壮太さんは結婚するにあたり、不安を感じる人物ではありませんでした。
女癖・酒癖は悪くない。ギャンブルはしないし借金の心配もありません。人に暴力をふるうようなこともないのです。

実際に結婚生活中に、それらのどの問題も起きませんでした。それでもこんなことになるなんて…。

『付き合ってるときには一見問題ないように見えたけど、今思えば気づけたなというポイントはある』

果歩さんはいくつか、今思えば変だったという点を教えてくれました。

① 人によって態度が大きく変わる

壮太さんは基本的には誰に対してもやさしい人なのですが、一度「こいつは大丈夫」と感じると、とことんイジリ倒すような人でした。

自分の方が上と思うと、さんざんイジリ倒し、ゲラゲラ笑っていました。
でも、当時はあまり嫌な感じがしていなかったんですよね。

本当にいじって大丈夫な人を選んでいましたし、コミュニティ内でもそういう人がいじられるとみんなで楽しい雰囲気になるように自然と協力できていました。

いじられる本人も周囲も「愛情表現」だと思っていました。仲が良いもの同志だからこそ、成立するものだと思っていたのです。

しかし、壮太さんはそのノリを家族や職場まで持ち出すようになったそうです。
友人のイジられ役をイジるように果歩さんを「ブス」と呼び、職場の先輩までイジリだし、職場でトラブルを起こすことも多かったとのことでした。

「まさかあの男友だち同士のノリを家族や職場でも繰り広げていたとは…」それはかなりの衝撃でした。学生時代には気づけない、壮太さんの一面に驚きました。

② 一貫して束縛がなくやさしい状態を保つ

学生時代に付き合っていた彼女なんて、ついついいろいろと求めてしまって、喧嘩がたえなかったりすることもあるのではないでしょうか。

しかし、そういった感情の揺れや動きは一切なく、一貫してそこまで求めてこない、やさしい彼氏の状態を保ったのだそうです。

交際していた学生時代に果歩さんしか知らない、壮太さんの一面というものがまるでなかったことに、僕自身もとても驚きました。

普通は交際相手には、何かしら友人とは違う内面を見せるものです。結婚してから、本当の内面がわかったということでした。それまでは「シンプルで裏表のない人だから安心だ」と思っていたということですから、怖いものですね。

果歩さんはさっぱりした性格なので、少しでも求めると、うっとうしがられるでしょう。そうなると、すぐに「別れる」と言われてしまうことに、壮太さんは気づいていたのかもしれません。結婚してから、「もういいだろう」とこれまで我慢していたものを一気に解放したわけです。

③ 実家の家族への当たりが異常にキツイ

友人にはやさしいのに、実家の家族への接し方が非常に冷たく、言葉づかいも汚くて驚いたのだそうです。

当時は「実家だしそんなものなのかな」と思っていたそうですが、実際に果歩さんが壮太さんの家族になると、実家の家族以上の汚い言葉を浴びせられるようになりました。

壮太さんは家族とは「自分のもの」のような感覚があるのかもしれません。
そんな家族を他者と思えない極端な「甘え」が、果歩さんを傷つけ続ける結果となったのです。

豹変のサインに気づくことは難しい

果歩さんは『今思えばおかしかったとわかるけど、それを当時気づけというのは、絶対に無理』だと話していました。僕もそう思います。

しかし、この記事を読んだ方は参考にできるかもしれません。

どんな人にも常にやさしいのに、家族や店員、もしくは自分より下と思った人に対しては妙に接し方が違うという人はいませんか。

付き合っているときにすこし注意してみるといいかもしれません。

柳沢 裕也