大事を取って簡素なお祝いに

Kさんは35歳で第一子を出産しました。

「もともと私は体力のあるタイプではありませんでした。妊娠後、つわりがひどかった段階でとても仕事と育児を両立できる自信がなくなり、夫と相談の上退職し育児に専念することにしました。もうそんなに若くないので何かあってからでは後悔すると思ったので。妊娠中は長引くつわりとめまいなどさまざまな症状が続き、あまりマタニティライフを楽しんだ時期はありませんでした」

当初は通常分娩の予定だったKさん。なかなか進まないお産の経過を見た医師が緊急帝王切開へと切り替え、無事女児を出産したといいます。

「私にとって妊娠・出産はとにかく辛い日々でした。『楽しむ』という感覚がなかったというか。妊娠中は『とにかく早く出したい』と思っていたのに、子供をお腹から出したら出したで、傷口が激痛。しかも、妊娠中と決定的に違うのが赤ちゃんのお世話をしなくてはいけないということでした。こんなにボロボロなのに自分のケアもろくにできない状況に毎晩泣いていたのを覚えています」

その状況は一ヶ月経っても続き、とてもお宮参りどころではなかったそうです。ある日、傷口を抑えながら必死に耐えるKさんにもとに、義母から「お宮参りの日取りはどうする」という連絡が入りました。

「その頃の私はとてもそんなお祝い事をする余裕はありませんでした。その状況は夫もわかってくれていたので、両家そろってのお祝いは辞退し、私の体調の良い日に家族三人で行くことで納得してもらうよう連絡をしてもらいました」

息子からの連絡に、納得していない雰囲気の義母。Kさんはそんな不満そうな態度に気づいていましたが、「とてもいい嫁をする余裕などなかった」ため、それ以上考えることをやめたそうです。