この記事の読みどころ

  •  6月の日本株式相場は大波乱の展開となりました。日経平均株価は最大で▲13.8%下落しています(5月末比)。
  •  7月は日米の金融政策と、国内の企業業績が株式相場を動かす大きな要因となりましょう。
  •  特に、円高進行を受けて下方修正の続出が懸念されるQ1決算動向に注目です。当面は出遅れ感のある内需関連銘柄に着目したいところです。

先月(6月)の株式相場の振り返り

6月は歴史的な急落など、大波乱の展開となりました。日本株は大幅下落となり、年初からの下落率も拡大して終わっています。

惨憺たる結果となった6月の株式市場

6月の株式相場は大波乱となりました。日経平均株価を振り返ると、5月末の株価(終値、17,234円)との比較では、6月末終値は▲9.6%下落となりましたが、6月高値は▲0.5%下落、6月安値は▲13.8%下落となっています。

つまり、6月は5月末の終値を一度も上回ることなく終わったことになります。この数字だけを見ても、6月の相場がいかに大波乱だったかが分かります。なお、6月末終値(15,575円)は2015年末比で▲18.2%下落となっており、マイナス幅が一気に拡大しました。

後半は英EU離脱ショックの直撃を受ける

6月の散々な結果は、ザックリ言うと、前半は政府と日銀の悠長な政策スタンスに対して投資家(特に海外投資家)が愛想を尽かしたことが主要因であり、後半は英国のEU離脱を決定した国民投票の結果が主要因です。

特に、後半のいわゆる“英EU離脱ショック”は、直前まで楽観的な見通しであったこと、及び、ゆうちょ銀行のリスク資産への投資増加等から株式相場が回復基調だっただけに、衝撃的な急落となりました。6月24日の下落率(前日比、終値)の▲7.9%は、3年前に起きた“5.23ショック”の▲7.3%を上回るものとなっています。

ただ、英EU離脱ショック後、現時点では下値を模索する動きは限定的であり、回復基調にあることが数少ない明るいニュースと言えましょう。

2016年7月の注目イベント、注目セクター

7月の株式相場は、再び日米の金融政策と、Q1決算発表が行われる企業業績によって大きく左右される展開となりそうです。

7月最終週は日米の金融政策に注目が集まる

英国民投票結果後の金融市場の混乱を受けて、米国(FOMC:26~27日)と日本(日銀金融政策決定会合:28~29日)がどのような金融政策を講じるのか注目されます。開催までに市場が落ち着いていれば現状維持が基本という見方が多いようですが、今年はサプライズの連続なので、どう転ぶか予断を許しません。

また、米国の金融政策決定に大きな影響を与える雇用統計の発表(8日)にも注視する必要があるでしょう。7月最終週は、日米の金融政策が大きなテーマになる見込みです。

Q1決算では早くも下方修正が続出か?

国内では、7月20日過ぎ頃から3月期決算企業のQ1(4-6月期)決算の発表が始まります。今回は、熊本地震の影響もさることながら、その後の円高進行を反映して、Q1決算から下方修正に踏み切る企業が続出する可能性があります。

Q1の大幅減益、及び、通期の下方修正は織り込み済みという声もありますが、過去を振り返ると、実際に出てくると株価は大きく反応しています。やはり、発表が本格化する月末には十分警戒する必要があると言えましょう。

政府の景気対策への期待は小さいが・・・

一方、日本国内では参議院選挙が終了すると政府の景気対策に焦点が移ります。最近の事例では、政府の政策への期待は非常に小さいですが、好材料が少ないこともあり、相応の注目を集めると考えられます。

こうした観点から、当面は出遅れ感のある内需関連銘柄へフォーカスしたいところです。Q1決算が概ね良好な小売セクター、医薬品セクター、情報通信セクター等が物色の対象になる可能性が高いと考えられます。

 

LIMO編集部