お金を「育てる」ってどういうコト?
まず、「資産運用」と「資産形成」の違いをおさらいしておきましょう。「資産形成」とは、貯蓄や運用を通して資産を十分に形成していくことです。「資産運用」は、「資産形成」の一部にすぎません。
資産とは、現金や預貯金、不動産や株式などを意味する会計用語なので、お金を育てることは「資産形成」の1つといえます。その方法として、「貯金」と「投資による資産運用」の2通りがある、と考えるとわかりやすいでしょう。
「投資による資産運用」は、元手資金が少ないと効率よくありません。たとえば、利回り10%だった場合で元手が50万円なら、税金や手数料などを考慮しないと1年の運用益は5万円になります。ところが、元手が500万円なら同じ利回りでも50万円の利益が出るのです。
また、投資を成功させるためには普段から情報収集や銘柄分析などの作業がかかせないので、元手資金が少ない場合、「リターンが労力に見合わない」という結果になりかねません。
ですから、投資用の元手資金が少ないうちは、まずはコツコツ貯金をして、ある程度まとまったお金を作ることに注力するほうが良いでしょう。
また、投資は若いうちにはじめるほど効果的だといえます。なぜなら、投資期間がより長くなるので、失敗をリカバリーしやすく、少しずつお金を育てるという選択肢も取りやすくなります。ある程度の元手資金が用意できたとしても、定年が間近に迫ってからスタートした場合などは、長期投資のメリットを十分に生かせません。
また退職金を投資に回そうと考えている人もいるかもしれませんが、資金に余裕がある場合を除き、退職金はより安全な方法で運用することをおすすめします。
「将来の自分」のために、若いうちから「種」をまこう
資産形成の初期段階では、キャリアアップにつながるような自己投資も有効です。自己啓発を忘れず、仕事で実績を積むことが、結果的には「資産形成」の一番の近道になるかもしれません。「生涯現役!」と考える人が増えた今、再就職や転職でもキャリアがあるほうが有利です。
”老後なんて何十年も先のこと”と言っていると、あっと言う間にやってきます。まさに「光陰矢のごとし」。
思うように貯蓄ができていない人は、今年こそ老後を見据えたマネープランを真剣に考えてみましょう。また、投資ビギナーには「NISA」や「iDeCo」もおススメです。
自分への「種まき」を始めるのに早すぎるということはありません。さあ、豊かな将来に向けて、先手先手で準備していきましょう!
【参考】
『生活保障に関する調査 平成28年度』生命保険文化センター
『2019年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査]』金融広報中央委員会
『平成30年 国民生活基礎調査の概況』厚生労働省
『NISAとは?』厚生労働省
iDeCo公式サイト
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
LIMO編集部