ポケモンGOが日本でもサービスが開始され爆発的ブームも起き、一時は任天堂(7974)の業績が大きく改善するのではないかと思われたのではないでしょうか。会社から2016年7月22日に「ポケモンGOによる連結業績に対しての影響度は限定的」との発表を受け、翌営業日の7月25日に任天堂の株価はストップ安で引けました。
任天堂の2016年度第1四半期決算発表
その任天堂が7月27日に2017年3月期の第1四半期(Q1)の決算発表をしました。事前に会社よりポケモンGOによる連結業績予想の修正はないとのコメントもありましたので、株式投資家の期待値はすでに低くなっていたと思いますが、とはいえ決算内容は厳しい内容となっています。
Q1は減収・赤字転落の決算
今回の決算内容について見ていきましょう。一言でいえば、減収、赤字転落です。売上高は対前年同期比▲31%減の619億円、営業損失は▲51億円と対前年同期比で赤字転落となりました。また、経常損失は▲386億円とこちらも対前年同期比で赤字転落です。経常損失が営業損失よりも拡大しているのは、同社が保有する外貨建資産(ドル建ての資産など)を6月末の為替レートで評価しなおしたために発生したもので、任天堂では良くある話です。親会社株主に帰属する四半期純損失は▲245億円となっています。Q1はゲーム業界にとってはオフシーズンとはいえ、営業利益段階での赤字決算は当然ながら見栄えは良くありません。
Wii Uの販売台数は対前年同期比▲53%減
また、Q1のニンテンドー3DS(以下、3DS)のハードウェアの販売台数に関しては、対前年同期比▲7%の94万台、ソフトウェアは同+7%の847万本、Wii Uのハードウェアは同▲53%減の22万台、ソフトウェアは同+3%増の468万本となっています。
2016年11月に「ポケットモンスター」シリーズの最新作「ポケットモンスター サン・ムーン」がグローバルで発売予定であったり、2017年3月に次世代ゲーム専用機「NX」が発売予定でありますが、これらのイベントにより3DSやNXも含めてハードウェアの販売台数が伸びるのかが注目ポイントになるでしょう。
ゲーム専用機ハードウェアやソフトウェアは対前年同期比で減収となる一方でスマートデバイス・IP関連収入などは同+77%増ですが、同事業の売上高全体に占める割合は約3%に過ぎず、まだ本格的に売上増に貢献するという状況ではありません。
まとめ
任天堂のQ1は同社の季節性を考えれば会社による通期の業績予想を議論するには時期尚早ですが、ポケモンGOによって株価が一時は急激に上昇した後ということもあり、決算そのものは見栄えは良くないだろうという目論見で売りポジションを作っていた投資家もいた可能性もあります。
そのケースでは、今回の決算を悪材料出尽くしとして買戻し株価が上昇するようなこともあるかもしれませんが、任天堂の業績を本格的に議論するタイミングは年末にかけてになりそうです。
青山 諭志