長年連れ添った夫婦が、別々の道を選ぶ熟年離婚。離婚したあとの家計は、夫婦で暮らしていたときと比べて、毎月の支出がどれだけ変わるのでしょうか。
富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、熟年離婚のあとの家計は、夫婦2人を前提にした支出の見積もりのままでよいか、確かめておきたいテーマです。老後の資金計画は、毎月の支出を見積もるところから始まります。
総務省の家計調査から、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と、65歳以上の単身無職世帯の月の支出を並べ、単身世帯の2人分と比べます。あわせて、離婚のときに請求できる財産分与と、厚生年金の記録を分ける年金分割の請求期限も確認します。
※家計の数字は、総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」の月平均をもとにしています。
※財産分与は民法第768条と裁判所「財産分与請求調停」、離婚時の年金分割は日本年金機構「離婚時の年金分割」(2026年4月1日更新)をもとにしています。
1. 熟年離婚で家計の支出はどう変わる?家計調査では、単身2人分は夫婦より月約3万2900円多い
熟年離婚のあとの家計を考える手がかりとして、家計調査の2025年の月平均を見ます。夫婦の世帯の世帯主の平均年齢は77.6歳、単身の世帯は77.8歳です。
- 【夫婦高齢者無職世帯(65歳以上の夫婦のみ)】消費支出26万3979円
- 【高齢単身無職世帯(65歳以上の単身)】消費支出14万8445円
- 【単身世帯の2人分】29万6890円
単身世帯の2人分は、夫婦の世帯より月約3万2900円多くなる計算です。1年にすると、約39万5000円の差になります。
※試算の前提:家計調査2025年の月平均の消費支出で、単身世帯の平均を2倍して夫婦の世帯の平均と比べました。平均の統計どうしの比較で、同じ世帯が2つに分かれた場合の数字ではありません。
2. 熟年離婚で増える家計の費目は?住居・光熱・水道・食料などが2人分で増える
熟年離婚で家計が2つになると、どの費目が増えるのでしょうか。単身世帯の2人分を、夫婦の世帯と費目ごとに比べます。
- 【住居】夫婦1万7739円/単身2人分2万2832円(約5100円増)
- 【光熱・水道】夫婦2万3540円/単身2人分3万1130円(約7600円増)
- 【食料】夫婦7万8964円/単身2人分8万5090円(約6100円増)
- 【教養娯楽】夫婦2万6538円/単身2人分3万2264円(約5700円増)
- 【その他の消費支出】夫婦5万1341円/単身2人分6万3362円(約1万2000円増)
一方で、交通・通信(夫婦3万1325円/単身2人分2万7202円)と保健医療(夫婦1万7941円/単身2人分1万6776円)は、単身2人分のほうが少なくなっています。住まいや光熱・水道のように、ひとつの家で分け合っていた支出が、別々の家計で重なりやすいことがうかがえます。