小手先ではない対策は、二つ考えられます。第一は、高齢者の定義を変えることです。70歳以上を高齢者と定義して、「70歳までは現役だから年金保険料を支払い、70歳から年金を受け取る」という制度にすれば良いのです。

これについては別の機会に論じるとして、本稿では第二の対策、すなわちサラリーマンの専業主婦の優遇をやめる、ということを考えましょう。

サラリーマンの専業主婦は年金保険料を払わない

サラリーマンは、自分の分の厚生年金保険料を給料から天引きされています。それで自分の分の国民年金保険料も払ったことになっているわけです。そこまでは問題ないのですが、なぜかサラリーマンの専業主婦の国民年金保険料も払ったことになっているのです。

これは、公平ではありません。まず、自営業者の専業主婦は国民年金保険料を支払う義務があるわけで、それとの比較で考えれば不公平です。共働きのサラリーマン夫婦や、独身のサラリーマンと比べても、不公平です。

独身サラリーマンと独身失業者は、いずれも年金保険料を払う義務があります。払えるかどうかは別問題ですが(笑)。しかし、その二人が結婚すると、失業者は義務を免除されるのです。生活的には楽になるはずなのに。

サラリーマンと専業主婦の夫婦がいて、ある日サラリーマンが失業したとします。すると専業主婦は「サラリーマンの専業主婦」ではなくなるので、国民年金保険料を支払う義務が生じます。生活的には苦しくなるはずなのに。