彼が抱える「自殺未遂の過去」
それから1ヶ月後のある日、薫さんは彼から重い過去の話を聞かされます。「ホテルでくつろいでいた時、突然、彼が『僕は自殺未遂したことがある』って打ち明けてきた。」
聞けば、彼は3年前に長年付き合っていた彼女に浮気をされ、手首を切ったのだそう。腕には、その証拠であるかのような傷痕がくっきりと残っていました。「あんな苦しい思いはもうしたくないから、薫ちゃんは僕のこと裏切らないでね。」辛そうな表情でそう言う彼を見て、薫さんの中ではより一層、愛情が募っていきました。「私が幸せにしてあげたいと思った。不安にさせるようなことはしないようにしたいって思いました。」
しかし、その告白以降、彼の態度は豹変。以前から連絡はマメな人でしたが、1日に100通近いLINEが送られてくるように。「私は会社勤めなのでLINEが確認できないことも多くて。それで返事が遅れたら、電話が何回もかかってくる。1日に50回以上かかってきたこともありました。」
「なんで連絡くれないの?」「本当に仕事?」「男といるんじゃないの?」そんなLINEに薫さんは限界を感じ、彼に抗議したことも。「そしたら、『ごめんね。でも過去のことがあるから、つい心配になっちゃって…。薫ちゃんしか僕にはいないから』と言われて。苦しそうな表情を見たから、過去を持ち出されると何も言えませんでした。」
しかし、束縛はエスカレート。やがて、薫さんには理不尽なルールが押し付けられるようになりました。スカートは禁止。店員が男の店に行ってはダメ。会った時に携帯を必ず見せるだけでなく、薫さんのLINEは彼のパソコンと同期させられ、すべてのトークが丸見えの状態に。「半年くらい耐えたけど、もう心身ともにボロボロで。限界だと思って、彼に別れを切り出しました。」