2020年5月15日に行なわれた、昭和電工株式会社2020年12月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:昭和電工株式会社 代表取締役常務執行役員 最高財務責任者 CFO 竹内元浩 氏
連結対象会社(前期末対比)
竹内元浩氏:昭和電工CFOの竹内です。みなさまには平素より当社の企業業績にご注目いただき厚く御礼いたします。また、このたびは新型コロナウイルスに罹患されたみなさまおよび感染拡大により厳しい生活環境に置かれたみなさまに心よりお見舞いします。
それでは2020年第1四半期決算の概要についてご説明します。2ページをご覧ください。連結子会社数は61社、前期末から増減はありません。持分法適用会社は11社、こちらも前期末から増減はありません。
為替レートは、米ドルは1月から3月期レートで108円90銭と前年同期の110円20銭に比べ1円30銭の円高となりました。また資産負債の評価に用いる期末レートは、前期末の109円60銭から3月末は108円80銭と70銭の円高でした。ユーロについては、1月から3月期平均で120円10銭と前年同期の125円20銭に比べ5円の円高となりました。
国産ナフサ価格ですが、足元のスポット価格は原油価格急落で大幅に下がっていますが、国産ナフサ価格はスポット価格に対しタイムラグがあり、1月から3月期はキロリットル当たり4万4,800円と前年同期の4万1,200円と比べ3,600円、8.7パーセントの上昇となりました。
これによる受払差は大きな影響がありませんでしたが、スポット価格の急落を受けて、ナフサの日本への輸送中に生ずる単価下落を示すタイムラグ要因が大きく悪化しました。なお、4月から6月期の国産ナフサは、キロリットル当たり2万3,000円程度と、1月から3月期の半値水準まで急落する見通しです。
アルミのLME価格は、中国景気減速に始まる世界的な需要減を背景に、トン当たり1,713ドルと前年同期の1,881ドルと比べ168ドル、8.9パーセント低下しました。
連結業績の概要
3ページをご覧ください。2020年第1四半期の連結業績の概要をお示ししています。売上高は1,717億円と、前年同期比630億円、26.8パーセントの減収となりました。エレクトロニクスセグメントは、ハードディスクの数量により増収となり、化学品セグメントも増収となりました。
一方、無機セグメントは、黒鉛電極事業の数量限で大幅な減収となるなど、総じて減収となりました。
営業利益は25億円と、前年同期比429億円、96.4パーセントの大幅な減益となりました。エレクトロニクスセグメントで数量増により増益となりましたが、無機セグメントで大幅減益となりました。売上高と営業利益の詳細については、5ページから6ページでご説明します。
経常利益は32億円と、前年同期比410億円の減少、92.7パーセントの減益となりました。 営業外損益ですが、持分法投資損益は、石油化学セグメントのNSスチレンモノマーにおいて、昨年との生産額の差で大きく改善し、前年同期比9億円改善しました。
為替差損益は、カーボン、マレーシア小会社において米ドルに対しリンギット安となるなどにより3億円改善しました。またその他として事業所の環境対策費用計上額の減少などがあり、営業外損益は総じて19億円の改善となりました。
特別損益については、昭光通商における固定資産売却益計上等により6億円の改善となりました。法人税等については、利益の減少に伴い、支払額が98億円減少し、3億円の戻りとなりました。四半期純利益は、38億円と、305億円減益となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は27億円と、前年同期比304億円、91.8パーセント減益となりました。
特別損益の内訳
4ページをご覧ください。特別利益は、主に昭光通商が固定資産売却益を計上したことなどにより、前年同期比14億円増加しました。特別損失は、固定資産除却損、売却損で8億円を計上しましたが、他に大きな損失計上はなく、8億円増加となる15億円の損益となりました。その結果、特別損失のネットは、6億円改善の2億円となりました。
セグメント別売上高・営業利益差異内訳(1)
続いてセグメント別の売上高と営業利益についてご説明します。今回より見やすさを重視し、セグメントごとに売上高と営業利益をまとめて記載するかたちとします。5ページでは、石油化学、化学品、エレクトロニクスの3セグメントを個別にご説明します。石油化学セグメントの売上高は、前年同期比77億円減収の550億円。営業利益は、41億円減益で2億円の損失となりました。
オレフィンはアジア需給緩和による数量減少と、ナフサスポット価格下落による市況低下により減収となり、ナフサ価格下落によるタイムラグ要因とスプレット圧縮により減益となりました。有機化学品は、酢酸エチル、酢酸ビニルは、当期が定修年であり、定修に伴う数量限と市況低下により減収減益となりました。サンアロマーも市況低下により減収となり、また原料価格定価のタイムラグによりスプレットが圧縮し減益となりました。
化学品セグメントの売上高は、前年同期比3億円の小幅増収となる363億円となりましたが、営業利益は1億円の小幅減益となる23億円となりました。基礎化学品は、アンモニア、アクリロニトリルでは前年同期比並みでしたが、クロロプレンゴムの輸出減により減収減益となりました。情報電子化学品は、半導体業界向けの回復により増収増益となりました。産業ガスは、売上高は前年同期並みとなり、営業利益は川崎事業所定修時の外部原料調達コストが上昇し、小幅減益となりました。
機能性化学品は、中国向けの数量限により、減収減益となりました。コーティング材料は、昨年下期に新規連結したため増収となりました。エレクトロニクスセグメントの売上高は、前年同期比30億円増収の236億円、営業利益は同じく13億円増益の10億円となりました。
ハードディスクはPC向けが低水準ながら堅調な出荷となり、データセンター向けメディアの数量増もあって、ハードディスクの出荷量トータルは、1月から3月期は前年同期比で20パーセント強プラスとなり増収増益となりました。
化合物半導体は、輸出向け数量増により増収となりましたが、営業利益は前年同期並みとなりました。リチウムイオン電池材料ですが、売上高は負極材では減収となりましたが、パッケージング材料「SPALF®」の出荷増で前年同期並みとなり、営業利益は負極材事業の構造改革により増益となりました。SiCエピタキシャルウェハは、国内は堅調でしたが、輸出の減少で小幅減収となり、開発費の増加もあり減益となりました。
セグメント別売上高・営業利益差異内訳(2)
無機セグメント以降を記載している6ページをご覧ください。無機セグメントの売上高は、前年同期比510億円と大幅な減収となる214億円。営業利益は、同じく387億円の大幅減益となる8億円となりました。セラミックスは、鉄鋼事業所業界の減産で、研削剤の出荷が減少し、酸化チタンなど、電子材料向けファインセラミックスの出荷も減少し、減収減益となりました。
黒鉛電極は、鉄鋼生産の減少と顧客の在庫取崩しによる数量限、ならびに市況低下により、大幅な減収減益となりました。なお、販売数量は2万トン弱にとどまりました。アルミニウムセグメントの売上高は、前年同期比46億円減収の192億円。営業利益は、同じく2億円減益の数千万円となりました。アルミ圧延品は、コンデンサー用高純度箔が数量限により減収となりました。営業利益は、前年同期並みでした。アルミ機能部材は、自動車向け部材の数量限により減収となりましたが、営業利益は前期の減損形状による償却費減少により、小幅増益となりました。アルミ缶は、国内の生産能力削減と、ベトナムでの新型コロナウイルスの外出禁止に伴ってリール消費が減少したことにより、総じて数量限による減収減益となりました。
その他セグメントですが、昭光通商における金属セラミックス事業などの市況低下により減収減益となりました。
連結貸借対照表
7ページをご覧ください。3月末のたな卸資産は増加しました。石油化学セグメントにおいて、ナフサ船の受け入れが期末に1隻増加となったことや、無機セグメントで黒鉛電極事業の在庫増加などがあったことによるものです。当現預金は減少、営業債権も石油化学セグメントの市況低下などにより減少し、総資産は、248億円減少の1兆516億円となりました。負債は、営業債務は減少しましたが、有利子負債が増加し、前期末比10億円増加の5,579億円となりました。純資産の部は、親会社に帰属する四半期純利益の計上はあったものの、前期配当金支払いにより利益剰余金が減少し、評価・換算差額等も減少したため、前期末比258億円減少の4,936億円となりました。
総資産・有利子負債・D/Eレシオ・自己資本比率
8ページをご覧ください。有利子負債は、前期末比266億円増加し、3,251億円となりました。D/Eレシオは、前期末比0.09ポイント上昇し、0.69倍となりました。自己資本比率は、45.1パーセントと1.3ポイント減少しました。
(ご参考)四半期別連結営業利益推移
(ご参考)セグメント別営業利益推移①
(ご参考)セグメント別営業利益推移②
(ご参考)セグメント別営業利益推移③
9ページをご覧ください。9ページは全社、10ページから12ページはセグメント別の営業利益の推移を四半期ごとに棒グラフでお示ししています。
セグメント別トピックス
13ページ以降は、セグメント別にトピックスを掲載しているため、のちほどご覧いただければと存じます。
最後に業績予想と配当予想を未定にさせていただきましたことについてご説明します。 新型コロナウイルス感染症拡大により、世界的に経済活動が著しい制約を受け、足元では、自動車、鉄鋼など、多くの産業において生産が大きく低下しています。また原油価格が需要低迷により急落しています。
このような状況下では、コロナウイルス感染症拡大や原油価格急落の影響が当社の4月から6月期ならびに下期にどの程度影響を及ぼすか、現時点では合理的な算出が極めて困難ですので、2月にご説明した業績予想を一旦取り下げさせていただきました。
それに伴い、配当予想についても一旦取り下げさせていただきました。配当については、コロナウイルス感染症と原油価格急落が世界経済に与える影響が想定以上に拡大していますので、期初にお示しした1株当り130円へのコミットは困難な情勢と言わざるを得ませんが、一定水準の配当は必ず行いたいと考えています。
業績予想、配当予想ともに、コロナウイルス感染症拡大と原油価格変動が一段落した時点であらためて算出し開示します。以上で私の説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。