漫画家の祭さんは、2016年の梅雨の少し前まで、大明神さんと小明神さんという2匹のチンチラさんと一緒に暮らしていました。しかし、大明神さんが原因不明の食欲不振により急逝(第22話:大明神のはなし①)。祭さんの家には、他にもデグーのけまりちゃん一家がいるものの、チンチラは小明神さんひとりになってしまいました。

大明神さんの葬儀を終えてから半年が過ぎ、祭さんは小明神さんに新たな相棒を見つけてあげたいと思い、時間を見つけては、里親募集サイトを見たり、ブリーダーに問い合わせたり、彼氏(本邦初公開!)とのデートを兼ねて、チンチラのいるペットショップを訪ねてみたり…ということをしていました。しかし、なかなかピンとくる子がいません。

「そうそう運命の出会いなんてあるものでもないし、小明神ひとりでもいいかなあ…。」

そう思い始めていた時のこと。祭さんは出張のため東京へ行くことになりました。仕事を終え、そのあと彼氏(東京在住)とデートをしているときに「今日はもう帰るだけだし、チンチラ専門店に行きたかったんだけど、休みなんだよね~。」という話になったのです。すると彼氏は、スマホでペットショップを検索し「チンチラがいるペットショップを見つけたから行ってみよう。」と提案してくれました。

早速お店に行くと、そこには色々な種類のチンチラがたくさん。「おおー、たくさんいるねー。」といいながら見て回っているときに、なんだかぼーっとしている大きなスタンダードグレーのチンチラさんが目に留まりました。じーっと見てみましたが、いつものごとく特に何も感じません。「まあ、可愛いけど、フツーかなあ。」と祭さん。「そっかー」といいながら、あらためてケージをのぞき込む彼氏。

すると、その大きな子の後ろに、もぞもぞと何かが動いているのが目に入りました。「あれ、奥にも1匹いるんじゃない?」すると、その後ろに隠れていたチンチラさんが、ぴょこんと祭さんたちのほうに顔を向けたのです。