Kさんをそこまで駆り立てたものは、一体何だったのでしょうか。「最初はお金が貯まっていくのがうれしくて、楽しんで節約していたんです。でも、だんだん節約しなければいけないという強迫観念のようなものが芽生えはじめて、たとえばすでに買ったものがほかのスーパーで1円でも安く売られていると、悔しくて眠れないほどでした」「今思うと異常だった」とKさんは冷静に振り返ります。
節約のため、好きなスイーツを食べることも、夫婦で趣味のドライブに行くこともやめてしまったKさん夫婦は、お金が貯まるにつれて知らず知らずのうちにストレスも貯めてしまったのでしょう。
貯金でノイローゼになりかけた夫婦が辿りついた答え
「今の生活は幸せなのかな?」という夫の一言で、ハッとしたとKさんはいいます。「将来の幸せのためにお金を貯めていたはずなのに、いつの間にか貯めることが目的になって幸せを犠牲にしていました。これじゃ本末転倒だねって夫と話し合って、節約を見直すことにしたんです」
最終的にKさん夫婦がたどり着いたのは、「無駄は排除、でも余裕は残す」という答えだったそう。それまでのように何もかも切り詰めてしまうのではなく、たばこや過度な買い食いはやめて、月に何度かは思い切り趣味を楽しんだり、大好きなスイーツを食べたりして息抜きをするのだとか。
「全部を切り詰めていた頃より貯金のペースは落ちましたが、一時期どんよりしていた家の中の空気がまた明るくなりました。ストレスがないので、これからもこのペースで貯金を続けていきたいです」そう語ってくれたKさん。現在も貯金は順調に増えているそうです。
短期間で目標額まで貯めたいという時には、Kさんが最初に実践していたような「切り詰められるものを全て切り詰める」という方法も良いのかもしれません。でも、将来を見据えて長期間貯金を続けていくのなら、少しずつでも無理のない方法で貯めていく方が挫折せずにすむといえそうですね。
参照
- メットライフ生命「『老後を変える』全国47都道府県大調査」
WANNAGROWライターズ