2020年5月28日に行なわれた、大塚ホールディングス株式会社2020年12月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:大塚ホールディングス株式会社 取締役CFO 牧野祐子 氏\n大塚ホールディングス株式会社 執行役員 経営企画部長 江村智博 氏

2020年12月期第1四半期決算説明会

牧野祐子氏:それではご説明に先立ちまして、まず新型コロナウイルス感染症に影響を受けたみなさまに、心よりお見舞いします。また、感染者の診断や治療に日々奮闘されている医療関係のみなさま、感染拡大防止に向け尽力いただいているみなさまに、心からの敬意を表します。

当社グループは、健康に関連する様々な事業を行っている大塚だからできる支援を、事業を展開しているすべての地域において、その地域に根差したかたちで行っており、今後も継続していきます。また、第1四半期の業績発表は、当初の予定より2週間遅れ、みなさまにはご不便をおかけしました。

このような状況ですが、2020年度第1四半期の連結業績について、ご説明します。本日のアジェンダは、「連結業績の概要」「医療関連事業 売上収益の主な増減要因」「ニュートラシューティカルズ関連事業 売上収益の主な増減要因」「2020年度連結業績の見通し」「COVID-19による影響と取り組み」の5項目です。

連結業績の概要|2020年度 第1四半期

4ページをご覧ください。まずはじめに、2020年度第1四半期の連結業績の概要についてご説明します。のちほど、5月までに把握している新型コロナウイルス感染拡大による影響と、その先を見据えた取り組みについてご説明しますが、第1四半期の連結業績に対する影響は軽微でした。

医療関連事業におけるグローバル4製品は、前期比36.1パーセントと大きく増加し、連結業績に貢献しています。また、重要な業績目標の1つである研究開発費投資前事業利益は、前期比プラス24.1パーセントで推移し、事業利益および当期利益も、それぞれ前期比でプラス51.2パーセント、およびプラス96.9パーセントと大きく増加しました。

事業利益|2019Q1実績 vs 2020Q1実績

5ページをご覧ください。このスライドは、事業利益の前年との差異を示したものです。先ほどご説明したとおり、医療関連事業における自社創薬品であるグローバル4製品の貢献により、売上収益が256億円増加しました。事業利益は51.2パーセント増加、505億円となり、収益力が確実に向上していることを確信しています。

なお、セグメント別事業利益の増減要因については、参考資料をご覧ください。

連結業績の概要|事業セグメント別

6ページをご覧ください。続きまして、事業セグメント別の売上収益、事業利益についてご説明します。医療関連事業が前期比で売上収益プラス13.2パーセント、事業利益プラス53.9パーセントと大きく伸長し、連結業績の増収増益を力強く牽引しています。

医療関連事業|売上収益

7ページをご覧ください。ここから医療関連事業とNC関連事業について、ご説明します。まず、医療関連事業の売上収益です。グローバル4製品の売上は前期比で36.1パーセント増加して、1,101億円となり、引き続き増収に大きく貢献しました。以上の結果、売上収益は13.2パーセント増加の2,371億円となりました。

NC関連事業|売上収益

8ページをご覧ください。次に、NC関連事業の売上収益についてご説明します。機能性飲料は、国内の前年のインフルエンザによる需要拡大の反動により、「ポカリスエット」の売上が減少しました。機能性食品は、栄養・健康食品に対する家庭内需要の高まりにより、N&Sの売上は、現地通貨ベースで増加しました。

また、デイヤフーズのプラントベース食品の売上は、堅調に増加しています。一方サプリメントは、米国のサプリメント市場における競争が激化していることから、前年比で減少しましたが、新型コロナウイルス感染拡大による健康意識の高まりにより、3月以降は需要が伸びています。

以上の結果から、NC関連事業の売上収益は前期比で3.2パーセント減少し、706億円となりました。

2020年度 連結業績見通し

9ページをご覧ください。2020年度の連結業績の見通しです。第2四半期以降の事業および業績への影響については、感染拡大による社会の影響が長期化した場合を想定し、現在精査中であることかから、計画は変更していません。以上、2020年度第1四半期の連結業績について、ご説明しました。

COVID-19による影響|2020年5月まで

ここから、新型コロナウイルスによる現在までの影響と取り組みについてご説明します。 10ページをご覧ください。ご説明したとおり、第1四半期の連結業績に対する影響は軽微でしたが、新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響は、2020年3月から徐々に顕在化しています。このスライドでは、2020年5月までに把握している状況についてご説明します。

大塚グループでは、生命関連企業として患者さまや生活者のみなさまを第一に考え、医薬品をはじめとする製品を安定供給するという使命を果たすべく、事業活動を継続してきました。製品の供給については、現時点まで問題なく維持できています。

事業への直近の影響について、医療関連事業では営業活動の自粛や制限により、新製品など一部製品の処方箋数に影響が出ています。また、一部の臨床試験は患者登録の中断などにより、スケジュールへの影響が認められています。現在地域ごとに状況を考慮して、再開に向けた準備を進めています。

NC関連事業では、屋外での活動制限により、一部製品の販売数量に影響が認められています。一方で、健康意識の高まりや家庭内消費の増加などにより、一部製品での需要が高まっています。また大塚にしかできない社会貢献も、今後も継続して進めていきます。

Post COVID-19時代に向けて

11ページをご覧ください。続きまして、アフターコロナ時代に向けた取り組みについて、ご説明します。医療関連事業では、ITツールを活用した医療従事者への情報提供活動により、病院訪問を必要としない新たな情報提供活動を推進していきます。

また米国では、来院による感染リスクを低減させるため、看護師などの医療関係者の派遣サービスなどのサポートを強化しています。NC関連事業では、製品の機能性やブランドの特性を生かした新たな消費機会の創出に取り組み、これからの時代に沿う新たな価値を創造し、人々の健康に貢献していきます。

研究開発では、治験業務の効率化とデータの質向上を目指し、ITツールを活用した次世代の臨床試験プラットフォームの構築などをさらに推進していきます。また、診断薬の開発ノウハウを生かして、関連で有用性の高い診断薬の開発の検討を開始しています。

このように、従来からの取り組みをさらに発展させ、変わりつつある生活様式を見据えた、大塚だからできる新たな価値創造へ挑戦し、世界の人々の健康に貢献します。以上、2020年度第1四半期の連結業績と新型コロナウイルス感染拡大による影響、およびそれに対する取り組みについて、ご説明しました。ありがとうございました。

2020年度第1四半期における主な進捗(2020年3月末時点)

江村智博 氏:それでは続きまして、医薬品開発品目進捗状況について、江村より説明します。それでは、医療関連事業における開発品のアップデートについてご報告します。

18ページをご覧ください。2020年3月末時点における、開発品のおもな進捗状況です。新型コロナウイルスの診断薬について、取り組みを開始しました。また、高コレステロール血症治療薬「ぺムペド酸」の、国内における独占的開発・販売権を、米国エスペリオンから取得しました。

「ASTX727」は、未治療の急性骨髄性白血病の患者さまを対象に、欧州において本年1月より、フェーズ3試験を開始しました。「OPC-214870」は、てんかんの患者さまを対象に、本年2月よりフェーズ1試験を開始しました。欄外に記載している「プレクスピプラゾール」は、中国における大うつ病の開発を、開発戦略上中止することとしました。また、米国および欧州における双極性障害についても、治験結果より開発を中止しました。

トピックス バダデュスタット (循環器・腎領域)

19ページをご覧ください。ここからトピックスについてお話しします。最初のトピックスとしまして、「バダデュスタット」についてご紹介します。

腎領域に特化して、商業化・開発を行っているAkebiaが、透析期における慢性腎臓病に伴う貧血の経口治療薬である、「バダデュスタット」のグローバルフェーズ3試験において、ポジティブな結果速報を発表しました。

2つの臨床試験では、成人の透析期における慢性腎臓病に伴う貧血患者さまを対象に、「バダデュスタット」の有効性および安全性を注射剤の「ダルベポエチン アルファ製剤」と比較して評価しました。

それぞれの主要評価項目であるヘモグロビンの平均変化量は、ベースラインに対して主要評価期間と副次的評価期間ともに目標範囲内に維持され、「バダデュスタット」投与群は対照薬投与群に対する非劣勢を示しました。

また安全性におきましても、「バダデュスタット」投与群は主要な心血管系有害事象(MACE)が発生するまでの時間で、対照薬投与群に対して非劣勢を示しました。

トピックス ブレクスピプラゾール(精神・神経領域)

20ページをご覧ください。もう1つのトピックスとしまして、「ブレクスピプラゾール」についてご紹介します。本剤はセロトニン−ドパミン アクティビティ モジュレーター(SDAM)に分類される作用機序を有し、米国では大うつ病補助療法および統合失調症治療薬として、また日本と欧州では統合失調症治療薬として販売しています。

現在、価値最大化に向けて、既存の適応症に加え、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション、心理的外傷後ストレス障害、境界性パーソナリティ障害に対する新たな剤形として、持続性注射剤の開発を進めており、このうち昨年の第4四半期から新たな試験を開始した、未疾患の病態、治療、患者数などについてご紹介します。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、自然災害、事故、暴力や犯罪被害など、強烈なショック体験、強い精神的ストレスがこころのダメージ(トラウマ)となって、長期にわたりその経験に対して強い恐怖を感じるという病態です。米国においては、約1,700万人の患者さまがいると言われています。

しかし、適応症を有する薬剤はパロキセチン、セルトラリンのみであるということから、このブレクスピプラゾールが新たな治療選択肢の1つとなることを期待しています。フェーズ3試験の良好な結果をもとに、現在正式に試験を実施中です。

境界性パーソナリティ障害は、感情や対人関係の不安定さや衝動をうまく制御できないという病態で、米国では約350万人の患者さまがいると言われています。治療のファーストラインは心理療法であり、適応症を有する薬剤はなく、SSRIや非定型抗精神病薬が適応外使用されている状況です。

適応症を有する初の薬剤に向けて、「ブレクスピプラゾール」は昨年10月より、フェーズ3試験を実施中です。「ブレクスピプラゾール」は、今後も精神・神経領域における未充足な治療ニーズへの挑戦を続けて、その価値を最大化させていきます。

重要開発品のフェーズ3試験|終了予定時期

21ページをご覧ください。重要な開発品のフェーズ3試験の終了予定時期をお示しします。先程ご説明したバダデュスタット以外にも、本年1月に、偏頭痛予防薬の「フレマネズマブ」を、3月にはアトピー性皮膚炎治療薬「ジファミラスト」と、いずれもポジティブなフェーズ3試験結果を報告しています。

赤枠で囲んだ試験は、本年2020年度中の終了を予定しています。なお、新型コロナウイルスによる影響について、現在精査中です。また、「AVP-786」については、6月より、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを対象とした、追加のフェーズ3試験を開始する予定となりました。

意欲的成長の実現に大きな貢献を期待している多くのプログラムがありますが、成功に導けるよう、着実に進めていきます。

2020年度の主な申請・フェーズ3移行プロジェクト進捗

22ページをご覧ください。最後に、2020年度に予定している主な申請およびフェーズ3移行プロジェクトをお示しします。申請予定が5プロジェクト、フェーズ3移行予定が4プロジェクトあります。また参考資料として、主な開発品を領域ごとに掲載していますので、あわせてご参照ください。

以上、医療関連事業の開発状況について、ご報告申し上げました。ありがとうございました。

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