4. 65歳まで働くと、85歳時点の手元資金はどう違う?60歳で退職した場合の約398万円に対し、約1982万円が残る
65歳から20年間、毎月4万2435円を取り崩すと、合計は約1018万円です。85歳の時点で残る手元資金を比べると、次のようになります。
- 【60歳で退職】約1416万円−約1018万円=約398万円
- 【65歳まで働く】3000万円−約1018万円=約1982万円
- 【参考:65歳以上の単身無職世帯】消費支出14万8445円、可処分所得11万8465円で、毎月2万9980円の不足
日本年金機構は、老齢厚生年金の報酬比例部分は、厚生年金の加入期間や過去の報酬などに応じて決まると説明しています。厚生年金に入って働く期間が延びると、その計算の基礎も増えることになります。
5. 【証券会社出身の視点】検証:65歳までの5年間の取り崩しは、65歳以降の不足の約31年分にあたる
試算で目を引くのは、60〜64歳の5年間に取り崩す約1584万円が、65歳以降の毎月の不足(年約50万9000円)の約31年分にあたる点です。収入がない期間は支出のすべてが取り崩しになるため、同じ5年でも減り方が大きく違います。
退職の時期を考えるときは、残高の総額よりも「収入がない期間が何年あるか」を先に確かめておくと、見通しを立てやすくなるかもしれません。
ただし、この試算は65歳以上の世帯の平均を借りたものです。家計調査では、世帯主が65歳以上の無職世帯の消費支出は65〜69歳が29万6997円で最も多く、年齢が上がるにつれて少なくなっています。60代前半の支出は、平均より多くなる可能性があります。
また、消費支出には税金や社会保険料が含まれていないため、収入がない期間の実際の取り崩しは、これより増えることもあります。働き続けるかどうかは、健康や仕事の内容、家庭の事情も合わせて決めることになります。
まずは、ご自身の家計の毎月の支出と、60〜64歳の間に見込める収入を書き出してみてはいかがでしょうか。受け取れる年金の見込み額は、日本年金機構の案内で確かめておくと、5年間の差がより具体的に見えてくるかもしれませんね。
6. まとめ
手元に3000万円がある夫婦が60歳で退職し、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と同じ支出を5年間取り崩すと、65歳時点の残りは約1416万円です。65歳まで働いて給与で暮らせれば3000万円が残り、差は約1584万円になります。
どちらを選ぶかは、健康や働き方、家庭の事情によって変わります。数字を一つの目安として、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の取り崩し額は、年金などの収入、税金・社会保険料、物価の変化、運用の有無で変わります。最新の統計は総務省統計局、年金については日本年金機構の案内で確かめておくと安心です。
参考資料
安達 さやか