4.9パーセントの13億8,600万円、営業損失が前年同期比マイナス3億9,900万円の8,100万円となりました。
上期ハイライトの下側では、トピックスについて簡単にご説明しています。「コロナ禍において全般的に影響を受けている」と記載していますが、私どものユーザーの多くは高齢者やそのご家族であり、そのような中で、私どもの主な事業であるお墓事業、葬祭事業がマイナス成長となっています。
お墓事業については、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されている時期はほとんど動きがなくなりましたが、この数ヶ月は動きが戻ってきています。直近では、昨年の同時期と比較してもプラスの状況になっているのですが、お客様がお問い合わせからお墓の購買を決めるまでには2ヶ月から3ヶ月かかり、私どもの売上に反映されるまでは少し時間を要しているため、本格的な回復は下期にずれ込みます。
また、葬儀は一種のイベントですので、自粛の流れがあります。そのような中で、少人数や家族だけで葬儀を済ませることが我々の業績にも影響しています。足元でも復調はまだゆっくりとしたペースであり、しばらく時間を要するものと考えています。
また、売上の比率としては大きくはないのですが、「Story」というお別れ会の事業や子会社の散骨事業、あるいは終活に関するセミナーについては、引き続き予約のキャンセルや延期が続いています。
相続事業については、コロナ禍の逆風下ではあったのですが、前期からスタートした事業ということもあり、大きく売上を伸ばすことができています。
また、顧客情報管理を一元化するプロジェクトを推進しています。1人のお客様が複数のサービスをご利用いただける体制の構築に向けた取り組みを行なっています。
このような状況ですので、とくにお墓、葬儀、仏壇といった既存事業はコストコントロールも並行して行なっています。
ポストコロナ時代では、我々の働き方が大きく変化していきます。この会社で働くことの意味が重要になってくるのではないかと考え、ミッションを再定義し、2021年1月期の第2四半期でそのミッションを変更しました。そして、この新しいミッションを全社員に浸透させ、これからもますます進展していく高齢社会の中で終活のインフラを目指して活動を行なっています。
2021年1月期 上期 決算概要
次に5ページをご覧ください。上期の決算については、先ほどお話ししたとおりです。
通期業績予想の修正について
6ページをご覧ください。上期の業績を反映させ、第3四半期、第4四半期の見通しを踏まえて、業績を下方修正しています。新たな修正予想については、売上高が33億9,000万円、営業利益が2億6,500万円です。その他の項目についても記載のとおり修正しています。
通期業績予想の修正について(詳細)
予想を修正した背景の詳細についてご説明します。まず、既存の事業については、ユーザーのお墓の買い控えが起こったことにより、成約数が減少しています。お葬式については、先ほどもお伝えしたように、小規模のお葬式が中心になっている現状です。私どもは、ある程度一般的なお葬式を中心にサービスを提供していることもあり、成約数が減少しています。足元6月以降のトレンドとしては、上向きに変化している状況です。しかし、当初予定していた成約の予定数には満たないと判断し、売上高の見直しというかたちで反映させています。
相続事業については予定どおりです。
今期からスタートした保険事業、不動産事業、介護事業、あるいはセミナーやアライアンスといった活動については、新型コロナウイルス感染症による経済活動の縮小を受け、当初計画していた活動を十分に行なうことができていません。そのため、大幅に進捗が遅れています。このようなことも売上高の修正につながっています。
売上の内訳
続いて8ページです。WEBサービスは微減となっています。
WEBサービスの内訳
WEBサービスを事業部ごとに分解して掲出したのが、9ページの棒グラフです。売上の比率の大きいお墓事業、葬祭事業、仏壇事業は、ともにマイナスとなっています。
主力3事業+相続 売上の内訳 四半期推移
9ページは上期ベースで比較したものですが、10ページは第2四半期のみを比較しています。仏壇については上向いてきています。
費用の推移
11ページは費用の推移ですが、色分けしたグラフのとおりとなっています。ちょうど1年前の第2四半期と比較すると、社員が35人増えています。これは正社員だけですので、それ以外のメンバーを含めるともっと増えていることになります。これに伴い、人件費や業務委託費など、さまざまなコストが増えています。
貸借対照表
12ページはバランスシートです。こちらは特筆すべき点はとくにありません。
お墓事業部の状況
13ページ以降は、それぞれの事業部のKPIをグラフに示しています。先ほどご説明したとおり、お墓事業部では購買活動の停滞や販売活動の自粛といった影響を受けましたが、足元ではユーザーが戻り始めています。そうした中で、先行指標となる紹介数は6月から回復傾向を見せています。
葬祭事業部の状況
葬祭事業部についても、先ほどお伝えしたとおりですが、小規模化、低価格化が進んでいます。そのような中で、昨年の同期比では紹介数が増加し、単価も維持することができました。しかしながら、小さな規模のお葬式に対する対応が少し遅れていますので、家族だけで行なうような小さなお葬式が、われわれの数字にあまり寄与していない現状があります。
仏壇事業部の状況
仏壇事業は7月より回復トレンドを示しています。
相続事業部の状況
前期よりスタートした相続事業については、お客様と面談させていただいた数と、行政書士を中心として提携している専門家の方々の数を月次ベースで示しています。こちらは順調に増加している状況です。
5〜10年後の日本の将来を見据えた「終活インフラ」企業を目指します!
今期、来期以降の計画については、以前にお示ししたものから変更はありません。5年後、10年後もますます進展していくであろう日本の高齢社会の状況を見据えた上で、我々は高齢者の方々が行なわなければならないことや、行なっておきたいことなど、さまざまな問題、課題をトータルでサポートしていく「終活インフラ」企業を目指していこうと考えています。
スライドのグラフにあるとおり、これからも高齢化比率はどんどん高まっていきます。そのような中で、さまざまな社会課題が増えていくと思いますが、その課題に直面する方々に対するサービスを徹底して行なっていくことが我々のミッションであると考えています。
鎌倉新書の目指す姿
19ページも、我々のミッションに対する補足の説明になります。
鎌倉新書が歩んでいく道筋 〜徹底的なユーザー視点・思考〜
20ページは、我々が歩んでいく道筋についてです。これからもご覧のようなかたちでユーザーが求めるサービスをどんどん増やしていこうと考えています。
鎌倉新書の取り組み 〜ユーザーの声を起点としたサービス想像〜
21ページには、私どもが出しているさまざまなパンフレットを掲載しています。
【1】【主力3事業+相続】コロナ禍の収束に向けて各施策を推進
23ページは、これからどのような施策に取り組んでいくかを記載しています。こちらについては列挙したとおりです。
【2】【新サービス】 新規事業の立ち上がり 〜不動産〜
25ページは、今年からスタートした不動産のサービスについてです。売上はまだ大きくなっていませんが、先行指標としては順調に増えつつあることを示しています。
【2】【新サービス】新たな顧客流入の増大
また、私どもは主にWEBを中心にビジネスを行なっていたのですが、一昨年からは日本郵便と提携しています。北海道でも今月から終活のサービスを共同でスタートするということで、先週、共同でプレスリリースを出しています。
シニアの方々とWEBだけではなくリアルな接点をお持ちになっている金融機関や介護事業者、インフラ系の会社や不動産会社のような大手の事業者と共同で取り組みを進めることについても、水面下で話が進んでいます。
【3】【LTVの最大化】クロスユース増大のための施策
1人のお客様に複数のサービスを提供させていただこうというクロスユースの取り組みについても、7月は607件ということで順調に増加しています。私どもにとって、この部分は非常に重要な活動になると考えています。
1つ目のサービスを提供する時は、1人のお客様を見つけるコストがそれなりにかかってくるのですが、2つ目のサービス、3つ目のサービスになると、1人のお客様を獲得するためのコストはどんどん低減していくことになりますので、ここに力を入れていこうということで活動を行なっています。
【3】【LTVの最大化】①顧客情報の一元化と適切な共有体制の構築
29ページもクロスユースに付随するところです。顧客のカルテによってユーザーのニーズをしっかり把握し、適切な提案をしていこうと考えているところです。
【3】【LTVの最大化】②お客様に最適な複数のサービスを提供することができる体制の構築
30ページも同様にクロスユースについてです。
【3】【LTVの最大化】お客様が複数のサービスを利用する実例
31ページについては、1人のお客様に複数のサービスを受けていただくことで、私どもの売上はどうなるかという、最大限の見込みを示したものです。
全体の売上計画
1人のお客様に複数のサービスを受けていただく施策を打っていくことで、2024年1月期には100億円の売上を目指していこうと考えています。
「非財務情報」で大切なこと①
最後に、財務的な情報ではないのですが、この第2四半期の取り組みについて少し記述しました。1番目は経営理念の再設定です。冒頭でもお話ししましたが、新型コロナウイルスの影響で、働き方が大きく変わってリモートワークや自由な働き方が進みます。そして、世間では企業のデジタル化が「待ったなし」ということが取り沙汰されているわけですが、もっと重要なことがあるのではないかと考えました。
スライドにも記載したのですが、働き方が変わると、混雑した電車に1時間も揺られて通勤する必要がなくなり、自宅で家族と触れ合う時間が増えたり、一人で物事を考える時間が増えたりします。そのような中で、やはり多くの人が、自分が所属する会社のことを客観的に眺めることができるようになります。今までは考えてもいなかった視点を持つことができるわけです。
生活の糧を得るために働くというよりも、この会社で働くこと自体に意味があるのかどうかが、これからますます問われる世の中に変わっていくと思います。とくに優秀な人材であるほど、そのことを重要視するようになると考えます。ポストコロナ時代の働き方を考える時には、これが一番重要な点ではないかと考えています。
また、そうであるならば、今の企業理念は適切なのかということを考える必要があります。そのようなことから、今日の状況を鑑みた上で、理念について若干の修正、再構築を行ない、全社員の前で発表しました。今後はこの理念の浸透に時間を割いて、制定された言葉のとおり、働く意味のある会社であり続けたいと考えています。ミッションはスライドにも記載しました。「私たちは、明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします」ということです。
人が、よい人生を送ることができたと思う時に何を思うか考えてみたのですが、多くの人は、たくさんお金を稼いだからよい人生だ思うのではなく、周りの家族や友人に助けられたことでよい人生が生まれたと考えると思います。ということは、よい人生には感謝の気持ちが生まれるはずです。
もう1つ、よい人生には心配ごとや憂いごとがなくなっている状態にあるのではないかと考えます。心配ごとや憂いのない生活を送ることができることが、よい人生を構成する要素であると思います。
感謝の気持ちを伝える社会、そして憂いのない暮らしができることが、我々が社会に向けて提供する価値であると考えている次第です。そうしたことから、先ほど読み上げたミッションのもとで、ぶれることなく企業活動を推進していこうと考えています。
「非財務情報」で大切なこと②
今期は業績予想の下方修正が発生しました。高齢者やその家族を事業領域とする私どもにとって、新型コロナウイルスの影響は小さくはなかったわけですが、一方で、高齢社会の中で我々が終活のインフラを提供する企業として、中長期的な目的に向かって進めていることについては、ぶれることなく着実に前進していると考えています。
これからも終活を考える多くの方々に寄り添い、適切なサービスをどんどん投入していきたいと考えています。投資家のみなさまには、今後ともご支援をお願い申し上げます。本日はありがとうございました。