2019年12月9日に開催された、株式会社GA technologies2019年10月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。
スピーカー:株式会社GA technologies 代表取締役社長 CEO 樋口龍 氏
株式会社GA technologies 執行役員 CAIO 稲本浩久 氏
株式会社GA technologies 執行役員 CPO/イタンジ株式会社 代表取締役 野口真平 氏
PHILOSOPHY/VISION
樋口龍氏(以下、樋口):みなさま、こんにちは。本日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございます。
まずはじめに、今一度当社の理念を整理します。当社は創業時からの理念として「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」というものを掲げてきました。
この理念のなかに「不動産」という文字が記載されていないことを時々指摘されます。当社は創業事業に不動産を選んでいますが、将来的にはあらゆる領域にテクノロジーを導入してイノベーションを起こすという目標があります。そのため、あえて理念に「不動産」という文字は入れていません。
そして、VISIONは「世界のトップ企業を創る。」です。こちらも創業時から続いており、上場後も一文字も変わることなく、世界のトップ企業を目指すという目的のもと経営を行ってきました。
FY2019.10 業績ハイライト
決算の状況です。売上高に関しては、前期比95パーセント増加、売上総利益に関しても前期比95パーセント増加、そして営業利益に関してもYoYで76パーセント増加と、全ての数字で当社の最高業績というかたちになりました。
売上高予想達成
当初の予定では売上高は約320億円の予想でしたが、約390億円まで伸ばすことができました。
4Qにて過去最高売上高
そして、第4四半期を比較しても、当四半期は最高の売上高を記録しました。第3四半期は約91億円という結果でしたが、当社の傾向として、第3四半期まで積極的に投資をして第4四半期で回復するというモデルとなります。
営業利益予想達成
営業利益についても、約10億円の予想に対して約11億円で、76パーセント増加という結果となりました。
4Qにて過去最高営業利益
営業利益も第4四半期にて比較すると、当社において過去最高の営業利益を出すことができました。第3四半期において営業利益の進捗が約44パーセントだったので、市場の方々を含めて不安になった方も多いと思います。
しかし、第3四半期の決算説明会でお伝えしたように、通期の傾向で考え、第3四半期まで投資を行い、第4四半期で回収した結果としての過去最高営業利益かと考えています。
損益計算書サマリー
損益計算書のサマリーに関しては、当期純利益について前オフィスの賃貸借契約解消損等が影響していますが、それ以外の数値に関してはスライドのとおりです。
貸借対照表サマリー
貸借対照表サマリーです。純資産が約136%増加しており、約24億円から約57億円まで増加しています。
前倒しで投資計画を完了
投資に関しては、前倒しで完了した結果、営業利益が大幅に上昇しました。
2Qで採用を強化
人員に関しては、第2クォーターまで積極的に採用し、基本的には前倒しで完了しています。通期で考えますと、約140名の人員がグループに加わりました。
採用には来期も積極的に投資していきます。当社はまずエージェント(の採用)に積極的に投資し、エンジニア技術者もバランスよく採用していきます。
基本的に設備投資が必要なビジネスモデルではないため、投資対象は人材(採用)となります。
来期業績予想①
来期の業績予想です。売上高は前期比40パーセント増の550億円、営業利益に関しては前期比51パーセント増の18億円で、増収増益という予想です。
売上高500億円以上は国内不動産業法人数約29万社で40位以内
当社は2013年創業であるため、2020年10月期に売上500億円を達成すると、創業7年で不動産法人約29万社の中の40位内に入ります。これは、約0.01パーセントの割合です。当社は、これからの数年間で売上高1,000億円を目指します。売上1,000億円に到達すると、創業間もない当社が不動産事業者の上位約20位内に入ってくることになります。
不動産購入を1Clickで
事業についてのおさらいです。GA technologiesではRENOSY事業をメイン事業としてきました。
当社は、RENOSY事業のビジョンとして「不動産を1Clickで購入する」世界観を設定しています。そのビジョンのために新規の投資を行い、さまざまなグループ会社とともに設計し、さまざまな事業を行っています。
「不動産を1Clickで購入する」とはいうものの、売買に関する話をすると、(不動産は)高額の商品であるため、Amazonのように人に会うことなくインターネットで売買が成立するとは思っていません。
当社が売買に関するどの部分を1Clickにしたいかについてです。物件の選定や、お客さまの不安を解消するための部分に関しては、人が介在しなければならないと思っています。日本より不動産テックが進んでいるアメリカですら、個人間での売買は全体の5パーセントです。
当社としては、物件を選定し、お客さまの悩みを聞いたあとの、実際の不動産の申し込み、銀行の審査、引き渡しに関しては1Clickを達成できると考えています。現在は以上の段階で2週間から1ヶ月程度の時間がかかっています。そのビジョンのもと、さまざまな事業を行っています。
テクノロジーとリアル(不動産)との融合
再三お伝えしていますが、インターネットとリアルの融合こそが当社最大の強みです。みなさまから見て左に記載されているように、不動産を購入するためには基本的に4つのプロセスを通ります。
まずはメディアでどのような不動産を買うといいのかを勉強し、勉強し終わったら実際に物件を検索し、検索でいい物件を見つけたら実際にエージェントにお問い合わせして、よければ契約を結び、最後にアフターフォローがあります。
この4つのプロセスは、今までは分業制でした。きっかけ・学習と検索を一般的な不動産プラットフォームが請け負い、検討・契約とアフターフォローを不動産事業者が行っていました。
当社の「RENOSY」は、自社でメディアを保有しながら、自社で宅建免許を取り、エージェントを社員として雇用し、建設免許を取得し、設計士も社員として雇用し、買った後の管理まで一元で行っています。
要は、ワンストップで行うことによりどのようなメリットがあるかということです。みなさまは日常的にAmazonをご使用されていると思います。AmazonはECサイトを運営しつつ、自社で物流施設を保有しています。Amazonがワンストップで物流をコントロールできるからこそ、Amazonプライムによって当日荷物が届きますし、荷物のクオリティの担保もできます。
そこを分業にしてしまうと、当然ながら荷物の配送のスピードもクオリティも担保できません。不動産事業でもまったく同じです。つまり、各不動産事業者が一般的なプラットフォームに物件を掲載するだけだと、エージェントの質、お問い合わせ対応のクオリティ、アフターフォローのクオリティなどのすべてを担保できなくなってしまいます。
クオリティの担保のためにAmazonと同じように自社でメディアを持ち、自社でエージェントを持ち、管理までワンストップで行うというのが、当社の最大の特徴です。
“不動産購入を1Clickで”を実現するRENOSY
ワンストップで事業を展開すると、オペレーションが非常に複雑になります。当社が不動産ポータルのみを運営しているのであれば、プラットフォーム運営だけのためのPDCAを組み、サイト構築だけを行えばいいということになります。
ワンストップで事業を行うため、当社はサイトの運営だけではなく、自社で不動産取引、物件の仕入れ、管理までを行います。さらに、その事業の効率化のプロダクトまで作らなければいけません。自社で事業会社として行うので、それぞれのプロダクトを作らなければいけないのです。
スライドの左側に記載されているマッチングプラットフォームもそうですし、営業ツール、顧客管理のCRM、優良物件を調達するシステム、物件を管理するシステム、ローンの審査のシステム、そして物件を購入していただいたオーナー様向けのアプリまで、当社は全て自社開発しています。
全て自社開発という点は、マネージメントを行うにあたって非常に複雑で難しい部分です。なぜなら、当社は国籍のダイバーシティだけではなく、事業のダイバーシティが多数起こっているからです。
例えば技術者にしてもAIのプロ、マーケのプロ、エンジニアのプロ、不動産のプロ、設計のプロ、管理のプロなど、当社ではありとあらゆる人間が働いています。そのようにさまざまな人間が事業を行うことにより、新たなイノベーションが起きると考えています。
RENOSY事業の重要な指標
RENOSY事業の成長のために、3つの重要なKPIを設定しています。当社は今期もこの3つに沿って事業計画を立ててきました。まず大事なのは「RENOSY」の会員数を獲得することです。「RENOSY」を知っていただき、活用していただき、そしてお問い合わせいただくことを伸ばすのがまず1つ目の重要なKPIです。
2つ目のKPIがセールス人員数です。当社はネットとリアルの両方で事業を展開しているため、エージェントの人数も非常に重要なKPIです。
そして3つ目のKPIはARPAです。1人当たりの売上単価も、当社にとっては非常に重要なKPIです。
RENOSY事業の成長
「RENOSY」の会員は、前年同期と比較して約2万7,000人増えています。それに比例するように、成約件数も前年同期と比較した場合は約282件と大幅に増加しています。
当社KPIとしては「RENOSY」の会員が伸びれば成約件数が伸びると考えています。そのため、当社の技術者とマーケ企画は「RENOSY」の会員の獲得に時間を使っています。
セールス人員配置転換により分業体制強化
セールスの人員は1人当たりの売上単価に関わってきます。
不動産売買では、宅地建物取引士が契約書の説明をする必要があります。つまり、契約行為は基本的に事務作業ということになります。
契約サポートに成約率の高いエージェントを配置してしまうと、1人当たりの売上単価が下がります。当社の中でも高い成果を上げるエージェントがお客さまに対してより多くの時間を使えるように、当社では分業制を敷いています。その結果、1人当たりの売上単価も向上しています。
毎期新規セールスの戦力化は4Q
当社では第2四半期から第3四半期にかけて人員が多く増加します。その結果として、第3四半期は毎年1人当たりの売上単価が下がります。当社では、基本的に入社後およそ3ヶ月から4ヶ月で各エージェントが稼働し始めます。結果として、第4四半期の1人当たりの売上単価も伸びています。
自社開発セールステックツールの活用
大事なのは、1人当たりの売上単価をいかに上げられるかどうかです。これには2つポイントがあります。1つは(23ページで説明した)分業制で、リアルのオペレーションを効率化することです。
もう1つは、テクノロジーを活用することによって1人当たりの業務効率を上げることです。その一環として「DATA ANALYZER by RENOSY(データ アナライザー バイ リノシー)」があります。お客さまに提案する際のツールです。このツールによって、一切紙を使わずに(提案ができます)。なおかつお客さまはシミュレーションをQRコードで持ち帰ることができます。
今までのセールスの問題点として、お客さまと対面している時には表情からいろいろな情報が読み取れるものの、帰ってしまったあとにお客さまがどういう行動をしているか、要はラストワンマイルがわからないということがありました。
「DATA ANALYZER」では、QRコードをお客さまに持ち帰っていただくと、実際にお客さまがどのような点を不安に思っているかわかります。お客さまが当社のどのような部分をチェックしているかということがわかります。
それによって、お客さまの感度がわかります。何が不安かという、今までわからなかったラストワンマイルのデータを取得することによって、成約率の高いお客さまに対して適切にアプローチできるというのが、この「DATA ANALYZER」です。
MORTGAGE GATEWAY by RENOSY で簡単ローン審査
2つ目は「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY(モーゲージ ゲートウェイ バイ リノシー)
」です。不動産会社と金融機関をつなぐプロダクトです。当社は、不動産、金融、住宅ローンは一気通貫のプロダクトだと考えています。
なぜならば、不動産を購入する99パーセントの方がローンを活用するからです。日本の住宅ローンの問題点は、同じ名前と住所を何度も書かなければいけない点です。そして、不動産会社、金融機関、お客さまの間で、毎回書類の受け渡しを行う必要もあります。
また、以前問題になった不正についても、「MORTGAGE GATEWAY by RENOSY」はログが残るため、起こりえません。
書類の受け渡しもクラウド上で、何回も名前と住所を書く必要がありません。さらに不正も防止できるということで、住宅ローンの持ち込み業務が約66パーセント削減できるというプロダクトです。当社は、分業制とともに、テクノロジーを活用することによって1人当たりの売上単価を上げています。
続きまして、当社が前期積極的に投資をしたAIの取り組みについてお話しします。
AIによる成長戦略
稲本浩久氏(以下、稲本):こんにちは。AIの投資について、稲本から説明します。AIによる成長戦略としては、現業である不動産業界で集まったデータを用いて研究開発や技術開発を行います。
その結果を用いて現業をエンハンスするのに加え、そこで得られた技術やプロダクトを用いて他社に展開したり、他業種に展開することで、更なる成長を促そうというのが基本戦略になります。
GAテクノロジーズのAI Strategy Center
ここで、当社のAI部門である「AI Strategy Center(エーアイ ストラテジー センター)」について説明させてください。当社のMissionとVisionはご覧のとおりです。「AI Strategy Center」はさまざまな分野の専門家が集まった研究開発集団なのですが、なにより研究を事業につなげるということにフォーカスを置いた研究開発集団です。
AISCの研究の位置付け
続きまして、研究のスタンスについてお話ししたいと思います。当社はさまざまな研究テーマを持っていますが、その研究テーマは2軸あると思っています。1つの軸は、事業貢献までの課題が明確なものです。逆に、現時点では課題がまだ不明確だという軸もあります。
更に、研究開発のためのデータが十分に存在するものと、十分なデータが存在しないものの軸も存在していると思います。スライドの右上に示したように、課題が明確でデータが存在するところに対する研究は当然どの会社でも行われます。
しかし、当社は、データが存在しないならデータを集めるという部分や、場合によっては、データを集めるためのプロダクトを作るという部分まで含めて「AI Strategy Center」が担当しています。
また、課題が十分に明確になっていないものに関しては、時にはプロトタイプを作って現場にさまざまな仮説をぶつけることによって、課題を明確化していくといった作業も担当します。
この観点で、今日は5つほど研究テーマを紹介したいと思います。
1:RENOSY SELL←価格推定
まず1つ目、データが十分にあって課題が明確なプロダクトが「RENOSY SELL(リノシー セル)」です。「RENOSY SELL」は、お客さまがWebサイト上で売りたい物件の情報を登録すると、AIが即座にその価格を査定してくれるといったものです。当然、AIが査定する高精度かつ高速に価格を予測するというエンジンは「AI Strategy Center」が開発しています。
2:SUPPLIER by RENOSY←AI&RPA
続いて「SUPPLIER by RENOSY(サプライヤー バイ リノシー)」というプロダクトを紹介します。こちらは、当社が物件を購入する時の仕入れのシステムです。当社には紙を媒体として情報が入ってくることが多いので、画像認識により解析してデータにしてしまいます。
そのデータを使って、その物件を買うべきか、買わないべきか、更に言えば、いくらで買うべきなのかまでをAIがサポートするようなシステムを作っています。更にRPAと組み合わせることによって、仕入れにかかる業務時間を3分の1に減らすことができました。
3:DATA ANALYZER by RENOSY←データ取得
続きまして、データがない場合にどうしていたかという例として、「DATA ANALYZER by RENOSY」の話をさせてください。こちら「DATA ANALYZER by RENOSY」は、一言で言ってしまえば接客ツールのデジタル化です。
その場でデジタル情報によりさまざまなシミュレーションを実行できます。 更にそれをお客さまが持ち帰ることにより、当社がデータとして欲しかった、お客さまが家に帰ってからどのように物件を検討されているのかという情報を得られるようになりました。
4:BLUEPRINT by RENOSY←Deep Learning
続きまして、データはあるが活用シーンがわからないものの例として「BLUEPRINT by RENOSY(ブループリント バイ リノシー)」を紹介します。こちらはリノベ設計者向けのツールになっていて、マンションのパンフレット情報を入力すると、自動で設計に使えるCADデータに変換してくれるというソリューションです。
当社はパンフレットのデータはけっこうたくさん持っていたのですが、それをどうやって使おうかと考えていました。そのようななかで、現場で設計を行っているメンバーが(図面トレース)作業に長い時間をかけているということを見つけて、この技術を開発しました。現在この技術は、事業化に向けて検討されています。
5:BEST BASHO←グラフDB
最後に「BEST BASHO(ベスト バショ)」の紹介です。こちらはまだデータを集めている最中で、提供先も考えている最中ですが、お客さまにとってベストなお家を提供したいという思いで現在進行中のテーマです。(最寄り)駅や、通勤にかかる時間といったさまざまな不動産データを集めて、それらのマッチングを取ることにより、お客さまに最適なお家を提案しようというシステムです。
「AI Strategy Center」からのお話は以上ですが、当社が研究を事業につなげることにフォーカスというところをおわかりいただけましたら幸いです。以上です。
イタンジの戦略①
野口真平氏(以下、野口):イタンジ株式会社のご報告は、私野口が行います。
まずイタンジの簡単な事業戦略についておさらいします。事業戦略は2つあり、1つがBtoB事業で、もう1つがBtoC事業です。
BtoB事業は「ぶっかくん」をはじめとした、不動産賃貸管理会社さまへ向けたSaaSシステムのご提供です。この事業ではSaaSの拡販を通じて、月額のご利用料をいただき、安定的なストック収益の確保ができています。
また、このBtoB事業にはもう1つの目的がございます。それは物件データの獲得です。
スライド右側のBtoC事業では、BtoB事業で獲得したリアルタイムな物件データベースを使って、消費者の方に賃貸物件を探しセルフ内見が可能なポータルサイトをご提供しています。
この物件データベースは、BtoB事業の拡販に比例してコンテンツが増えていき、また、BtoC事業で集客力が増してくればBtoB事業で顧客を獲得しやすくなってくるというように、シナジー効果を持っています。
この2つの事業を伸ばし、BtoB事業を伸ばしていくことが、全体の事業を底上げしていく事業戦略です。
不動産賃貸業界の現状プロセスと課題
BtoB事業のサービスが伸びていくかという点に関して何ですが、既存の賃貸業界は、スライドで示した図のように、左から右へと賃貸の取引が移り変わっていきます。
間に入居者、仲介業者、管理会社という3者の登場人物がいて、仲介業者を挟むことにより、非常にたくさんの中間コストが存在しています。例えば、入居者がポータルサイトへ問い合わせた時に、仲介会社を通じて物件の確認を行っています。
あるいは、内見をする時に名刺をFAXで送り、用紙を送り、管理会社と予定調整をして仲介業者から入居者へ予定を連絡するというように、伝言ゲームのようなことが起こっています。あるいは申し込みや契約でも紙の手続きが必要になるため、現在もFAXをベースにやり取りしている場合がほとんどです。
つまり、仲介業者を挟むことによって中間コストが増え、消費者の利便性も悪くなっているという状況です。
イタンジの目指す世界観
イタンジが目指しているのは、上記の仲介業者の役割をデジタル化して、入居者と管理会社の取引をなめらかにしていくということです。
管理会社に提供している「ぶっかくん」をはじめとしたさまざまなツールをご利用いただくことによって、入居者の方に「OHEYAGO(オヘヤゴー)」を通じてセルフ内見をご提供できたり、申込をスマートフォンで行えるようになったり、スマートフォンによってご自宅で契約を行えるようになるなど、サービスの向上が可能となっていきます。
イタンジの指標
とくに、「内見予約くん」と「申込受付くん」の2つのサービスについて、「OHEYAGO(オヘヤゴー)」へ掲載したいという管理会社さまは必ずこの2つのサービスをご利用いただくということを条件としています。
世界観実現のためのキープロダクト
この「内見予約くん」と「申込受付くん」に物件のデータをご登録いただいて、SaaSをご利用いただきます。そうすることで、「内見予約くん」では内見可能な日時情報が取得できます。その内見カレンダーが「OHEYAGO(オヘヤゴー)」へ掲載されます。
そして、「申込受付くん」のデータが使われて「OHEYAGO(オヘヤゴー)」からスマートフォン上で申込ができるようになります。加えて「申込受付くん」は、ほかの方の申込が入るなどの情報を記載しているため、物件を自動的にリアルタイム化することが可能です。
募集が落ちると自動的に落ちる仕組みとなっていて、ほかのサイトにはない強みが発揮できます。「内見予約くん」と「申込受付くん」の2つのサービスを管理会社さまに使っていただくことで、初めて「OHEYAGO(オヘヤゴー)」に掲載が可能となります。
内見予約くん、申込受付くんの浸透加速
実際に「内見予約くん」と「申込受付くん」のそれぞれの現状のご利用契約社数と取引数をお見せします。
「内見予約くん」は現状274社と契約しており、四半期ごとの内見予約数はスライドのとおりとなっています。
スライド右手側の「申込受付くん」は現在、電子申込市場No.1のサービスとなっています。とくに第3四半期から第4四半期にかけて446パーセント成長し、電子申込数が大幅に伸長しています。初期費用・月額利用料0円キャンペーンや電子申込のサービスシェアNo.1のPRを行ったことにより、大幅にご利用管理会社の数が増えています。
とくに「申込受付くん」に関しては、ご契約社さま数が283社と、大幅に伸長しています。
イタンジSaaSは順調に伸長①
各サービスの累計の契約社数に関してはご覧のとおりです。GA technologiesにグループ入りする前と後で色を分けています。グループ入りする前の成長率は94パーセントですが、グループ入りしたあとの1年間の成長率は179パーセントと、前年度比で3倍近くまで伸びています。
こちらは、GA technologiesから営業力強化のためのノウハウを学んだり、グループで賃貸管理物件を持っているためグループ入りしたことによって営業力とプロダクトの強化が図れたことで、大きな伸長を遂げることができたと考えています。
イタンジSaaSは順調に伸長②
導入拠点数に関しては導入契約社数と比例しますが、とくに1社当たりの拠点数が多いと、拠点数が増えていきます。
直近では、2019年10月の導入拠点数の大幅な増加が大東建託グループの導入実施によるものです。
イタンジの業界シェア
イタンジ株式会社の現状の賃貸管理業界におけるシェアについてです。賃貸管理戸数ランキングトップ50で見た時に、約半数の管理会社がイタンジのサービスのうちのどれかを使っている状況です。
次の期に関しても、トップの管理会社も含めてシェアの拡大を実施していきます。私からのご説明は以上です。
来期業績予想②
樋口:来期の戦略についてお話しします。まず、来期の売上に関しては550億円、営業利益は18億円という数字を目標にしています。
GAテクノロジーズの戦略
今一度戦略のお話です。まず、1つ目のPropTech事業の強化についてです。当社はネットとリアルの両方で展開しているため、グループとして純粋に不動産の取引を増やすということです。2018年の約1年間では1,850戸のマンション取引をしました。テクノロジーとリアルを活用し、この取引数を増やすというのがまず1つ目です。
その延長線上で、今後は自社の不動産取引だけではなく、日本全体の不動産取引をなめらかに効率化していきたいと考えています。サードパーティーに物件のサイトを開放していくことにより、日本の不動産全体の取引を効率化していきたいというのが、まず1つ目の戦略です。
2つ目の戦略です。当社は事業会社として、自社でプロダクトを活用しています。不動産業というのは、非常にアナログな業界です。アナログな理由はさまざまあるのですが、1つに、不動産業務が非常に煩雑だという点が挙げられます。そのため、紙とFAXが未だになくなりません。
各不動産会社はITベンダーにシステムをつくってもらいますが、現場ではなかなか使うことができません。なぜならば、業務が非常に煩雑だからです。現場のことをわかっていない状態でプロダクトが出てきてしまうため、実際に使われることがないという現象が非常に多く見られます。
一方、当社は自社で不動産の取引をしているため、かゆいところに手が届くプロダクトを実際につくっています。不動産の取引をしている隣にエンジニアが座り、PDCAを高速回転サせているからです。こちらも、Amazonが自社で使っていたAWSを外販するのと同じ動きです。
以上のように、自社で効率化したプロダクトを外販して、SaaSとして提供していくというのが2つ目の戦略です。
3つ目の戦略が、関連領域に積極的に参入するということです。不動産業界に非常に近い領域として、建設業界があります。不動産とリノベーションはほぼイコールだということです。
また、不動産と金融についてですが、さきほどお伝えしたようにファイナンスは不動産とイコールです。そして、まだプロダクトはありませんが、不動産と保険も非常に親和性が高いです。
以上のように、不動産を軸にして親和性の高い領域に参入していくというのが、3つ目の当社の戦略です。
RENOSY顧客体験向上のためのサービス強化
RENOSY事業の取引を強化していくために、当社は2019年にYes Renovationという会社をグループ会社化しました。こちらは、投資物件のリノベーション会社です。
将来的にバリューアップすることによって、家賃を上げていただきます。そうすることによって、オーナーの利回りの向上や稼働率の改善を図ることができます。このようにサービスを補完していくことにより、不動産の取引は実際に増えています。
また、今回発表させていただいたModern Standardのグループ会社化についてです。当社が「RENOSY」で扱っていたのは、実際に自分で住む用の物件を買っていただくこと、築30年のものをフルカスタマイズでリノベーションしていただくこと、そして、投資物件を購入していただくということでした。
2018年にイタンジがグループ会社化したことによって、BtoCの賃貸も当社グループとしてとることができると考えました。不動産の入り口は賃貸です。高校から大学に移る際、大学から社会人に移る際は、家を買いません。まずはみなさまが一番最初に不動産に接するのは賃貸です。つまり、賃貸を押さえることができれば、将来的には「RENOSY」の売買に繋がっていきます。
RENOSY事業戦略(FY2019 2Q決算説明資料より)
Modern Standard社は、当社が再三ビジョンとしてお話ししてきた高所得者向けのサービスを行ってきました。当社のM&Aのシナジーならびに事業のビジョンとして、当社に関連する領域……要は不動産の取引が増えるような事業を持つ企業、もしくはワンクリックで不動産を購入する世界観に繋がるような事業を持つ企業、もしくはお客さまのセグメントをすべて扱えるという事業を持つ企業でなければ協業できないと考えています。
Modern Standardの概要
そのなかで、まずModern Standardがどのような企業か説明します。私も実際にこのサイトを使っていました。都心5区で賃貸を探す場合に、物件名を検索していただくと、おそらくほとんどの場合でModern Standardのサイトが出てきます。
こちらに記載されているように月間PVが約100万、MAUが約20万、そして特徴的な点として、Modern Standardはメディアを運営しているだけではなく、当社と同じようにワンストップで事業を行っています。これが最大のキーポイントです。
自社でメディアを運営しながら、自社で宅建免許を取って、自社でエージェントを抱えています。当社と同じワンストップで事業を行っているというのが強みになっています。
会員数/成約数①
実際に、現在「RENOSY」の会員は6万人います。そしてModern Standardの会員は7万人です。我々のグループになることによって、会員が約13万人に増えます。そうすると、GA technologiesグループの「RENOSY」の成約数もアップするだろうと考えています。
Modern Standardの顧客年収比率
そして、顧客の約42パーセントが1,000万円以上であり、高所得者が非常に多く利用しています。
高級エリアで業界トップレベルの認知度
3Aと言われる高級エリアの赤坂・青山・麻布に関しては、他メディア等と比較しても圧倒的な認知度を誇っています。
Modern Standardの強み
1つ目の強みは最高水準の会員数を誇ること、2つ目の強みは業界トップレベルの売上規模、そして3つ目の強みは、高所得者を扱うことができているということです。
Modern Standardの顧客層
顧客としては、年収1,000万円以上ならびに年収3,000万円の方が多く存在しています。
会員数/成約数②
そして、より具体的なRENOSY事業とのシナジーとして、会員が増えることによって、成約数も大きく伸びるだろうということを考えています。
RENOSY事業と親和性の高い顧客層
なぜならば、当社の「RENOSY」のお客さまというのも、年収800万円以上の方が約33パーセントを占めているからです。Modern Standardで考えた場合は、年収1,000万円以上が35パーセント、年収800万円以上のお客さまは約40パーセント以上です。
RENOSY事業とのクロスセル
高級賃貸を借りた方が、将来的に家を買うかもしれません。高級賃貸を借りた方が、当社で投資物件を買うかもしれません。逆もしかりで、当社で投資物件を買った方が、将来的に当社の物件に引っ越しをするかもしれません。さまざまなクロスセルが見込まれます。
「RENOSY」と合わせ、メディアとしてのパワーも非常に発揮できると思います。一緒になることによって、月間PVは約180万、MAUは約55万というように、メディア化していく上でもこのグループ化には非常に大きなメリットがあると考えています。
RENOSY事業体制による生産性向上
逆に、当社の強みが活かせる部分もあります。元来、Modern Standardはインターネットとリアルで展開し、エージェントを抱えていますが、まだまだ1人当たりの売上単価には伸ばす余地がございます。
当社の「RENOSY」は創業からワンストップでビジネスを行ってきたため、いかにエージェントがテクノロジーを活用して効率よく業務をこなすようにできるかという部分で、当社の力が大いに発揮できると考えています。
そのことによって当社のRENOSY事業が成長しますし、Modern Standard社にとっても当社とグループ会社になることによって1人当たりの売上単価(ARPA)が上がり、業績が上がるというメリットがある考えています。
「OHEYAGO(オヘヤゴー)」とのすみ分けについてご説明します。
Modern Standardは基本的に高級物件を扱っており、高級物件は基本的にセルフ内見が禁止されています。高級な物件を扱うということになると、基本的にはエージェントが付き添わなければいけないということです。
イタンジは、基本的にボリュームゾーンの物件を扱っていきます。そのような物件には、基本的にセルフ内見が認められています。
そのようにすみ分けがなされています。
サードパーティーにサイトの開放を行う
サードパーティーのご説明です。創業から今までは、自社の取引をなめらかにするということを行ってきました。今後は、サードパーティーに「RENOSY」を開放することによって、日本全体の不動産取引をなめらかにしていくという「第2フェーズ」に移っています。
海外にグループ会社数社を設立
海外に目を向ける事業も行っていきます。当社のビジョンとしては、まずは日本の不動産を日本人の方に買っていただきます。当然、今後もここは伸ばし続けます。
しかし、我々は、世界の不動産をもっと手軽に買える世界が来ると思っています。日本にいながら海外の不動産を買うという行動、逆もしかりで海外の方が別の国の不動産や日本の不動産を買うという行為は、株と同じように、よりグロースできると思っています。
こちらは基本的に実需ではなくて、投資物件と親和性が高いと考えています。なぜならば、投資というのは、基本数値化できるからです。利回り、家賃、価格さえしっかりチェックできれば、実際に現地に足を運ぶこともなく、株のように取引できると思っています。当社はそのような世界観を持っています。
ローン審査にかかる負担を軽減 MORTGAGE GATEWAY by RENOSY
そして、自社開発のプロダクトについてです。すでに発表していますが、強化という意味で「MORTGAGE GATEWAY」という金融機関向けのシステムの不動産会社への営業がスタートしており、何社か実績ができています。今後はここを伸ばしていきます。
建築士の作業負担を軽減 BLUEPRINT by RENOSY
2つ目は「BLUEPRINT」です。先ほど稲本からも説明したように、CADを効率的に書き、設計士の業務を効率化するためのソリューションです。こちらに関してはまだ精度を向上している段階ですが、今期にどうにか事業化までもっていきたいと考えています。
イタンジの戦略②
「OHEYAGO(オヘヤゴー)」事業のイタンジについてです。戦略としては、まずBtoBで不動産のデータをしっかり集め、BtoBでしっかりと利益を安定させていきます。そして、BtoBで培ったデータをBtoCの事業に活かします。
全く新しい賃貸体験を提供するために
このスライドに書かれている大事なこととして、物件数を増やし、セルフ内見できる物件をいかに多くするかというのが、今期の一番重要なテーマとなっています。
GA TECHNOLOGIES GROUPの提供価値
GA technologiesグループ全体の戦略です。
GA technologiesグループではまず、住む、リノベ、投資すべての売買を扱っていきます。そして、他社の物件も扱っていきます。「OHEYAGO(オヘヤゴー)」では不動産の入り口である賃貸をしっかり押さえ、それが将来的にRENOSY事業にも活きてきます。
また、全体的に高級な物件を扱うことによって、不動産を購入する、不動産を借りる、不動産をリノベする、不動産で投資する、そして海外の不動産を購入する、などをすべてGA technologiesグループでとりにいくという大きなビジョンがあります。
不動産業界はまだまだアナログですし、改善余地も非常に多くあります。にも関わらず、マーケットが非常に大きいです。そのため、当社1社だけではなく、今回のように業界トップとのグループ会社化を行い、同じ志を持った会社と一緒になり、共に大きなマーケットを改善し、イノベーションをしていきたいと考えています。
当社にとってはまだまだ道半ばです。来期ならびにその次の期も、積極的にリスクをとって、大きな挑戦をしていきたいと考えていますので、引き続きご支援のほど、お願いしたいと思っています。
長くなりましたが、当社からの説明は以上です。本日はありがとうございました。