LINE上場で個人は売り越し、信託銀行・海外投資家の買いは迫力不足

2016年7月の投資主体別売買動向を現物株中心に振り返ると、積極的な買い手が不在になっていることが分かります。

金額ベースの買い越しの主体は、信託銀行(+2,635億円)、自己(+1,381億円)、海外投資家(+1,290億円)でした。月間で3,000億円を超える主体が不在で迫力にかけています。一方、売り越し主体は、個人(▲3,900億円)、生損保(▲1,396億円)、投信(▲1,337億円)でした。

7月は6月の英国のEU離脱ショックを徐々に払拭し、株式市場は反発しました。

この間、信託銀行はTOPIXが1,200‐1,250ポイントの水準で積極的な買いを続けましたが、月後半に1,300ポイントを超えてくると買い越しペースにブレーキがかかりました。この結果、7月の買い越し額は6月の買い越し額からほぼ半減しています。

海外投資家は6月は売り越しでしたが、7月は買い越しに転じました。しかし、週次で見ると買い越しと売り越しが猫の目のように移り替わっており、腰を入れて買っているようには見えません。

売り越しの方では個人の売り越しが目立ちますが、LINE上場に合わせてIPO株を市場で売却した影響が出ていると思われます。生損保の株式売り越し額は7月に入り従来よりも増えていて、ひょっとすると有価証券のポートフォリオの運営方針に新しい変化が出ているのかもしれません。また、ボーナス期にもかかわらず投信が売り越しに転じていることも気がかりです。

決算が本格化した7月第4週に海外投資家が買い越したのは支援材料だが…

日本企業の決算発表が本格化した7月第4週ですが、海外投資家と信託銀行などが買い越し、個人と投信が売り越しています。円高などの影響でかなり厳しい減益決算の企業が多数見られる中、海外投資家が買い越していることは支援材料と言えそうです。

今後は日銀のETF買い増しが予定され、また公的資金の株買いへの期待も出てくるかもしれません。しかし公的資金といっても運用パフォーマンスの責任を負う投資主体であることから、高値を買い上がっていくにはしっかりした説明責任が求められるはずです。株価水準を引き上げるという意味で過剰な期待を持たない方がいいと思います。

株価水準が切り上がるには、海外投資家の買い越しが継続するのか、逆張りの投資行動が目立つ信託銀行のどの水準で売るのか、個人と投信が買い越しに転じるのかがポイントになりそうです。市場はいったん夏休みムード、オリンピックムードに入ります。8月中旬以降の投資家の動向が特に大切になるでしょう。

 

LIMO編集部