10月22日のプロ野球ドラフト会議が終わり、指名された選手と球団の入団交渉や仮契約のニュースが続く時期になりました。ドラフト1位の契約金には億単位の金額が伝えられることもありますが、契約金がそのまま手元に残るわけではありません。
ここでは、ドラフト1位の契約金にかかる税金の仕組みを、国税庁の資料と所得税法の条文で確かめます。
あわせて、契約金1億円を受け取った場合に手元に残る額を、「平均課税」を使う場合と使わない場合で試算します。
※試算は、契約金のほかにその年の所得がない単身者として、国税庁「No.2260 所得税の税率」「No.1199 基礎控除」(令和8年分)をもとにしています。
1. ドラフト1位の契約金にかかる税金は?受け取るときに源泉徴収され、1億円なら約2032万円
国税庁「No.2810 専属契約等で支払う契約金」によると、プロ野球選手などと専属契約を結んで支払う契約金は、源泉徴収の対象です。支払う側が、次の計算で所得税と復興特別所得税を差し引きます。
- 【支払金額が100万円以下】支払金額×10.21%
- 【支払金額が100万円超】(支払金額−100万円)×20.42%+10万2100円
契約金1億円なら、源泉徴収される額は約2032万円(2031万7900円)で、受け取るときの手取りは約7968万円です。ただし、源泉徴収された額は前払いにあたり、その年の税額は翌年の確定申告で決まります。
※令和9年分以後は、所得税と復興特別所得税に加えて防衛特別所得税も源泉徴収されます(国税庁「No.2810 専属契約等で支払う契約金」)。
2. ドラフト1位の契約金は「臨時所得」になる?3年以上の専属契約で、契約金が年俸の2倍以上なら平均課税を選べる
所得税法施行令第8条は、臨時所得の一つとして、職業野球の選手などが3年以上の期間、特定の者のために役務を提供すること(またはほかの者のために提供しないこと)を約束して一時に受ける契約金で、その契約による報酬の年額の2倍以上のものを挙げています。
臨時所得などの合計がその年の総所得金額の20%以上なら、所得税法第90条の「平均課税」で所得税を計算できます。
- 【平均課税の考え方】臨時所得の5分の1をもとに税率を決め、その税率を残りの所得にも当てはめる
- 【選び方】確定申告で、平均課税の計算書を付けて申告する
所得税は所得が多いほど税率が上がるため、一時にまとめて受け取った所得には高い税率がかかります。平均課税は、その負担をならすための仕組みです。新人選手の契約が要件に当たるかは契約の内容によるため、ここでは要件を満たす場合として試算します。