住居費と介護費
老後の生活を考える際には、住まいと介護にかかる費用についても考慮する必要があります。
住居費
現在の高齢者は持ち家比率が高めですが、若い世代には「住宅ローンを抱えたくない」「一生賃貸でもいい」と考える賃貸派も少なくありません。
賃貸派が老後に必要になる住居費を見積もってみましょう。厚生労働省の「平成 30 年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は 81.25 年、女性の平均寿命は87.32年です。60歳時点の余命は約21~27年と考えられます。
仮に余命を25年として5万円の家賃を支払い続けた場合は、5万円×12カ月×25年=1,500万円の住居費が必要です。家賃が10万円なら3,000万円もの住居費がかかることになります。
介護費
高齢化が急激に進む日本では、誰にでも介護が必要になる可能性があります。日本の介護保険制度は、40歳になると自動的に介護保険に加入して生涯保険料を支払うシステムです。
65歳以上で要介護認定を受けると、住所地の地方自治体が提供する介護サービスが利用できるようになります。特定の条件を満たせば65歳未満でもサービスの利用が可能です。要介護認定には「要介護1~5」と「要支援1~2」という2つの区分があり、それぞれの区分で利用できる介護サービスが異なります。
たとえば、介護保険施設の「特別養護老人ホーム」は費用が比較的安いことで人気ですが、利用できるのは原則的に要介護3以上のみです。
快適で手厚い介護が受けられる民間の「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」に入居する場合には、数千万円程度の費用がかかるケースもあります。