筆者は看護師として、多くの医療従事者、介護士、そして家族が、それぞれの立場で患者や高齢者と向き合う姿を見てきました。その経験から感じているのは、
「真面目な人ほど看護や介護に疲れ、体調を崩してしまう傾向がある」ということです。
病気の人や高齢者をケアすることは、肉体的・精神的にも負担がかかります。本記事では主に、家族の介護を上手に乗り切るために知っておきたい考え方や、ぜひ活用すべき制度についてお話しします。
「完璧」を求めるとキリがない
看護師として病院に勤務している時、同僚や患者家族のこんな声をよく聞きました。
「私がしっかりしていれば…」
「あの時、もっと何かできたはず…」
家族を自宅でお世話しきれなくなった、患者さんの臨終に立ち会った、といったときに、このような後悔の気持ちを持つ人が少なくありません。誠実さと優しさからくる言葉です。
でも、正直なところ、看護や介護において「完璧」を求めていくとキリがないのです。看護師や介護士のようにプロとして携わる場合はさておき、生活や仕事を抱えた家族が完璧を求めてしまうと、必ずどこかで無理がきます。