3. 変動10年の「×0.66」は、見直しが検討されている

財務省は11月5日の「国の債務管理に関する研究会」に出した資料で、個人向け国債の商品性を見直す方向性を示しました。金利タイプについては、「複利型の追加導入、変動10年の掛け目の見直し等を検討」としています。

ここでいう掛け目とは、変動10年の算式「基準金利×0.66」の0.66のことです。資料に載っているSBI証券の説明資料(2026年5月の研究会)によると、変動10年の算式は制度が始まったときは「基準金利−0.80%」で、2011年7月発行分以降、金利が下がったときの影響を抑える観点から「基準金利×0.66」に変わった経緯があります。

同じ資料は、金利の環境が大きく変わった今は見直しを検討すべき局面だとして、掛け目を変える案や「基準金利−〇%」とする案を挙げています。そうすれば「変動10年<固定5年」といった利率の逆転が正されることが期待される、という説明です。11月募集分でも、変動10年の初回の年1.85%は、固定5年の年2.17%を下回っています。

ただし、これは検討の方向性で、いつから、どのような算式になるかは示されていません。財務省の資料も、金融機関のシステム改修などに一定の期間がかかるとして、準備の状況を見ながら実施するとしています。現時点の発行条件では、11月募集分の変動10年の利率は「基準金利×0.66」で計算されます。

4. 利率の下限は3タイプとも年0.05%

3つのタイプとも、利率には年0.05%の下限が設けられています。基準金利が大きく下がっても、利率がこれより低くなることはありません。

変動10年は、この下限があるうえで利率が半年ごとに動きます。固定の2タイプは、買ったときの利率が満期まで続くため、受け取る利子の総額を前もって計算できます。

利子は3タイプとも毎年6月15日と12月15日の年2回支払われ、11月募集分の初回は2027年6月15日です。固定3年は2029年、固定5年は2031年、変動10年は2036年の、いずれも12月15日に満期を迎えます。

満期の年が違えば、途中で換金する可能性も変わってきます。換金できるのは発行から1年が過ぎた2027年12月15日以後で、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。使う時期がはっきりしているお金ほど、満期がその時期の前に来るタイプを選んでおくと安心です。

5. まとめ

11月募集分の利率を高い順に並べると、固定5年の年2.17%、固定3年の年1.94%、変動10年の初回の年1.85%となります。固定3年と変動10年の差は、10月募集分の0.02%から0.09%に広がりました。

変動10年の利率が固定5年の年2.17%に並ぶには、基準金利が約3.29%必要という計算になります。ただし、これは算式からの逆算で、今後の金利を見通すものではありません。

利率の順番は、毎月の基準金利によって入れ替わることもあります。予定どおりの利子を受け取れるのは満期まで持った場合なので、お金を使う時期と、利率が動いてもよいかどうかの2点から、「変動10年・固定5年・固定3年」を見比べてみましょう。

※本記事の計算は、財務省が示す算式をもとにした目安であり、今後の利率を予想するものではありません。変動10年は半年ごとに利率が見直されます。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の売買を助言・推奨するものではありません。

参考資料

高原 祥子