相続を見すえて、持っている土地にアパートを建てるか、戸建て賃貸にするかを比べる方もいるでしょう。同じ土地でも、アパートと戸建て賃貸では建築費も家賃も違い、収益の出方が変わります。
富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、土地にどんな建物を建てるかは、元手に対してどれだけ収入があるかと、その収入がいくつに分かれているかの両方から確かめておきたいテーマです。株式や投資信託と同じ物差しで、建物の収益も並べて見てみます。
ここでは、国の統計の全国平均を使い、木造のアパートと戸建て賃貸の表面利回りを試算します。あわせて、貸している土地の相続税評価が下がる仕組みも確かめます。
※建築費は国土交通省「建築着工統計調査」の2025年(令和7年計)に着工した木造の貸家の工事費予定額、家賃は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」の民営借家(専用住宅)の1か月当たり家賃(全国平均)をもとにしています。
1. アパートと戸建て賃貸の建築費は?木造の貸家なら1㎡あたり約22万円と約23万円、差は主に1戸の広さ(2025年・全国)
国土交通省「建築着工統計調査」によると、2025年(令和7年計)に着工した木造の貸家(全国)の工事費予定額は次のとおりです。統計の区分では、アパートは「共同住宅」、戸建て賃貸は「一戸建」にあたります。
- 【アパート(木造の共同住宅)】1戸あたり約783万円、床面積は1戸あたり約35.4㎡、1㎡あたり約22.1万円
- 【戸建て賃貸(木造の一戸建)】1戸あたり約2049万円、床面積は1戸あたり約88.0㎡、1㎡あたり約23.3万円
1㎡あたりの工事費の差は約1.2万円で、1戸あたりの差は主に広さの差から生まれています。工事費予定額は着工の届け出に書かれた金額で、土地の代金は含みません。
2. アパートと戸建て賃貸の家賃は?新築の平均に近い広さの民営借家で月5万3917円と月6万9464円(2023年・全国平均)
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」の民営借家(専用住宅)の1か月当たり家賃(全国平均・家賃0円を含まない)を、上の新築の1戸あたりの広さに近い区分で見ると、次のとおりです。
- 【アパート(木造の共同住宅・延べ面積30〜49㎡)】月5万3917円
- 【戸建て賃貸(一戸建・延べ面積70〜99㎡)】月6万9464円
戸建て賃貸は広さが約2.5倍でも、家賃は約1.3倍です。ただし、これは築年数を問わない住宅の平均で、一戸建の区分は木造と非木造を合わせた値です。新築の家賃は平均より高くなることがあり、地域によっても大きく変わります。