リスクオン相場に戻った7月11日-15日

7月前半の相場は、英EU離脱ショックを消化してリスクオン相場に戻る展開でした。米国の6月雇用統計が雇用の拡大とインフレリスクが切迫していないことを示し、日本では追加景気対策としてヘリコプターマネーなど一段と踏み込んだ施策が出るとの期待が高まったことが背景だと思われます。

その結果、7月1日-8日にTOPIXは▲4%下落しましたが、7月8日-15日には+9%上昇しています。

では、日本取引所グループの投資部門別売買状況から投資主体別の現物株の売買動向を中心に見ていきましょう。

海外投資家に買戻しの兆候、個人はLINEのIPOで売り越しに

7月11日-15日の海外投資家は+3,512億円の買い越しになりました。これは4月後半以来、久々のまとまった買い越しです。7月4日-8日には▲1,749億円売り越していますが、この金額を上回る買い越し額です。年初来累計で約▲5兆円売り越してきた海外投資家の姿勢に変化が出てきた可能性がありそうです。

一方、この週は上昇相場でしたので、逆張りスタンスの個人と信託銀行は売り越しでした。特に個人は▲4,990億円の売り越しとなっています。株価上昇で信用買いのポジションの圧縮が進んだことに加え、LINEの上場に伴い、そのIPO株を売却して利益を確定させたと推測されます。

なお、事業法人の売買はわずかでした。

個人にとって任天堂株、LINE株が悩ましい存在に

次に、今後について考えてみましょう。

海外投資家の買い越しが続くかは、本格化する4-6月期決算の動向と日本の景気対策次第と考えられます。決算の数値は円高と内需などの不振から芳しくない数値になりそうですが、株価にはある程度織り込まれていると思われます。むしろ、次の展望をどう描くのか、企業からのメッセージを期待しているのでしょう。マクロ的には、円高を緩和するような金融政策が打てるのかに注目していることでしょう。

実は、筆者は海外投資家よりも個人の動向を気にしています。

まず、鳴り物入りで15日に上場したLINE(3938)は、7月22日の株価が3,945円で引けています。これは公募価格3,300円を上回っているので、IPOで入手しそのまま保有している投資家には余裕があると言えます。しかし、上場後じり安で推移しているため、いったん売却すべきか気にしている投資家が増えているものと思います。

LINE株上場後、LINEに関連する話が影を潜めた主因は、ポケモンGOのヒットです。任天堂(7974)の株価が急騰しましたが、7月22日に任天堂から業績への影響は軽微で現在の会社計画を修正する予定はないとのプレスリリースがありました。任天堂株には個人投資家の一部も参加していると見られることから、このプレスリリースが物色意欲を削ぐことになりかねません。

個人投資家は、相場の下落局面で逆張り投資家として信託銀行と事業法人とトライアングルで相場を支えてきました。任天堂やLINEの動向でその逆張り力が削がれないのかどうか、しばらく注目しておきたいと考えます。

 

LIMO編集部