5. 【元厚生労働省担当記者の視点】検証:扶養は「健康保険」と「第3号」で別々に確かめる
試算では、夫が60歳で定年退職して再就職しない場合、57歳の妻が60歳までに納める保険料は約64万5000円でした。夫が再雇用で厚生年金に入り続ければ、条件を満たす場合は0円です。
行政の資料を読んできて感じるのは、同じ「扶養」という言葉でも、健康保険と年金で線引きが違う点です。健康保険は任意継続の被扶養者として残れる場合がありますが、第3号は厚生年金に加入する配偶者に扶養されていることが要件です。
制度上の線引きを確かめる立場から見ると、分かれ目は夫の年齢ではなく、退職後に厚生年金に入るかどうかと考えられます。再雇用でも厚生年金に入らない働き方なら、妻は第3号の要件から外れる点に注意が必要です。
ただし、保険料は年度ごとに改定されます。任意継続の保険料は都道府県の料率と退職時の標準報酬月額で、国民健康保険料は市区町村で変わります。
夫の退職日が決まったら、年金は14日以内、任意継続は20日以内という期限を先に控えておくのが実務的には有効です。再雇用の条件は勤務先の担当部署に、手続きは市区町村役場や協会けんぽに確かめてください。
6. まとめ
夫が定年退職して厚生年金から外れると、扶養内の妻は第3号から第1号になり、月1万7920円の保険料を自分で納めます。57歳の妻なら、60歳までの36か月で約64万5000円です。
夫が再雇用で厚生年金に入り続けるかどうかで、妻の保険料は変わります。退職前に、夫婦で働き方と手続きの期限を確かめておきましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。保険料の額は年度ごとに改定され、健康保険の保険料は加入する制度や地域で変わります。最新の情報は日本年金機構や協会けんぽ、お住まいの市区町村でご確認ください。
参考資料
- 日本年金機構「配偶者が転職・退職したときの手続き」
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度保険料率」
齊藤 慧