3. 利率が下がったのは、もとになる「基準金利」が下がったため
個人向け国債の利率は、毎月、市場の金利をもとにした「基準金利」から決まった算式で計算されます。固定5年は「基準金利−0.05%」、固定3年は「基準金利−0.03%」、変動10年は「基準金利×0.66」です。
11月募集分の基準金利は、固定5年が2.22%、固定3年が1.97%でした。10月募集分はそれぞれ2.44%と2.10%だったので、どちらも下がっています。
変動10年の基準金利は、11月5日に行われた10年固定利付国債の入札結果から計算された2.80%です。10月募集分の3.10%から下がり、そこに0.66をかけた年1.85%が初回の利率になりました。
算式が決まっているため、基準金利が下がれば利率もそのまま下がります。3つのタイプとも利率の下限は年0.05%で、それより低くなることはありません。
4. 10月の発行額は1.0兆円、前年同月の2.3倍に増えていた
財務省が11月5日の「国の債務管理に関する研究会」に出した資料によると、個人向け国債の発行額は、金利の上昇を背景に増える傾向にあります。2026年10月の発行額は計1.0兆円で、前年同月の2.3倍、5800億円の増加でした。
資料は、2026年の年初から利率が約1.7〜1.9倍になったことを、発行額が増えた背景に挙げています。一方で、日本の国債を持っているのは機関投資家が中心で、家計部門の保有額は依然として低い水準にとどまっているとも指摘しています。
商品別では、これまで主流だった変動10年から、金利の上昇によって固定5年の割合が増えていると説明されています。固定5年は、買ったときの利率が満期まで変わらないタイプです。
11月募集分は、こうした上昇が続いたあとに、3タイプそろって前の月を下回った回です。前のページで試算した差は満期まで持った場合の数字で、2027年12月15日以後に途中で換金すると、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれ、受け取る利子はさらに減ります。
5. まとめ
11月募集分の個人向け国債の利率は、固定5年が年2.17%、固定3年が年1.94%、変動10年の初回が年1.85%で、3タイプとも10月募集分を下回りました。
固定5年を100万円買った場合、10月募集分との利子の差は5年間で税引後8765円、500万円なら4万3826円です。固定3年の100万円では3年間で3108円の差になります。
同じ固定5年でも、申し込む月によって満期までの利子は変わります。試算した差は満期まで持ち続けた場合の数字なので、「変動10年・固定5年・固定3年」の3種類を比べるときは、途中で換金せずに置いておける期間かどうかも先に確かめておきましょう。
※本記事の試算は、記載した利率をもとにした目安であり、実際の受取額を保証するものではありません。税引後の金額は、税引前の合計から20.315%を差し引いた簡便な計算です。変動10年は半年ごとに利率が見直されます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品の売買を助言・推奨するものではありません。
参考資料
- 財務省「個人向け国債の発行条件等」(2026年11月6日)
- 財務省「固定5年『第187回債』」
- 財務省「固定3年『第197回債』」
- 財務省「個人向け国債の商品性についてのよくある質問」
- 財務省「国の債務管理に関する研究会(第12回)理財局説明資料 個人向け国債の商品性の見直し等について」(2026年11月5日)
高原 祥子